正月休みに家族が認知症かも?今すぐできる6つのステップとは?

認知症 正月明け 対処法

お正月に故郷に帰省したあと、急にわたしのブログや本が読まれます。友人・知人からも、認知症っぽいけどどうしよう・・・という連絡が、この時期に来ます。仕事が始まったのはいいけど、脳裏をかすめるのは正月に会ったときの家族の変化・・・とりあえずネットで検索してみると、

「認知症は早期発見が大切です、今すぐものわすれ外来を受診するようにしましょう!」

という記事を多く見つけると思います。しかし、「そんな簡単に家族を病院に連れて行くことができたら、苦労しないってーの!」わたしならそう思います。

認知症介護が始まる6年前の自分に、今の自分ならどうアドバイスするか?と想像しながら、6つのポイントにまとめて記事を書いてみました。正月明けにそわそわしている方は、参考にしてみてください!

認知症の気配があったとしても、焦らないで落ち着くこと

認知症という病気や言葉の響きに、あり得ないくらい「恐ろしい」と思ってしまうのが介護初期です。焦らないで落ち着け!と言っても正直難しいのですが、それでも焦らないでほしいです。どう焦らないかというと、

  1. 今すぐ、家族を「ものわすれ外来」へ連れて行こうと焦らない
  2. 認知症と早く診断してもらおうと焦らない

ということです。

「ものわすれ外来」へさえ連れていけば、なんとかなる!と認知症介護の初期は思いがちですが、振り返ってみると言うほどなんともならないのも事実です。また、家族が自分は認知症だと思っていないこの時期は、病院に連れて行くこと自体が難しいです。わたしも、母の初診まで5か月近くかかりました。

家族に「認知症だと気づいてほしい」と願う家族も、結構いることが最近分かりました。そこも急ぐ必要はなくて、もっとできることがあるので、そちらから着手したほうがいいと思います。

また認知症の前段階である、MCI(軽度認知障害)の可能性もあります。MCIであれば、アメリカでは5割が認知症を発症、4割が現状維持、1割が回復というデータがあります。2月の連休、3月の春分の日、ゴールデンウィークに、再度家の様子を見にいく予定を考えながら、次のことを実行してみてください。

「あたまの健康チェック」を活用してみる

このブログや寄稿先でご紹介している「あたまの健康チェック」は、10分程度のコールセンターとのやり取りの電話で、MCIを97%の精度で判断できるといわれています。病院へ連れて行くことは難しくても、クイズに答えると健康状態が分かるとか、いろんな理由付けをしてこのチェックを受けてもらうことはできるかもしれません。3500円(税別)とお手頃なので、一度試してみる価値はあると思います。

家族を病院へ連れて行こうとしないで、まずはひとりで病院へ行ってみる

「あたまの健康チェック」も受けてくれなければ、認知症だと思っていない家族を病院へ連れていけなくて、ひとり途方に暮れる・・・そんな方も多いと思います。

だったら「自分だけ」で、ものわすれ外来へ行ってみましょう!(事前に病院に予約をして、家族だけの受診が可能か確認してください)わたしも最初の4か月はひとりで「ものわすれ外来」を調べては、訪問するということを繰り返しました。これをやってよかったのは、医者によって認知症の診断は本当に違う・・いや違い過ぎるということが分かったことです。

家族の気になる症状をメモして紙にまとめて、医師に伝えましょう。コミュニケーションにならない医師も正直います。わたしはこのステップがあったおかげで、医師を次々とチェンジしていきました。5か月で3人の医師と会いました。認知症の治療は長期に渡るので、相性の悪い医師と一生付き合っていくのは、本当にストレスです。

有給を計画的に使って、気になる家族と何泊か生活を共にしてみてください。おかしいと思うところを、メモしておいてください。そして医師に伝えてください。

地域包括支援センターと認知症カフェに行ってみる

認知症介護をスタートするとき、医療面をまず最初に考えると思うのですが、同時に介護面についても考えておくべきです。3作目の本にも書きましたが、地域包括支援センターだけ行くのではなく、民間の認知症カフェや介護のつどいなどを併用することをオススメします。

地域包括支援センターが絶対というわけでもなく、介護経験者のいる認知症カフェのほうがはるかに役立つこともよくあります。必ず複数の窓口を持つことを、オススメします。

認知症を本気で勉強する

おそらく、今ほど認知症に対して興味を持っている時期はないと思います。受験シーズンの受験生くらい勉強する気満々、認知症について知りたいと思っているはずです。わたしも、ものすごい勢いで認知症の本を読みまくりました。

もし、わたしの本を利用してみるなら、1作目の「医者には書けない!認知症介護で後悔しないための54の心得」か、最新作の「がんばりすぎずにしれっと認知症介護」をオススメします。医師や介護職の方の本も、同時に読んでみてください!

介護費用のシミュレーションをしてみる

介護される家族は、どれだけお金を持っているのでしょうか?そのお金で認知症の通院、介護はまかなえる賄えるでしょうか?ここは冷静に自分の資産、家族の資産をチェックしてみてください。親のお金で介護費用はなんとかなるのか、自分で負担する必要があるのかで、自分の仕事の仕方も大きく変わります。

エンディングノートをプレゼントするのではなく、親子で一緒に書いてみるといいと思います。具体的な金額は分からなくとも、口座のありかや貯金・借金の状況はつかめるかもしれません。

平均はあまり意味がないのですが、在宅介護でかかる1か月平均の費用は7万円くらいと言われています。介護保険を利用したサービス費や医療費、おむつ代なども含まれています。

認知症かもと思っても、なかなか病院へ連れて行くのは難しいです。だったら、自分がまずできることから始めるのが現実的な方法だと思います。6つのステップを使って行動を起こすうちに、今まで会ったことのない介護経験者、介護職の方と話すことになります。これだけで孤独からは解放されますし、思っている以上に心理的負担が軽減されます。必ず頼りになる人が、1人はいます。

人を動かすのは難しいですが、自分自身を動かすのは簡単ですよね?計画的に有給を取得しながら、これらを着実に少しずつ実行してみてください。おそらく病院へ連れて行くステップも、これらを実行しているうちに自然と解決するかもしれません。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

 こんにちは。私も初めて直面した時にこのサイトに本当にお世話になりました。皆様に情報を、と思って書き込みます。
義母はかなり物忘れしていましたが、年相応の物忘れか認知症か・・私たちにはよくわかりませんでした。しかし、家を少々手直しする必要ができて、2週間以上滞在して、これは、やはりかなり物忘れが進んでいる、と初めて強く認識しました。お正月など色々な人が出入りしたり、出かけたりするので義母と一緒にいる時間は案外短く ちゃんと認識していませんでした。
 その後、リフォームのために家を大掃除すると・・やはり、リフォーム詐欺にあっていました。その額7年くらいで2百万近く・・全く気が付きませんでした。どこがきれいになるでもなく、下水の掃除だったのです。毎年、年2~3回下水の掃除をしていました。下水の掃除なんて10~20年に一度すればいいようですが・・一度詰まったことが合って、義母にはしなくちゃ、という観念があったようです。
 消費者センターに相談したり、警察にも相談しましたが 今後の対策というと同居か施設に入ることしかない・・とのアドバイス。
 苦肉の策で、銀行口座を一つに絞り、キャッシュカードの1日の引き出し額を10万までにしてもらい、数十万の普通預金以外は使えないように(年金があるので残額は増えていきます)定期預金を別通帳で作ってその印鑑を息子に預けてもらいました。
 そしてシャープの詐欺対策電話に買い替えて、詐欺情報の会員になり(月700円で次々迷惑指定された電話がカットされる)、電話はほとんどかかってこなくなり、電話の対策はできたようです。
 詐欺対策、完全にすることは無理ですが、とにかく10万くらいの損金にするくらいに抑える対策を取ることは大切だと思います。銀行口座を普通と定期預金に分ける、迷惑対策電話にする。ちょっと面倒ですが、最低限必要なことだと思うので、皆様、ぜひやってみてください。

トトさま

貴重な情報、ありがとうございました!

他メディアで「帰省先でも簡単にできる! 親が認知症かどうかがわかる5つのチェック」という話を書いたのですが、実は通帳チェックというのがあります。お金の流れで異変に気付くことあります。
https://thepage.jp/detail/20151214-00000003-wordleaf

電話に関してはこちらの記事も参考になさってください。月700円かかるんですね、シャープ。「シルバーホンひびきⅢ」という電話もオススメですよ。
https://40kaigo.net/care/alzheimers-disease-care/11182/

銀行は本人を連れて行きつつ、これら手続きをやったということですよね、すばらしいです!認知症とバレてしまうと成年後見人をつけないと手続きできないとかなりかねないので、銀行での振る舞いは注意が必要ですよね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか