小さな発信を続けた結果、自分の世界を変えた人の話

受賞

昨日、東京・内幸町にある日本プレスセンタービルで、第4回斎藤茂太賞の受賞式がありました。

斎藤茂太は、歌人で精神科医の斎藤茂吉の長男。弟は北杜夫で、ご自身も精神科医となり、1973年に日本旅行作家協会を設立、2006年に亡くなります。

その10年後に斎藤茂太賞を設立。下重暁子先生や椎名誠先生が選考委員となり、104作品の中から選ばれたのが、介護仲間である、たかはたゆきこさん の『おでかけは最高のリハビリ!要介護5の母とウィーンを旅する』(雷鳥社)です。

昨年は、オードリー若林正恭さんの『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』 が受賞して話題になりました。協会名からも分かるとおり、介護本の受賞ではなく、旅の本での受賞です。

著者のたかはたさんとわたしは、2015年からネット上だけで交流があり、なかなかお会いできなかったのですが、4年かかってやっと、お話ができました。授賞式直前の1時間ほどです。

ポジティブな発想で介護にあたる仲間として、どうしても応援したくなって、メールのやりとりだけ続けた、4年間でした。不思議なもので、ブログの文体から人柄を感じられるので、お会いしても何の違和感もなく、スッとお話ができました。

受賞式には、この本の主役である要介護5で高次脳機能障害のお母様も、車椅子で兵庫から参加されたそうです。たかはたさん曰く、都内の車椅子での移動は、なかなか厳しいというお話でした。

お母さんの介護、重度の身体障害と知的障害の妹さんの介護、ご自身はヘルパーの資格を持ちながら、デイと訪問介護を行なって、本も書く。なかなかできることではありません。

小さな発信の先にある世界

たかはたさんもわたしも 、ブログやSNSで発信を続けています。3か月や6か月ではありません、わたしは7年近いし、たかはたさんは軽く10年を超えています。

ブログ記事の発信は、天に向かって銃を撃っているようなもの。バーンって撃っても、当たっているかどうか分からない。手応えもない。だけど書くことが好きだし、介護への思いを文字にして、自分で客観視して消化できる。だから、いつまでも書き続けられるのだと思います。

多くの人は手応えがない、反響がない、どうせ読まれないからと、ブログを3か月、6か月で止めてしまいます。その先に、実は面白いことが待っているのにです。

たかはたさんとお話して面白いと思ったのが、介護のポジティブ発信をあまりいいと思わない方もいるという話。わたしやたかはたさんの発信が、どうしてもダメという方はいて、ネガティブ発信に癒される、共感する介護者も多いです。その気持ちもよく分かるので、いろんな発信者がいるということで。

たかはたさんは本当にポジティブに介護をされるんですよね。脳出血で倒れる前のお母さんもスーパーポジティブな方ですから(現在もスーパーポジティブ)、血は争えないのだと思います。

わたしも割とポジティブなほうですが、小さくネガティブになる日もあるので、どうしたらあの領域まで行けるのだろう・・・。そこまで到達する必要はないのですが、やはりすごいですよね。

毎日コツコツ発信を続け、気づいたらそれが本になっていて、その本が受賞するって、本当に夢があります。小さな発信を続けていたおかげで、世界は変わるんですよね。書くお仕事はこれからどんどん増えていくんだろうなぁと思います。

たかはたさんとわたしの誕生日が同じ(西暦はたかはたさんのほうがお若い)という奇跡もあり、人生不思議なところでつながりますね。たかはたさんのブログはこちらです。

受賞作品はこちらです。スーパーポジティブな母娘が、たくさんの人の助けを借りながら、車椅子でウィーンを目指す話、介護している人の心を動かす作品です。

おでかけは最高のリハビリ! 要介護5の母とウィーンを旅する

おでかけは最高のリハビリ! 要介護5の母とウィーンを旅する

たかはた ゆきこ
1,540円(11/21 18:30時点)
Amazonの情報を掲載しています

斎藤茂太賞、おめでとうございます!!!

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか