遠距離介護と仕事の両立のはなし

わたし自身(介護する側)の話をするのは、これがブログでは初となります。

わたしは高校までは地元の高校に通い、大学から東京へ来ました。そのまま東京で就職し、ちょうど1年前に新しい会社に転職したばかりでした。ポジションはマネージャー、部下は5名というそんなチームでした。転職して9か月目に祖母が倒れてしまい、最初に思ったのは

『まだ1年も仕事してないのに、よりによって今か・・・。しかも祖母に加え、母まで悪化するなんて・・・』

という思いでした。思いとは別に、かなり冷静な自分でもありました。なぜかというとこれが初めての経験ではないから・・・・

■なんとなく覚悟していた6年間
2006年、父が脳梗塞で倒れました。わたしが33歳の時です。慌てて実家へ帰ったのですが、父は脳梗塞の影響でまず字が書けません。そしてろれつが回らず、自分の鼻を指で触ろうとすると、なぜか触れない 初めて見る父に、ギャグのひとつも思いつかないくらいへこみました。

この時もポジションはマネージャーで、部下が10人近くいたのですが、あまりの父の姿にすぐ退職を決意しました。仕事と介護の両立をこの時はまったく考えず、ただただ慌ててなんとかしないと!という思いだけで、辞めてしまいました。若かったからな~

その時に覚悟したのが、父の長期リハビリです。脳梗塞の後遺症って、片半身をひきずって歩く あの姿を今までたくさん見てきたので、このリハビリに付き合わなきゃならない!そう思いました。しかも父は、私が大学入学と同時に家を出ていきましたから、別居中の母の献身的介護なんてあてにできるはずもなく、妹と私でなんとかするしかない!そんな状況が6年前でした。(父はこの後奇跡的に復活しました、ホント奇跡です!)

■今回はどう仕事と両立するかを、いろいろと調べた
そんな6年前だったので、とても冷静でした。まず最初に調べたのが、社内の介護休暇。一般的には、次のように設定されています。

労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。期間は通算して(のべ)93日までです。

おっ! と一瞬思うのですが、これに2つの条件が加わります。まず1年以上、勤めていることです、わたしは1年に達してなかったのでアウト!そして無給です、有給休暇ではないのです。 次は体力的にカバーできるかの実験です。深夜バスで早朝についた後、重要な会議に出てみる という自分への体力テストをしました。体力はなんとかなるにしても、メンタルがついていかないなと。

会社に出勤しないと成り立たない職種であったこと、また数日休むと、まるで会社の様子が変わっている事が多かったので、介護休暇とりまくったら仕事にならないなというのは、最初から想像できました。

それでも何か手はないかと、以前読んだ東レ経営研究所の社長 佐々木常夫さんの介護と仕事との両立をもう一度読み直しました。

ちなみに佐々木常夫さんはというと、下記のような状態で社長業をされていたとんでもない方です!

『自閉症の長男と、肝硬変とうつ病を患い43回も入退院を繰り返した妻を看護する生活を長く強いられてきた。』

自分もそういうことできるかな・・・、考えてみましたが ”遠距離” というのがこういう時にやはりひっかかります。新幹線で片道約3時間、バスなら8時間はかかるようなところです。そして介護はスタートしたばかりで、いつまで続くかも分からない・・・これもまた続きますよっ!


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか