親の家の片付け問題「親家片(おやかた)」体験談

以前、親家片(おやかた)=親の家の片づけ の話を書きました。ただの片づけ、断捨離とも違う、「親家片」には、いろんな感情がうごめくんだよ という事を書きました。その記事がこちらです。

「親家片」の実体験のコトバとして、うちとそっくりだと思ったのが、こちら。

私から見れば不用なものに、なぜ父があれほど執着するのか全く理解できませんでした。ものを捨てると怒り出す父を、私はすごく責めてしまい、父はすっかり意固地になってしまいました

ちょうど片づけをしていて、同じような事が起きたので共感してしまいました。うちは認知症の母を責めたりはしてませんが、不用なものに執着するというところは、同じです。どうやったら片づけられるか・・・・考えた結果が、

「1回共感しておいて、こっそり少しずつ片づける大作戦!」

です。我が家でどうしても片づけたいところは2か所、「食器棚」 「冷蔵庫」です。ここからは写真でお送りします。(クリックすると拡大しますが、拡大の意味ないかも・・・)

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まずは食器棚↓

この30年使った食器棚は、扉がなかなか開きません。手足が不自由で、ペットボトルを開けるのも苦労する母には、扉の扱いはものすごく大変です。それに加え、家族5人で住んでいた頃の食器の量のままで、今はひとり暮らし。いらない食器だらけです。そこで容量半分の食器棚に、強制的に変えました。

親家片3

高さが半分になっていて、容量も半分↓

こちらニトリで3万円で購入したんですが、母は大変気に入ってます。試しに自分で食器棚整理してみて とお願いしたところ、

親家片2


「大家族かよ!」 「酒飲まないのに、とっくりって!!」

でもここで母を責めてしまっては、認知症が悪化してしまいます。ということで、毎日少しずつ皿やグラスを抜き取って、自分の部屋に運んでいます。この写真の状態はすでに30%減(これでもかなり減らしました)で、まだまだ減らします。

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自分の部屋の机の下に、毎日の成果を詰め込んでいる↓

食器棚の容量を小さくしたのはよかったんですが、どこに何があるか なかなか覚えられません。はしを出すのに、全部の扉を開けます。そのうえ、こんな置き方までしちゃいます。

親家片1

はしの上に皿をしまうので、はしが見えなくなってる↓

母になぜこんなに食器が必要か? とりあえず聞いてみました。すると、

母:「今度、お客さんがきたら必要だし」 (→ お客さんは来ません)

母:「お酒飲むとき、とっくり使うし」 (→ 酒飲みの父はだいぶ前に家出してます)

という回答でした。

ここで正論で返してはいけません、わたしは大人です(笑) 認知症の対応方法も、しっかり勉強してます!

母のいう事は素直に?受け止めつつ、母がトイレに行った隙を見計らって、皿を抜き取り” 腹” に隠します。で一気に自分の部屋まで走り、段ボールに収納です。段ボールは机の下に隠します。

この方法だと母は食器が減っている事に気づかず、わたしも母を責めることなく、ミッションを遂行できます。

次は冷蔵庫です。冷蔵庫に対する母のポリシーがありまして、

「冷蔵庫をいっぱいにしておけば、電気代が安くなる」

親家片5
親家片4

その結果がこちら↓


何が詰まっているかというと、9割は空き容器、空きびんです。中身は入ってなくって、すき間にジャムや豆腐を置いてます(笑)ちなみにこの写真で、最初の頃から30%減らしてます。ヘルパーさんが最初うちの担当になると、皆さん必ずこう言います。

「冷蔵庫いっぱいなんで、お買いもの大丈夫そうですねー」

大丈夫じゃないんです、全部からっぽですから。ヘルパーさんも混乱するし、奥の方からいつのものか分からない ”生もの” が出てきたりして、恐怖です。こちらも空きびんを腹に隠し、自分の部屋に走ります。

面倒なのが遠距離介護のため、燃えないゴミの日とうまくタイミングが合いません。そこでレンタカーを借り、ごみ焼却場まで持ちこみで廃棄をしています。すでに2か月間これやり続けてますが、一気に捨てるとさすがに気づかれるので、少しずつやってます。

これが我が家の 「親家片」 なんですが、実はストレスになってないかもしれません。腹にびんを隠して、部屋に走る自分がおかしくておかしくて・・・しかも毎日毎日(笑)いろんなものに執着することってありますが、どうか本人の意思を尊重しつつ、うまくかわしてください! 

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

6件のコメント

こんにちは?!
これはものすごくわかります?我が家もそぉっと少しずーつ処分してます。
もちろんポケットや腹に入れて、見えない廊下まで何食わぬ顔で早歩き。見つかると大事になってしまうので(笑)
ただ、たまに覚えている時があり「青い模様のカップがないんだけど?」と言われすごい焦ります。もちろん「ホント??今度探しておくね?!」とその場をごまかします。ビオトープ化していた台所はだいぶ片づいたのですが、タンス、押入れなどまだまだ片付けたいところはたくさん…。もう、押入れなんてカオスです!まぁ、ゆっくりやりますが…(笑)

1104yummyさま

ま、まさか!腹に入れてる人、日本中探しても自分だけだと思ってましたよ(笑)
そうなんです、たまに思い出すんですよね・・・その場をごまかせば忘れるので、わたしもごまかしています。

はじめまして。

とてもよく分ります。

ウチは、キッチン床工事の(抜けそうになっていた)折、
数多ある5枚組の3枚(または5枚)を別室の段ボールに詰めてしまい、
問われる度に(問われる前にも)
「地震が来たら危ないから普段使う他は仕舞ったのよー」「ふーん」
「すぐ使うなら出すからねー」「まだいいわ」とやっているうち、
それが定着しました。

古い食器棚のまま使っていて、
下段の開き扉は、滅多に開け閉てしないので、
もう使わないだろう大皿など入れたままです。

最近、個別収集をお願いして、燃えるゴミの苦労が少なくなりました。
燃えないゴミは、キャリーバッグで持帰ります。
食材を用意するときは、なるべくビン・カンを避けますが、
母の好きな、みつまめ缶などは、
持帰り覚悟で、ときどき買っちゃいます。

すいかずら姫

コメントありがとうございます!

なるほど、個別収集という発想がなかったので、いつか検討してみたいと思います。
食材を用意するときに、ビンカンを避ける よく分かります。この前、ケース買いで
缶ジュースをヘルパーさんが買ってきた時はあせりましたよー

うちでは母が洗った皿を適当に手当たりしだい入れてしまうので張り紙をしています。
「スプーン」「フォーク」「大きい皿」などなど。最近さいばしと普通の箸を一緒にしているのでどうしようかなーと思っているところです。
後保存容器は透明な棚に入っているのですがこれもおかまいなしなのでまた張り紙ですね。うちは付箋紙だらけですw

syumitektさま

いつもありがとうございます!

うちもはり紙をはがさなければ、はっておきたいところなんですが、はがしちゃうんですよね。わたしははり紙しなくても分かっている!
ということらしいんですが・・・

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか