認知症の経過報告(1年と8週間目)・認知症が気になってしょうがない認知症の母

婦人公論

まずは、こちらのツイートから。

「認知症」 という言葉に対しての、認知症の母(70歳)の反応は一言でいうと微妙。

・自身が 「認知症」 であるという認識があることもある
・「年相応のもの忘れ」 だと思い込んでいることもある
・アルツハイマー型ではないと思っているし、ピック病は言葉すら知らない
・自身は「認知症介護」で苦労した経験があることは分かっている

「認知症」 と母に直接いう事も、たまにあります。ただ8割は「もの忘れ」 という言葉で母に伝えます。本人は「認知症」 とはっきり理解している時もあるし、「年相応のもの忘れで、認知症一歩手前」 と思っている時もあります。そういう微妙な状態で生活しています。

認知症特集がテレビで始まると、決まって母はこういいます。

母: 「ねぇ、わたしの何がおかしいの?会話はちゃんと成り立っているでしょ」

わたし: 「成り立ってる、成り立ってる。大丈夫」

母: 「でもね、お隣のAさん。わたしが話してたら、「あら、おかしい!」って。」

わたし: 「ふーん、そうなんだ・・・」

これがお決まりの1セットで、これを何ループか繰り返します。会話の最中にお隣さんが 「あら、おかしい」 なんていうはずもなく、お隣さんが親戚に変わったり、いろんな人に 「あら、おかしい」 と言われたことになってます(笑)

婦人公論を読んでいたせいでしょうか?なぜかこの日はこのループの “続き” がありました。

母: 「なんで、「あら、おかしい」なんていうのかしらね!!」

わたし: 「気にしなきゃいいでしょ」

母: 「いや、おかしいって言うなんて、おかしい」

この後も認知症に関する質問は続き、30分近くこんなやりとりが続きました。

わたし: 「いつ終わるのか・・・・」 (心の中)

自分の部屋に逃げればよかったのですが、ついついやってしまったんですよね・・・ここからはふだんは絶対に言わない言葉です。

わたし: 「例えばね、病院(認知症の)のこと。病院は靴を脱がないんだけど、脱ぐもんだと思っているでしょ」

母: 「看護師さんがね見送ってくれて、靴を履かせにきたんだよ」

わたし: 「それ、歯医者のことでしょ。病院は脱がないから。」(病院の玄関の写真を見せる)

母: 「・・・・いや、わたしがひとりで病院に行った時は、靴履かせてもらった」

わたし: 「病院にひとりで行ったことないから」

母: 「いや、ひとりで行った!」

言う事言う事が全部 「取り繕い」 で、いつも以上にしつこい・・・止めない・・・それをわたしは 「正論」 で返すっていう事をやってしまいました。火に油を注ぐとはこういう事で、この後も30分近くこの会話が続きました。

どう収束したかというと、最終的にはいつものパターンで、

わたし: 「そうだったね、ひとりで行ったね。靴履かせてもらったね。」

これが認知症の人に対する対応の正解だという事は、痛いほどに分かっています。9割はどんな「取り繕い」もこれで対応しているのですが、あまりにしつこい時とか、こちらの精神状態があまりよろしくない時などは、つい正論返しをやっちゃいます。

「やっちまったなー」

クールポコ状態で寝るのですが、翌朝になると母は忘れています。それを見て救われるのですが、しかし学習しねーなー・・・自分。この週は手足が不自由ということもあり、外出リハビリもしました。

自転車を杖にして、ゆっくり歩きます。たまに自転車を漕ぐときは、わたしが5m先をランニングして車が来ないかチェックします。先日の講演会でもあった、「自分でできる事は、自分でやらせる」 という思いもあって、こういう事をやってます。

以前は買い物に自分で行く事もあったのですが、最近はヘルパーさんがやってくれます。自分で行く事はほぼないんですが、それでもケアマネさんやヘルパーさんには、

母: 「たまに買い物に行ってます!」

とウソをつきます。自転車が復活すると徘徊リスクも高まるのですが、それでも自転車リハビリは今後もやっていきます。たまには自分で買い物をという願いもあって・・・で、今回一緒に外を出歩いて思ったのは、

・信号をよく見ないで、横断歩道に飛び出そうとする
・ATM操作が以前はできたが、今回は何回かミスしてなんとかできた
・見切り品というだけで食いつくが、それは冷蔵庫にありますよー
・以前はできた賞味期限チェックをせず、目の前のものをすぐとる

微妙・・・でもこの程度ならば、闘う介護福祉士の和田さんは巡回させるんだろうな・・・

 


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか