百田尚樹さんの「永遠の0」 を、9,000冊売った書店さんをご存知ですか?
紀伊國屋書店グループ全体の数字? いいえ、違います。ある地方都市の書店、「1店舗」 が売り上げた数字です。その書店は、岩手県盛岡市の駅構内にあるさわや書店フェザン店さんです。
こちらの店長である田口幹人さんが、「まちの本屋」 という本をつい先日出版され、講演会があったので参加してきました。もし自分が出版していなかったら、この本を読むことはなかったと思います。なぜか?
「まちの本屋」を読むきっかけ
出版後、東日本の書店さんを結局100店舗回りました。自作チラシ・名刺・自作ポップの3点セットを持参、忙しそうに動き回る書店員さんの足が止まる瞬間をひたすら待ち続け、タイミングを見て声かけ・・この繰り返しでした。
本を補充する、お客さんの問い合わせに対応する、雑誌の付録を添付する、アポなしの出版社・取次の営業の対応をする・・・書店員さんってこんなに忙しい仕事なんだ、今回初めて分かったことでした。
それで本屋さんへの興味が湧きまくっているときに、フェザン店店長の田口さんが本を出すことを知り、即購入。新幹線片道の3時間で、一気に読み終わりました。
100店舗も回ると、書店の色が見えてきます。その中でも、さわや書店フェザン店さんは別格。本の冒頭に店頭の写真が載っているのですが、圧巻です。書店員さんの本への想いが、これでもか!って、こちらにアピールしてきます。
そんなすごい書店さんに、無謀にもわたしは3点セットを出しました。すると・・・
欽ちゃんを大きく打ち出してくれました。100店舗のうち、”唯一” 自作チラシとPOPの両方を飾ってくださったのがこちらの書店さんでした。そして日本一の冊数を置いて頂き、さらに感動したのです。この本の積み方も、よーく見ると独特なんです。(他の本が混ざっている)
本を読み進めていくと、なるほど!そういう意味があったんだと、納得しました。
「まちの本屋」本の読みどころ
そして、ようやく釜石店にたどり着いた。店内に入り驚いた。店の中に本がほとんど残っていなかったからだ。まさか、混乱の中で持って行かれてしまったのだろうか?店を開けると、お客さまがなだれ込んできたのだと、現地のスタッフは話してくれた。
これは東日本大震災直後のはなしです。なぜ人々は本屋へなだれ込んだのか?被災した人々にとって、本とはどういうものであったのか?オチは書けないのですが、すごく興味深いお話でした。
もちろん冒頭に書いた、「永遠の0」 をミリオンセラーへどうやって押し上げたのか?その手法についても、書かれています。
おそらくこの本を読むと、書店の見方が大きく変わると思います。地域における本屋さんの役割の大きさ、書店員さんの想い、新しい本屋さんのカタチが分かります。
自分で出版することで、著者の想いを理解することができたのですが、もうひとつ本屋さんの想いを、この本で知ることができました。
もし盛岡に旅行することがあったら、さわや書店さんに立ち寄ってみてください。何か違いを感じることができる書店さんです。
今日もしれっと、しれっと。
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