介護中は介護をしていない時と比べて、よりリアルに「死」を意識します。介護の時間を使って、介護者としての「覚悟」を醸成していくわけですが、わたしが最も避けたいと思っているのは、想定していない「死」です。
わたしが最近読んだ本『こんなことで、死にたくなかった』(三笠書房)は、法医学者である高木徹也氏が、5000体を検死・解剖した結果から、まさか高齢者がこんな死に方をするとはという49の事故例を教えてくれる本です。
介護している人は絶対に読んで欲しい、そんな本について解説します。
こたつで死ぬ
紹介したい事故例は山ほどありますが、1つだけ紹介します。わたしは知識なくこれを実践していましたが、本を読んで一層母をこたつで寝かせないと決めました。本から引用します。
一体なぜ、「こたつでの寝落ち」が死につながるのでしょうか。まず、こたつに長時間入っていると、発汗と呼吸によって脱水症状になりやすくなります。この脱水症状が続くと、血液がドロドロになってしまうのです。(略)高齢者には動脈硬化症が進行している人が多いため、ドロドロになった血液は血流を悪くしたり、血管を詰まらせたりします。
引用元:こんなことで、死にたくなかった(三笠書房)
あと上半身は寒く、下半身はこたつで暖かいので、ヒートショック状態になるそうです。その温度差が激しければ激しいほど、死ぬ危険性は高まるとのこと。
わたしは母が居間のこたつで寝てしまったら、いつも遠隔操作でエアコンの暖房をつけるようにしていました。岩手の冬は寒いので、かわいそうと思ってやっていたのですが、まさか命を守る行動だったとは驚きです。
「こたつで寝ないで」と見守りカメラでいつも母に声掛けをして、正解だったわけです。また寝室で布団に入って寝ているときも、冬はエアコンの暖房をずっとつけています。この行動も正解だったわけですね。
本の帯にある「熱いお茶を飲んで死ぬ」「田んぼを見に行って死ぬ」「くしゃみで死ぬ」、あと「受診する病院を間違えて死ぬ」など生活のあらゆるところにリスクがあって、特に高齢者はこんな小さなことで死に至るんだなってことに気づかされます。
また1番最後の「施設内の虐待について思うこと」も、いろいろと考えさせれる内容です。
死因から介護中のリスクが分かる名著
まずこの企画を思いついた編集者さんが、すばらしい!
高木先生のご経験と専門知識を、マニアックに専門書として仕上げるのではなく、一般のわれわれに分かりやすく本として伝えてくださったことに、ただただ感謝しかありません。
介護中の皆さん、この本は絶対に買うべきです。こんな死に方されたら、これまでやってきた介護が何だったのかって思うし、亡くなったあとの後悔も長く引きずることになると思います。この本を買って、しっかり対策をしてください。
わたしの最新刊『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』(翔泳社)に書いたヒントが、この本と偶然重なっていて、エビデンスを頂いた気になりました。どのヒントが該当するか、わたしの本も読んでみてくださいね。
こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」 (三笠書房 電子書籍)
今日もしれっと、しれっと。
2025.12.13(土) 出版記念イベント開催!
11/17(月)『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』(翔泳社)の発売を記念して、12/13(土)朝10時から、東京・品川にあるフラヌール書店(不動前駅)とオンラインのハイブリットで出版記念イベントを行います。ブログや音声配信では絶対に話せないリアルな介護の話を、たくさんします。オンライン参加は顔出し不要、匿名参加OKです。気軽にご参加ください!介護の本屋「はるから書店」





























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