認知症の母のコロナ禍の眼科での行動

コロナ禍の認知症在宅介護では、次のような困りごとがあります。

  • 認知症の人が新型コロナウイルスが流行していることを知らない、分からない
  • 認知症の人がマスク、手洗い、うがいの必要性や意味が分からない

わたしが一緒に居てサポートすれば、母の感染対策はできます。しかし、母がひとりの時はもう、介護職の皆さんの徹底したコロナ対策を信頼し、サポートに頼るしかありません。

もしコロナに感染したら、腹をくくるしかありません。岩手はまだ病床がひっ迫していないとはいえ、認知症の人の受け入れが可能なのか微妙です。都内の状況を、NHKはこう報じてます。

都内の保健所はNHKの取材に対し、「認知症であったり介護が必要であったりする人は医療機関から受け入れが難しいと断られることが起きている」と話しています。なぜ、認知症の感染者を受け入れるのは難しいのか。認知症に詳しく、コロナの患者も受け入れている国立精神・神経医療研究センターの野田隆政精神科医長は、「認知症の人は自分で感染対策を徹底するのが難しく動き回るおそれもあり、専門のスタッフがいない一般の病院では受け入れが難しい事情もある。

引用元:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210125/k10012832161000.html

ごもっともです。わたしも母の予測不能な行動は、カバーできません。

わたしが駆けつけるにしても、万が一のためのホテル健康観察が要るので、時間がかかります。
コロナでなくても、遠距離介護中の病気やケガ同様、いつも心の底で少しだけ覚悟を決めながら往復してきたのですが、実際感染したら本当に腹をくくれるのか?

だからといって、施設でロールパンを小さくちぎらなかったことで訴えた家族のようなことはしません。

老人介護保険施設 ロールパン
コロナ禍で母と生活するうえで、危なっかしいなあと思ったお話です。

緑内障で眼科に行ったら?

母は緑内障で、左目の視野が若干狭くなりました。放っておけば失明するところでしたが、白内障の診察の際、ついでに受けた緑内障の検査で見つかり、事なきを得ました。視野が狭くなる自覚がないのが問題で、だから日本人の失明原因1位が緑内障なのです。

眼科に行くと、患者と付き添い家族のコロナアンケートがありました。体温や体調、2週間以内に感染拡大地域との往来があるかなどですが、わたしはいつも2週間経過してから通院しているので問題ありません。

でもドキッとしますよね? 介護や通院のための往来は岩手県も認めていますが、結局病院でこういうことになります。実質2週間経ってからでないと活動できないのですが、この2週間、休めない方もいます。

また、東京の住所をアンケートに書いたら、変な目で見られるんじゃないかとか。住所欄はなくホッとしましたが、変なところでハラハラします。

母は手足が不自由なので、腕を組みながら院内を歩きます。

スタッフ
はい、工藤さん。視力を測定しますね
スタッフ
はい、工藤さん。眼圧を測定しますね
スタッフ
はい、工藤さん。お写真撮りますね

検査機器の椅子に座ったり、あごを乗せたりするたびに、母はマスクを外そうとします。

くどひろ
はいはいはい!マスク外しちゃダメ!

医師の診察が始まるときもやはり、マスクを外そうとします。おそらくマスクをしたまま、人と話すのは失礼という意識があるのだと思います。冒頭に書いたとおり、コロナ禍の状況を全く理解していないので、こうなってしまいます。

コロナ前から「コホンコホン」という軽い咳をたまにする母ですが、コロナ禍では人が振り向いてしまう雰囲気です。眼科帰りのタクシーの中でもその場面がありまして、ドライバーさんが何か言ってくるわけではありませんが、介護者のほうが余計に気を使います。

デイに行くときもマスクをしてもらうのですが、帰ってくるとマスクがありません。おそらくデイ出発時にはマスクをしてても、送迎車の中で勝手に外してしまうのだと思います。すぐ、うがいと手洗いをやってもらいますが、こちらもドキドキします。

東京の人であること、母のマスクへの気遣いなど、コロナ禍の認知症介護は気苦労が多いです。その割には、普通に介護保険サービスも使い、通院もほぼいつも通りやっているので、実は何とかなってたりするから不思議ですよね。

最新回の音声配信voicyは、祖母の介護で後悔した3つのことです。この後悔を繰り返したくないので、かなり力を入れて話してます↓

今日もしれっと、しれっと。


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3件のコメント

本当は、病気になる前にいろいろ話しておけば良いのでしょうね。実際は、その時になって初めて慌てるものです。
私は父と元々仲が良くありません。認知症になり、要介護認定や車の免許返納に付き添った結果、未だに恨まれています。ここまでこじれると今後のことを話し合うことは難しいと思います。

眼科や歯科、皮膚科などは、2週間経たないと通えないところが多いですよね。私の住んでいるところでは、県外に行くといろいろ聞かれますので、介護から戻るとしばらく行けないところも出てきます。

おはようございます。

Voicyでお話ししていた、172ページのところを読みました。そして、となりの10の心得も読みました。そしてそして、おわりにのページも読みました。
今まで、困った時に当てはまるページを読んでいたため、巻末のところはちゃんと読んでいませんでした…。すみません。
ご自身も介護をしながら、皆さんに情報を発信してくださりありがとうございます。

sakoさま

うちも父、祖母と仲よくない相手の介護を経験して得たこともあるので、voicyでお話しできればと思ってます。

そして172ページ読んで頂き、ありがとうございます。そうなんです、付録を挟むと最後のほうまで目がいかないことありますよね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか