認知症徘徊事故が起きたら、介護者の監督責任ではなく、医師の処方責任を問う!

認知症 医師

8月21日(日)に、一般社団法人 抗認知症薬の適量処方を実現する会の特別セミナーに参加してきました。

このブログでも何度か取り上げてますが、抗認知症薬をきちんと取り扱うことができない医師が多く、不幸な結果になっている方、苦しんでいるご家族が大勢いらっしゃるという事実があるし、今なお、何も疑うことなくお薬を飲み続けて苦労されている介護者もいます。

新たに認知症介護の世界に飛び込んでくるご家族は、今後もどんどん増え続けます。そういった方に向けて、

  1. 安易に近所のかかりつけ医に行かない
  2. 大病院だから、有名だからという単純な理由で医者を選ばない
  3. 医師と一体になって、認知症に取り組む

といった話を、最初の本に書きました。

「ふつうの感覚」つまり風邪をひいた時のように、内科に行って薬を処方され、飲み続ければ症状は治まると思う考えを、認知症介護では改めて!ということです。

今回のセミナーも、抗認知症薬による副作用の事例が示され、改めてこういった現状があるんだなぁ・・と思った次第です。そういったことに警鐘を鳴らしているのがこの会であって、わたしも微力ですがブログで発信しています。

間違った薬を処方したら、医師の責任を問うべし!

コウノメソッドの河野和彦先生の講演はいつも面白いのですが、今回もなるほどなぁ~と思った話をご紹介します。

よく徘徊事故のニュースが報道されますが、最終的な責任は介護者になってしまいます。認知症で徘徊し、電車に跳ねられて死亡したJR東海の事故がありましたが、最初は家族の監督責任が問われました(最後は最高裁で、JR東海が敗訴しました)

河野先生は講演で、これは医師にも責任がある!と言ってました。徘徊事故があったら、医師がどんな薬を飲ませていたかを調査して、家族の聞き取り調査を行ったほうがいいと。それで間違った処方を医師がしていたら、主治医を教育したり、場合によっては告訴するという流れを作れと。訴えられる医師は大変ですが、とても面白い提案だと思いました。

他にも、

  • お薬によって興奮性が増した結果、介護者を殺してしまう
  • お薬によって興奮性が増した結果、介護者に殺される
  • お薬によって興奮性が増した結果、施設スタッフに殺される

医師が、なんでもかんでもアルツハイマー型認知症と診断してしまって、レビーやピックの方にもアリセプトを処方してしまった結果、上記のようなことが起きている可能性もあります。火に油を注ぐようなことが、あるんですね。

「認知症医療の歴史は浅いので、ほとんどの医師は素人同然」

河野先生の本や、コウノメソッドによく出てくるこのコトバです。症状が良くならないから、どんどんお薬を増やすような医師に出会ったら、疑ってみるべきです。こういった現状を介護家族は知っておくべきだし、このコトバを見ると、勉強意欲湧きますよね?

このブログの役割

うちの母は、コウノメソッドで4年間うまくいっているので、信頼しています。ブログにもコメント頂きますが、それをよしとしない方もいます。アリセプトがすべてだめなわけではなく、うまくいっている方もいらっしゃいます。

ブログにコメントできるくらいの介護者ならいいのですが、近所のかかりつけ医にたまたま行って、長年信頼している先生だから、すべてを信じてしまって疑う余地もないという方が、最も怖いのです。

認知症介護で困ったときに、たまたまこのブログにたどりつき、お薬を全面的に信頼してはいけないという説もあるんだと気づいてもらえれば、このブログは役割を果たしています。

最終的にどの方法を用いれば、目の前の父母、祖父母、親族は症状が改善・維持されるか、その判断は介護者の手にあります。認知症ご本人は、最適な治療法を選ぶことができないのですから、介護者は勉強が求められます。

明日、母が今まで見たことない症状を示すこともあるわけですから、わたしは選択肢をとにかく集めておこうと思っています。そして、それをブログで発信し続けます!

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

セロトニンが、やる気を出しています。セロトニン過剰になると、特定の事に過剰にこだわり、同じ行動を繰り返す様になります。
レビーやLPCの抑うつ症状を、うつ病と誤診しSSRI(抗鬱剤)を多用する精神科医。ピックの周廻を作り出します。対応は、セロトニンを抑制するニューレプチルを少量使えば、良いケースが多いです。
私は、現在認知症の治療には、ウインタミン・コントミンとニューレプチル及びプレタールが主体。たまに抑肝散を追加しますが、飲みにくいのであまり使わなくなりました。
あと最近多用しているのがグルタチオン多量注射です。シチコリンは、使わないケースが増えています。
抗認知症薬は、積極的に使用していません。元気を出させるのに、リバスタッチテープ・穏やかにしたい時少量のレミニールですね。
今回の厚労省の抗認知症薬の適正使用の通達を受けて、レミニールの少量投与(5mg以下)にトライしたいと考えていますが。
アリセプトは、基本使用しません。レビーだと脳の機能障害や変性を進行させてしまう恐れがあるからです。後長期投与で心不全や低活動性せん妄や嚥下障害から、致命的な状態になるケースがいます。これを考えると、アリセプトはとっくに発売中止になっていて良い薬剤だと思います。
Kara

小関先生

コメントいつもありがとうございます。

副作用の事例報告を読んだり、動画で改善したケースを見たり、不適切な処方をされて怒っているご家族の動画を見ると、まだまだ少量投与は遠い未来な気がしています。わたしのブログは、かなりハードルの低い入口になると思っているので、何も知らないご家族への気づきになればと思っています。そして小関先生のコメントを読む方もいるはずなので、これらを利用している家族の気づきになって欲しいと思っています。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか