ものとられ妄想との戦いの中で3年ぶりに見つけたあるもの

もの探し 認知症

わが家では、ほぼ毎日「もの探し」をしている。

母は認知症で自分で片付けた場所を、忘れてしまう。よく失くすものはメガネ、メガネ拭き、化粧スポンジ、財布、財布を入れる巾着、爪切り、はさみ、ブローチ。

絶対になくされては困る財布や財布を入れる巾着には「キーファインダー」がついていて、リモコンボタンを押すとピーピーと鳴って場所を知らせてくれる。

しかし、それ以外のものはなくてもまぁいいかと思っているので、キーファインダーがついていない。そのため、自力で探すことになり、結局はほぼ毎日「もの探し」をしている。

ものとられ妄想の泥棒は、わたしに向けられることがないのでありがたいのだけど、わたしの妹とその旦那は被害者になっている。

といっても、わたしに対してしか言わないので、妹夫婦は直接の被害はない。

どうしても必要なものだったら、必死に探すようにしているが、それ以外のものは案外てきとうに探している。

どれくらいのスパンでものを探すかというと、3か月とか1年とか。

そのスパンで見つけられなかったら、諦めて新しいものを買うようにしている。

新しいものを買った直後に、よく探していたものが見つかるから不思議だ。

3年ぶりに見つけたあるもの

真剣にもの探しをしていると、いろんなものが見つかる。

一番うれしいのは、現金。

母は1万円札を、いろんなところに分けて保管する癖があるので、その1万円がたまに見つかることがある。

今回3年ぶりに見つけたあるものとは、銀行の通帳。

明細を見たら、3年前から何も変化がなかったので3年ぶりと分かった。

前から通帳を再発行しようか、実は迷っていた。

前回はキャッシュカードの再発行で行ったのだが、いろいろと面倒だったので足が遠のいていた。

3年経って見つかることはまれなので、妙にうれしかった。

最近、もの探しの時間がまた増えてきたので、家の断捨離を再開したほうがいいような気がしてきた。

過去にやった親家片(おやかた)は、食器棚。

家族5人分あった食器を、少しずつ少しずつ廃棄して、今はわたしと母の2人分の食器の量にした。

次はタンスの中を整理したほうがいいような気がしてきた。

着ることのない着物、使わないタオル、下着など、たくさんのものが詰まっている。

そういった中に銀行の通帳は埋もれていた。

きっとそれらを親家片していけば、現金5万円くらいは出てくるかもしれない。

また、物がスッキリするので、もの探しの時間を短縮できる。

問題は母に相談して捨てると、「全部要るから捨てないで」と言われてしまうことだ。

一気に廃棄してしまうと、母も気づいてしまう。

だから、少しずつ少しずつ廃棄をしていく必要がある。

チャンスは週2回、母がデイサービスに行っている最中に少しずつ廃棄を繰り返す。

3か月から半年くらいかけて廃棄をすると、変化が小さくて母もスルーしてくれる。

思い出のあるものは捨てないけれど、意味もなく取ってあるものは大量にある。

父の遺品整理を経験したとき、狭いのにこんなに物があるのかと驚いた。

母は一軒家だから、父のマンションの比ではないくらいものがある。

少しずつ廃棄を繰り返しながら、もの探しの時間の短縮を目指したいと思う。

今日もしれっと、しれっと。

 


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

私も帰るたびにタンスや押し入れの整理に追われますが、時間切れで次回に持ち越し。その繰り返しです。そして着物の整理が難題です。売るにしてもどのような手順がいいのか悩みます。出張査定もあるようですが、実家は長崎の離島。来てくれないよなーとか、こちらから郵送というのも色々不安もあり、これまた持ち越し中です。着物や調度品には母の歴史もあるとか思い巡らすと余計に難題です。割り切る勇気が必要だと思うのですが、なんだか寂しさもあり…。

ふくいさま

うちも着物の整理を保留しています。母は高値で売れると思っているようですが、たぶん売れないので母が生きている間は置いておく予定です。
メルカリのほうが高く売れるかもと思ったりもします。

私が直接言われた訳ではありませんが、父から家にあった物を勝手に持って行ったと思われているようです。
くどひろさんのご家族で例えると妹さんの立場です。
妹さんご夫婦は、どのように対処していらっしゃいますか?
教えていただけると助かります。

sakoさま

妹は滞在時間が短いので、母からすぐ離れられるためあまり気にしてないようです。
犯人役に昔はよくなっていた義弟はあまりこないので、それこそ気にしてないと思います。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか