父の悪性リンパ腫という診断結果を受けて家族が考えたこと

悪性リンパ腫

父の病理検査の結果が出ました。

結論からいうと、「悪性リンパ腫」でした。血液のガンと言われるこの病気ですが、切除した小腸付近、脇の付け根、あと胸のどこかに転移しているらしく、放射線治療ではなく抗がん剤治療をしないと助からないということになりました。ステージはまだ分かりませんが、ステージⅡからⅢあたりか?

さて・・・

今から4年前、祖母の子宮頸がんの告知に立ち会ったのはわたしで、その時はステージⅢaで余命半年と言われました。祖母は認知症が進んでいて自分で判断ができなかったので、わたしは娘などの代理判断で治療方針を決めました。

今回ですが、父を長谷川式認知症スケールでテストしてみたら、認知症の疑いはありませんでした。よって、自分の意思で自分の治療を選択できる状態にあります・・・満身創痍ではありますが。

悪性リンパ腫示された3つの選択

今後の治療方針として示されたのは、3つです。

  1. 積極的な治療はせず、痛みを取る緩和ケアを選択
  2. 抗がん剤を使って、悪性リンパ腫と戦う
  3. 何もしない

父も分かっているのかいないのかという状態なので、まだどれを選択するか分かりません。わたしならもちろん2を選択しますが、父はどうするか全く分かりません。1を選択したら、たぶん祖母と同じ病院になります。それを言うと、祖母嫌いな父が興奮するので黙ってますが・・・

先日記事にも書きましたが、以前よりも抗がん剤の副作用は小さくなっているとはいえ、それでも大変であることには変わりありません。一番大切なのは本人の気持ちで、本人がやる気を出さなくてはダメです。しかし、現段階のリハビリも乗り気ではなく、なのに医師・看護師には文句を言う元気はあったりして・・・どうなっているんだろう。

ちなみに数年前に亡くなった、肺がんだった叔母は1と3をうまくつかって、余命を大きく引き伸ばしました。そんな肺がんの叔母に、たばこ(ショートピース)を1カートン差し入れていたわたしです。最初はコーヒーやお菓子を差し入れしていたのですが、次行くとわたしがそれを食べるという(笑)

肺がんの事を考えたら、最も差し入れしてはいけないたばこでしたが、叔母の喜ぶ顔を見て「これでいいんだ」と自分に言い聞かせていました。叔母も下手なお菓子より、高いたばこの方が「助かる」と言ってくれました。最期まで自然に任せ、好きなように生きるという選択もあるんだと、教わりました。

命の閉じ方というのは、本当に人それぞれです。認知症の祖母を看取った時の一番の後悔は、「本人の意思を尊重してあげられなかった」ということなので、今回のケースはやはり父自身が考えるべきだと思います。

ある程度割り切って考えられるのは、父と話すのが4年ぶりだったこと、わたしが18歳の時に家を出てひとり暮らしを始めてしまったことなど、おそらく普通の家族ほど接点がなかったからです。ひとりで好きに生きて来た父ですから、それはそれで幸せだったろうと思います。しかし離れ過ぎていて、父のマンションが今どうなっているか不明・・今後の波乱要因です。

余命がどれくらいか分かりませんが、ここ数年で余命宣告というものがいかに当たらないかということを体感しました。あくまで目安でしかない余命宣告ですが、目安があると時間を有効に使えるうえに、覚悟を決められます。

あとは神のみぞ知る・・・

「大変ですね」というお声かけ頂きまして、ありがとうございます。皆さんが感じるほど、自分は大変だと思っていません。なるようにしかならないのです、状況を受け入れるしかないですし、父がどう選択するかが全てなのです。

ふとした瞬間に「がんばれ!」みたいな感情が湧き上がることもあるし、ふつうに日常を過ごす自分もいます。わたしの感情が波立つと、認知症の母にも影響します。こういうときこそ、「しれっと」の心が試されるのです。転院することになったら、次なる選択肢を考えます。

しかし、こんな状況になっても、医師や看護師さんに悪態をつくのは何なのか・・・弱々しく、素直に「おい、助けてくれ」と言ってくれれば、わたしも頑張れるのに。いつまでもプライド高き父・・・来月が76歳の誕生日なので、そこは簡単に乗り越えて欲しいなぁ~

最近チェックしている「悪性リンパ腫・ガン」の本やブログ

認知症を最初に調べまくった、あの時の感じが蘇ってきました。最近、よく読んでいるのが元プロレスラー垣原賢人さんの奥様のブログ「mika日記」。難しいサイトも読んでみたけど、なんか一番しっくりきました。

ブログに書いてあったのは、抗がん剤を使うとたくさんのガン細胞が死滅し、それを腎臓でこして尿として排出されるそう。しかし腎臓の機能が弱いと、腎不全のリスクがあると書いてありました。退院できても、人工透析の可能性があると言われている父ですから、ここでまずひっかかるなと。

もひとつ、元ボクシング世界王者の竹原慎二さんが、ステージ4の膀胱がんからの生還を描いたこの新刊を注文しました。「がん=死じゃない」という竹原さんの言葉、内容が気になります。

せっかくですからね、これも何かの縁と考えて「悪性リンパ腫」について、お勉強をしてみたいと思います!シリーズ化しそうな気配なので、久々に新カテゴリを作りました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか