アルツハイマー型認知症は「脳が細菌と戦った結果」という説に少し救われた話

アミロイドベータ

WIREDという未来が少し分かるメディアがありまして、そこで「アルツハイマー型認知症」の話が珍しくあったのでとりあげます。

アルツハイマー病患者の脳回路を破壊するとされてきたタンパク質の塊「アミロイドベータ」は、単なる老廃物の蓄積ではなく、細菌との戦いによって生じたものかもしれないという研究結果が示された。

アミロイドベータはこれまで、無価値な蓄積と考えられてきた。そして、アルツハイマー病の治療に関する研究は、脳の詰まりを取り除き、アミロイドベータを消し去ることに集中していた。ところが、マウスと線虫を用いた最新の研究は、アミロイドベータは侵入してきた細菌を閉じ込め、脳を守るために仕掛けられた頑丈な罠かもしれないことを示唆している。
引用元:http://wired.jp/2016/06/03/brain-infections-may-spark-alzheimers/

ちなみにこのお話は、マウスの話で人とは関係がないそう。「なんだぁ~」となるところですが、わたしの「気持ち」として、少し救われる記事だなぁと思ったわけです。

記事枠の赤字で示したところがポイントです。アルツハイマー型認知症はアミロイドベータが、なぜか脳に蓄積されて脳の働きが悪くなると言われてます。

「勝手に蓄積して、このアミロイドベータめ!」

なんて思っていたのですが、細菌と戦った結果としたらよくやった!ということになります。この記事では、もうひとつ実験があって、こちらもご紹介します。

脳に致死量の細菌を注入。一夜明けると、アルツハイマー病のモデルとしてつくられたマウスは、アルツハイマー病患者に見られるものとよく似たタンパク質のプラークを生成しており、プラークの中心には細菌の細胞が閉じ込められていた。一方、普通のマウスはプラークを生成せず、早く命を落とした。
引用元:http://wired.jp/2016/06/03/brain-infections-may-spark-alzheimers/

だとすると、細菌と戦った結果タンパク質はできちゃったけど、生命は保たれたということになります。

あくまでマウスのお話ですが、それでも何か救われませんか?そうやって生き続けるために戦った結果の、アミロイドベータだとすると、憎いどころか愛おしい・・・ちょっと言い過ぎかもしれませんが、それでも命は守ってくれたわけです。

こういう認知症の研究結果を読んで、「ほー」「ふーん」って思うことは多いのですが、ほとんどはそれだけです。「認知症の根治のニュースはまだ~」って思っていると思います。

ただマウスの話だとしても、もし細菌と戦って延命した代償がアミロイドベータだとしたら、何の役割も果たさず、ただアルツハイマー型認知症に影響を与えるよりは、救われる・・・ちなみに記事にありますが、マウスとはいえ注目している研究者は多いそうですよ。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか