大好きだったあの人まで忘れてしまった認知症の母の反応

月1回、マネックス証券さんに寄稿しています。株式投資や為替など、マーケットに関する記事が人気の上位を占める中、わたしの書いた介護のコラムが瞬間的に1位になりました。介護と投資を掛け合わせる記事はそうないので、珍しかったのかもです。

舟木一夫ファンの母

母の認知症がまだ軽度だった2014年に、若い頃ファンであった舟木一夫さんのコンサートへ連れて行きました。学生時代に主演の映画を何本も見ていたようで、岩手にいらっしゃることはあまりないので、チャンスとばかりに写真集やうちわを購入しました。

当時購入した舟木一夫のうちわ

あれから9年が経ち、写真集はホコリをかぶり、うちわは居間の飾り棚の中に。せっかくの思い出も、認知症の進行とともに消えてしまったようです。

遠距離介護で実家に帰ったら、母が暑い暑いと言いながら、手元をパタパタさせてました。今まで全く使っていなかった、舟木一夫のうちわがなぜか復活!

エアコンを遠隔操作しているのに部屋が暑い原因は、母が戸を開けて冷気を逃がしているからですが、それにしても、あのうちわを母が見つけたのは驚きでした。よっぽど暑かったのかもしれません。

おっ!懐かしいね、そのうちわ。舟木一夫のコンサート、一緒に行ったよね~

そうだったかしらね。舟木一夫、どこにいるの?

ほら、うちわのこの人。これ、これよ。英語でFUNAKI KAZUOって書いてあるでしょ。

うそー、この人じゃないわよ。違うって。

母の認知症は、重度まで進行しています。あれだけファンだった舟木一夫の顔を見ても、どうやら分からないようです。息子のわたしの顔を見ても、名前と顔が一致しないときもあるくらいなので、しょうがないですよね。

母との約束で、棺に舟木一夫の写真集を入れることになっているのですが、こう言われちゃうと、入れなくていいのかなって思ってしまいます。でも今より記憶がしっかりしている時期に、棺に入れて欲しいと言っていたから、そっちのほうが有効ですよねきっと。

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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

偶然ですね~、うちの母も舟木一夫推し…
…といっても、元々親子間の会話に乏しい私の場合、それを知ったのはデイサービスの方から聞いた次第です…(まぁ、知っても自分は舟木一夫の話が出来る訳でも無いですが…)

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか