介護施設に家族を預けっぱなしにしてしまう気持ちを理解した1か月

ひまわり畑

妹の長期休みと、介護職の皆さんのサポートのおかげで、1か月ほど遠距離介護をお休みし、昨日からまたいつも通りの東京、盛岡の往復生活が始まりました。

介護施設に親を預けたあと、すっかり足が遠のいて、施設や親と疎遠になるという、定番の介護あるあるですが、今回はその気持ちが少し分かりました。

自分の生活から介護が切り離されて、3日、2週間、1か月・・・時間が経つにつれ、だんだん自分の生活一色になっていく感覚が分かりました。

とはいえ、認知症の進行度から考えても、1か月会わなかったら、自分のこと忘れてしまうのでは?という覚悟も少しありました。40年以上連れ添った庭の梅の木が、何の木か今年から分からなくなってしまったので、ひょっとしたら自分も?という気持ちにもなりました。

遠距離介護の感覚は一瞬で戻る

1か月ぶりの実家でまず感じたのは、家の匂いです。それぞれ家の匂いに個性があると思うのですが、今までは住み慣れた実家の匂いに違和感を感じたことはありません。でも今回は、あれ?実家特有の匂いがあるなと感じました。

そして、冷蔵庫の残り物を廃棄しまくりました。その後郵便物のチェックをしていると、後期高齢者保険者証の切り替え時期でしたが、妹がうまく郵便物を逃がしていてくれたおかげで、紛失せずに済みました。

また、火災保険の特約を申し込み、無事証書が送られてきてました。(契約時のはんこが分からず、イチかバチかで提出したらOKだった)

火災保険は自分の家は自分で守るのが基本なので、自分の家から出火して隣家を燃やしてしまっても、損害賠償は発生しません。

今回の類焼損害補償特約は、ご近所が自分で火災保険に加入していなかった場合、うちがある限度額まで補償する特約です。

ガスレンジの火事対策もしておりますが、認知症の母のひとり暮らしの火事の不安はゼロではないので、年数千円のアップで特約をつけました。

母の変化は?

2泊3日の大腸ポリープ入院があったので、少し母に変化があるかもと思いながら接しました。

母は、デイサービスの職員さんがデイ所長の奥さんだと勘違いしている話、お隣が引っ越す話、誰かが家に入ってきて写真を撮った話など、退院前と同じ妄想話を展開しまくっていて、変に安心しました。相変わらず、リピート回数が尋常じゃないなと。

また、1か月という休みのおかげで、同じ話や妄想を受け止めるコップの水が空になり、数日間は心地よくリピート妄想話を聞くことができましたが、あっという間に満タンになりました。

でも足腰もしっかりしてましたし、普通に歩けている母を見てホッとしました。

ひとつ変化があったとすれば、わたしがいい男になっていた・・・ぐらいでしょうか?

わたしはたまにデイを訪問するのですが、デイの利用者さんや職員さんが「息子さん、いい男ね」と言ったという、不思議な話が追加されました。面白いので、しばらくこのまま付き合ってみることにします。褒められるリピートなら、何度でも聞けますしね。

なぜそういう話が追加されたかは分からないのですが、おそらくナイフみたいに尖って、触るものを傷つけたりはしなかったし、盗んだバイクで走ったりもしない、親の期待に応える優等生息子でしたので、それが母の頭の中で誤変換され、いい男に代わってしまったのだと思います・・・たぶん。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

コップの水が空になる〜わかる気がします。
市内の実家まで車で3〜40分。
週に一度は行きますが電話は毎日しています。
でもこの前、2日ほど電話を休んだらとても気持ちが楽になりました。
自分が心配だからしている電話。
母は私が毎日電話していることも当然記憶にありません。
何が正解なのか、無理して電話することはどうなのか⁇
考えだすと分からなくなります。

kazuminnさま

気持ちがラクになるということは、少し電話の頻度を下げたほうがいいという、ご自身からのサインかもしれませんね。
わたしは見守りカメラをつけてから、電話の回数が激減しました。

夫は私の事故による入院時施設入所しました。私には一切の了解無しに。偽息子達により。現在も施設がどこか教えてくれません。預金通帳も取り上げられ役所やあらゆる努力をしました。結果弁護士に預けました。在宅で介護5の状態を11年でした。ひとりになり自殺も考える時もあり生き地獄です。
会える機会があればあってあげてください

たかださま

過去のコメントで、認知症のお母さまが医療保護入院させられてしまった方がいました。この場合個人で動くよりも弁護士さんに依頼するほうがいいようなので、お願いして正解だと思いました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか