あれ、デイの日なのに母が起きない!離れて暮らす息子の取ったある行動

今日はデイサービスの日。

わたしが東京に居るときはいつも、ヘルパーさんが岩手の実家へ来て母の送り出しをしてくれる。だから東京に居ても安心……、というわけではない。ヘルパーさんに来て頂く前に、東京でやらなければならない役割があるのだ。

台所を暖めておく

母がデイサービスに行く日、わたしは必ず朝5時に起きる。

読者の皆さんは決してマネしてはダメだが、遠隔操作で実家の台所のファンヒーターのボタンを押して、母が起きる前に台所を暖めておく。この時期だと、朝5時の台所の平均室温は4℃くらい。外気温が-10℃くらいの日は、室温が1℃になることもある。

台所の見守りカメラで、ヒーターの前にモノがないかを確認してからポチッ。母は寝ている日もあれば、朝4時くらいから起きている日もある。もし起きていたら、すかさず台所を暖めるし、寝ていたら30分くらい経ってから暖め始める。

エアコンと違って、灯油ファンヒーターはすぐに部屋が暖まる。10分経たないうちに、室温は一気に10℃くらいまで上がる。というのも、設定温度をMAXにしてあるから、急速に暖まる。

母はこのヒーターの音で起きる日もあるのだが、この日は起きる気配が全くない。その間に、わたしはブログを書いて、また見守りカメラを見る。6時になっても起きてこない。あれ? 6時30分まで、待ってみるか。

まさか死んでないよね?

母がなかなか起きてこない日に、必ず頭をよぎるのは「まさか死んでないよな」という思い。ちょっと焦り出したわたしは、遠隔で母を起こす作戦を開始する。

まずは居間にある固定電話をジャンジャン鳴らす。だいたい電話を鳴らせば、音で起きてくれる。何コールか鳴らしつつ、寝室の見守りカメラで母が起きるかを確認する。しかし、この日は1分近く鳴らし続けても起きてこない。え、ウソ? まさか??

数分後にまた固定電話を鳴らしてみるも、母の布団に動きがない。困った。次に携帯電話も鳴らしてみる。携帯は固定電話の隣にあって、あまり代わりにはならないのだが、別の音で起きてくれるかもしれない。でも、起きない。え、具合悪いのか?

次に居間のテレビを遠隔でつけて、音量を上げてみる。いくらなんでもこれで起きるだろうと思ったが、布団に動きがない。やばい、やばいなこれは。

生死のやばさもあるが、ヘルパーさんが来る2時間前に母を起こしておかないと、母はデイサービスを嫌がる可能性がある。自分は手足が不自由で準備に時間がかかると思っているので、ドタバタで準備するくらいなら、もう行かないって諦めてしまうのだ。

だからヘルパーさんが来る前に台所を暖め、起きてないときは早めに起こして、スムーズにひとりでも準備できる状態にしている。ひとりで完璧に準備できないので、そこはヘルパーさんの支援をあおぐ。

ちょっと待てよ。寝室の見守りカメラは、連続録画している。どれどれ映像でさかのぼってチェックしてみよう。動画を確認したところ、10分前にポータブルトイレを使った形跡があった。とりあえず、生きてる! 10分前に起きてるから、きっと深い二度寝タイムに突入したのだろう。

わたしもこの日は朝早く外出する予定があって、とにかく時間がない。どうしよう。困った。起きない。しょうがないから、最終手段を使うことにした。

見守りカメラによる声掛け

わたしはスマホを自分の口のそばに持ってきて、マイクボタンを押してこう言った。

「おはようございますー、朝ですよ。今日はデイサービスの日ですよー」

わたしの声が、寝室にある見守りカメラのスピーカーから響き渡った。固定電話や携帯、テレビでも起きなかった母だが、寝室にいないはずの息子の声が鳴り響いたおかげで、さすがにムクっと起きた。

7時を過ぎていた。母が起きた時点で部屋はしっかり暖まっているし、なぜか居間のテレビもついている。息子の天の声は不思議だったと思うが、そんなこともすっかり忘れ、母はデイの準備を始めてくれた。そして、無事デイサービスに行ってくれた。

スマホで声掛けのオチの話、最近多いな~

音声配信voicyの最新回は、最近読んだ本『ケアマネジャーはらはら日記』のご紹介です↓

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか