遺言準備中に亡くなってしまった父。遺言は自分で書くかプロに任せるか?

公正証書遺言 自筆証書遺言

亡くなる前の父と、遺言についていろいろと話しました。遺言と同時に、治療費の話もよくしました。まとめると、こんな感じです。

  1. 父のマンションを原資にして、父の治療費・葬儀代等に充てる
  2. 相続人であるわたしと妹は、相続なんて期待してない!全部自分で使ってしまえ!と宣言

しかし、マンションを売るにしても、星の数ほどある不動産業者をどうやって選べばいいかという壁にぶち当たりました。たまたまケアマネがうちと同じようなケースを知っていたので、不動産屋を紹介してもらいました。その不動産屋さんが行政書士でもあったので、わたしは相続についても相談することにしました。すると、こんなアドバイスをもらいました。

行政書士
お父様が生きている間に、公正証書遺言を作っておいたほうがいいですね。その方があとあと楽ですよ。
くどひろ
賛成です、ではその方向で父と話し合います

父と話し合った自筆証書遺言の話

余命1か月から3か月と宣告された父は、自筆で途中まで遺言を用意しておりました。不動産屋さん(行政書士)をマンションに呼んで、マンションの査定と同時に遺言についても話し合いました。父が亡くなる5日前のことです。

なに、これは遺言として認められないの?
行政書士
決まった文言がありまして、その通り書かないと無効です
法務局に自分で行って、聞きながら書いてもいいの?
行政書士
それでも大丈夫です

父は、遺言を自分で作る(自筆証書遺言)と言い出しました。それも生きる目標になるだろうと、わたしは2週間の猶予を父に与えました。次盛岡に帰ってくるときまでにある程度進めたら、あとは自分か行政書士さんにお願いすると。しかしその猶予の間に、父は亡くなってしまいました。

念のため、父にはこんな確認もしました。

くどひろ
第三者に渡したり、寄付もできるけどそういう考えはないの?もしそうだったら、今後の治療費用も再検討しないといけないから
それはないから、安心しろ!

父の遺志は、わたしとわたしの妹に「のみ」に相続するというものでした。父とケンカしてましたから、おまえら子供には1円もやらん!といわれる可能性も想定してました。そして医療費や葬儀代はわたしが負担するけど、回収はできないという最悪の事態は避けられました。

予定していた公正証書遺言

父が生きていたとしても、自筆証書遺言にはしなかったと思います。それは、以下の4つの理由からです。

  1. 手軽に書けて、コストがかからないのが自筆証書遺言の一番のメリット
  2. すべて自筆でないといけない(パソコンもだめ)。間違うと訂正方法が複雑なので、結局一から書き直し
  3. 言葉の使い方にルールがある
  4. 自筆証書遺言は家庭裁判所の「検認」という確認作業が発生する

父の場合はマンションなので、遺言の不動産の記載がかなり面倒でした。字を書く力はあったのですが、絶対ミスするような感じでしたので、公正証書遺言を予定していました。

ちなみに今回の件で、わたし自身の遺言を書くことにしました。それは自筆証書遺言でやるつもりですが、内容のチェックが必要で、そこそこお金がかかります。「自筆証書遺言 内容 チェック」で検索すると、司法書士のサイトがずらっと出てきます。

また、コクヨの遺言書キットを母のために買っておいて、そのまま放置していたことに気づきました(記事タイトル下の写真)。こちらをこれから自分用に活用したいと思っています。キットは分かりやすいですよ。

一方の公正証書遺言は、遺言者と相続人の関係が分かる戸籍謄本であったり、不動産の登記事項証明書など、いろんな書類を集める必要があります。これらの収集代行を行政書士がしてくれるところもありますが、わたしは自分で集めました。

関係資料を集めたところで、公証役場に行って事前打ち合わせをして、法的な間違いがない文書に仕上げます。この時は父は動けていたので、公証役場に行くつもりでした。自宅や病院に公証人が来てくれる出張もあります。公正証書遺言の作成は自分で動けば10万くらい、プロに頼めば30万くらいですが、遺産額によって大きく変わります。

うちの場合はマンション(不動産)を相続するというステップがあって、相続登記は行政書士はできません。司法書士はできるので、もし不動産の相続がある場合は初めから司法書士兼不動産屋を選んだほうがいいかもしれません。行政書士が司法書士につないでくれるので、特に心配はないのですがそういうルールになっています。

相続登記はかなり大変ですが、ひとりでもやる気になればできます。今回はさっさと終わらせたいので、初めから代行するつもりでした。

自分で不動産の「相続登記」をやってみた!

2013.12.26

父は自分が見つけた不動産屋(亡くなる3日前に探してた)の方が査定が高いと言って、わたしに対抗してきました。しかしこの不動産屋は、相続まではカバーできませんでした。マンションや家を相続して売る予定がある人は、相続まで分かっている不動産屋がいいです。しかし、わたしが父に遺言を残して欲しいと思った理由は、他にありました。

わたしが最も恐れていたこと

どうしても遺言を残したかった理由は、認知症の母です。わたしが恐れていたのは、

  1. 遺言がないと、相続人は母、わたし、わたしの妹の3人になる(父は母に相続するつもりがなかった)
  2. 母は認知症、成年後見人をつけないとダメといわれる可能性もあった
  3. 母に後見人がついてしまうと、専門後見人への毎月の支払や家裁に家計が縛られる

これでした。しかし認知症でも、母はその場の判断や意思表示はしっかりできます。認知症の方と遺産分割協議については、相続遺言サポートオフィスさんの内容を一部引用します。

単純に認知症だからといって遺産分割をすることができないとは一概に言えませんが、自分の意思を伝えたり自分の状況を理解して物事を判断できない場合には、意思能力が欠如していると考えられ遺産分割協議に参加することができません。
引用元:http://www.souzoku-mado.jp/27.916

もうひとつ、こちらも読んでおくといいと思います。成年後見一択ではないということだけ、覚えておくといいと思います。

遺産分割協議について書いてあるサイトは山のようにありますが、法定相続通りに分けた方がいいと書いてあるものはほとんどありません。たしかに、遺産分割協議をした方が柔軟に色々なことを決められますのでいいかもしれませんが、それはケースバイケースであって、認知症等の方がいる場合には法定相続を検討してもいいのではないかと考えます。

ある専門家のサイトをみると、認知症の方がいる場合は遺産分割協議をすることができないので成年後見の申立てしか方法はないとありました。なぜ法定相続のことについて触れていないのか理解できませんが、成年後見を業としている方からすればその方がいいのかもしれませんね。
引用元:http://www.souzoku-mado.jp/27.916

遺産分割協議書の作成

この作業は、遺産分割を行うために相続の対象となる人全員とどう分け合うのかを話し合うことです。全員の合意が得られないと家庭裁判所で遺産分割調停を行います。父の遺言が今回は文書として残せなかったので、この遺産分割協議が必要となりました。

相続人の戸籍謄本や附票、除籍謄本などを取得しながら、行政書士が相続人を確定させていきます。後から相続人が出てきて大騒ぎとならないよう、調査を依頼します。さらに相続財産を確定させます。財産は不動産や現金以外にも、マイナスである借金やローンなども含まれます。

今回の遺言騒動で学んだことは「遺言はしっかり残しておこう、残された家族に迷惑をかけないためにも!」ということです。エンディングノート書いて!といつもブログに書きますが、今度からは遺言も書いて!と発信します。

わたしは子どもがいないので奥さんに100%相続しますが、遺言を書いておかないと母や妹も相続人になり、わたしみたいな面倒な手続きになります。だから遺言を残そうと思いました。うちのこの相続の話はまだいいほうで、もっとドロドロしたご家庭はいっぱいあります。泥沼に巻き込まれないためにも、遺言は大切です!

いろいろ手続きは面倒だけど、自分の貸したお金を回収したいから頑張ります。お金があまり残らないから何やってんだ・・っていう気持ちにもなりますが、ブログネタにはなるので助かります。

キットや本を読みながら自筆でもいいですし、プロに任せてもいいので遺言について一度考えてみてください!

今日もしれっと、しれっと。

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4 件のコメント

  • くどひろさん、こんばんは。

    成年後見を生業とする人、確かにプロなので、手数料と言う名目であれこれ報酬を得るのは有りですが
    ごく普通の家庭の認知症患者に対しての成年後見の報酬は、馬鹿高いとしか言えないと感じます。
    新聞にもこの事が読者の投書として書かれてましたし、実際には生業とする方の使い込みも多いと聞きます。

    私も母の後見人になろうかと思い、義姉に相談しましたが、色好い返事を貰えぬままに
    私の知らない間に、母の管理から、義姉の管理になり、最終的に嫁姑の間で「好きな時に好きなだけお金を下ろせない使えない」と言ういざこざが発生して、母自身の金銭管理に戻った時点で、既に認知症がかなり進んでおりまして
    母は詐欺師に身ぐるみ剥がされてました。

    義父が残した遺言は、私はその場におりませんでしたが、身内が数人揃って居るとう事で、見つけたその場で自宅で開封してしまいました。
    嫁の分際でと言われかねないですし、私達夫婦には少ない分与しかそもそもなかったので、私は一切口は挟みませんが
    くどひろさん同様、万が一義母の介護費用が足りないような事が発生すると、介護費用がらみで相続の不備が
    問題になる可能性があると思っています。

    自分自身も生命保険くらいしか残すものはありませんが、夫に先妻との間に子供が居るので
    私たち夫婦の死ぬ順番によっては、私の残した死亡保険金が順繰りに先妻の子に行ってしまう事もあるので
    ちゃんと書いて残さないとダメだなと、あらためて思いました。

  • 自分もてんてこ舞いさま

    わたしが後見人だった頃は親族後見人も多かったのですが、今は専門職が任命されることが多くなり費用もかかります。悪徳も確かにいます。
    後見制度に怒りを持った方も、このブログに結構いらしてコメントされています。だから気軽に後見人にはなりたくないんですよね。

    そのあたりも含め、遺言はやはり大切だと思います。

  • 遺言の大切さご教示有り難うございます。
    父は認知症ですが、体はすこぶる壮健なので、ひょっとしたら母のほうが先、、
    という可能性もありますね。
    そうなったら確かにややこしそうですね。
    後見人とか超面倒くさそうー!
    しかし、母は父より長生きする気満々でいるので、
    真剣に受け取ってくれるかなぁ。
    財産目録の整理も、やるやると言ってそのままだし、
    いくら実の娘とは言え、あんまりそこをせっつくのも、微妙ですしねぇ。
    おまけにウチも40年超えのマンション、
    相続の前に売っぱらって、夫婦で入れる施設も検討しています。
    そして、私も子どもにそんな心配をさせないため、この際、遺言書こうかと思ったけれど、
    何も財産がないので、要らぬ心配でした。。

  • Amyさま

    こういう言い方は失礼かもしれないのですが、うちもしばらく生きているだろうと思っていてこんなことになってしまいました。人っていつ死ぬか分からないよなぁ・・・という誰もが思っていることを、強く実感したのが今回かもしれません。「遺言 財産ない」で検索してみてください、少し視点が変わるかもしれません。ただ行政書士が遺言の仕事に誘導しているかも・・・という視点を少し持ちながら記事を読むと、ちょうどいいバランスになるかもしれません。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住の介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ものがたり診療所もりおか地域医療推進室非常勤。祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母(認知症+CMT病・要介護1)のW遠距離介護。2013年3月、2回目の介護離職、同年11月祖母死去。2017年悪性リンパ腫の父も、別拠点で在宅介護したが死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を継続中!連載:介護ポストセブン(小学館)認知症ONLINE(ウェルクス)、著書:医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得 (廣済堂出版)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)