新型コロナウイルスの介護家族の対応について

手洗い

新型コロナウイルスのニュースが飛び交う中、高齢者を抱える介護者の皆さんも当然、神経をとがらせる日々を送られているかと思います。

わたしも東京と岩手を遠距離介護で往復しておりますが、岩手には高齢の認知症の母が、東京にはSLEの妻がおり、どちらも新型コロナウィルスで重症化するリスクが高いカテゴリに属しています。

家族の中ではウイルスを持ち込む可能性が高いのがわたしなので、介護する立場で国の資料を読んでみました。

国立感染研究所の「自宅等での感染予防策 」

国立感染症研究所がリリースしている、「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」 という資料の「自宅等での感染予防策」の部分を引用します。

濃厚接触者については、保健所が咳エチケットと手指衛生を徹底するように指導し、常に健康状態に注意を払うように伝える。濃厚接触者と同居している者にはサージカルマスクの着用および手指衛生を遵守するように伝える。濃厚接触者が発熱または呼吸器症状を呈し、医療機関を受診する際には、保健所に連絡の上、受診する。 廃棄物処理、リネン類、衣類等の洗濯は通常通りで良い。

引用元: https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-01-200214.pdf

この文書は、新たな知見の蓄積により更新されるそうなので、たまにチェックしてみるといいと思います。

特に目新しいことはありませんが、「廃棄物処理、リネン類、衣類等の洗濯は通常通りで良い」と書いてあるので、今のところは普通に洗濯していいようです。

濃厚接触者とは?

ニュースの言葉で気になったのが、「濃厚接触者って、どのくらいが濃厚なの?」ということです。こちらも厚労省のサイト「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」から、引用します。

必要な感染予防策なしで手で触れること、または対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、接触した方などを濃厚接触者としています。

引用元: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q3-2

ちょっと分かりづらいので、さらに調べてみました。今度はNHKが引用元です。

つまり、マスクなどをしないで、患者のすぐそばで会話したことがある人も、濃厚接触者に含まれることになります。ただ、2メートルというのは、咳やくしゃみによる飛沫が飛ぶ範囲を念頭にしているので、患者との会話だけなら、30分以上話すことが、濃厚接触だとしている保健機関もあります。

引用元: https://www.nhk.or.jp/politics/kotoba/29841.html

わたしと同じように、公共交通機関を使って通いで介護されている方、しかも移動時間の長い方は特に、しっかり予防しておかないと、濃厚接触してしまうことになります。

先日、東北新幹線に乗車した際、ちょっとリスクを感じる環境になりました。3人席が満席で、しかも90分間その環境が続きました。わたしも相手もマスクはしていましたが、念のためお弁当を食べるのを止め、1人になってから食べ始めました。

厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」には 、新型コロナウィルスは飛沫感染と接触感染で感染すると書いてあるので、完璧ではなくとも、高齢者と接する機会の多い介護者は特にしっかりマスクや手洗いはしないといけません。

母はマスクを嫌いますが、通院時にはしっかりマスクをしてもらうつもりです。わたしが帰省したときだけは、手指が触れるドアノブやリモコン、テーブル、電話まで消毒を行っていますが、遠距離介護である以上、完璧にはできません。

介護施設への訪問

介護施設へ家族を預けている方もいると思います。どの施設も対策はしっかりしていると思いますが、厚労省のページ「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版」の図をご覧ください。

高齢者介護施設における感染対策
引用元: https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf

図で見ると、改めて介護施設にはいろいろな感染ルートがあるのだなと気づかされます。結局は他と変わらず、手洗い、うがい、消毒などをきっちり行うという結論です。

在宅であっても、家にいらっしゃる訪問看護師さん、ヘルパーさん、理学療法士さんなど、皆さんしっかり対策されていると思いますが、やはり介護保険サービスを利用している以上は、リスクはゼロにはできません。

わたし自身の行動

わたしは、できるだけ人混みには行かないようにしています。執筆場所もカフェが圧倒的に多かったのですが、2月はずっと自宅で書いています。通勤がないため、電車に乗る機会は少なく恵まれています。

今回の件で、会社が柔軟な働き方を提案できるのであればきっと、介護中の働き方にも共通する部分があるので、ちょっとだけ期待してもいいのかなと思います。 在宅勤務や時差通勤など、ご自身の会社の制度や仕組みを見極めてみてください。

今のところ目新しい情報はありませんが、介護者の皆さまは高齢者と濃厚接触するはずなので、まずはご自身の予防からしっかり始めてください。

参考にした厚労省のサイトと、東京都の感染症情報センターの清掃・消毒についてのリンクがこちらです。




今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか