認知症の母の過食が始まったときの話と対策

あんたも飲む?

買い物から帰ってきたばかりのわたしに母が勧めた飲み物は、1リットルパックの牛乳でした。

近くにコップがなかったので、また牛乳の直飲みしたな!とすぐに気づきました。直飲み対策の記事は、こちらを読んでみてください。

せめて、コップで飲んでよ!と思いながら、牛乳を冷蔵庫に戻そうとしたら、軽い!

え、ウソでしょ? 買い物に行く前は、ちょっとしか牛乳減ってなかったから、900mlはあったはず。それがないってことは、買い物に行ってる間に全部飲み切ってしまったようです。

これって、認知症の症状のひとつ、過食? という思いと、78歳の高齢者が牛乳を一気飲みして大丈夫かという、2つの思いが同時に湧き上がってきました。

食べたことを忘れる

過食より、食事を食べたこと自体を忘れる場面は、これまで何度もありました。

母の場合は「まだご飯食べてない!」と怒るのではなく、「あれ、ご飯って食べたっけ?」と穏やかに質問してくれるので、「さっき食べたでしょ」と返事すると、「あら、そうだったかしら」で終わります。

わたしが一緒のときはこれでいいのですが、ひとりのときはおそらく食べたことを忘れて、また食べてしまう、いわゆる過食になっていると思われます。

過食の対策として、川崎幸クリニック院長の杉山先生の方法をご紹介します。

認知症の初期であれば、食べ終わった食器を見せながら、「おいしいと言って食べていたでしょう」など説明すると納得する場合があります。この時期には、食べ終わっても食器をすぐに片付けないことが必要となります。それでも納得しない場合には、「食べていない」という本人の思い込みを認めた上で、「今、準備しているから少し待っていてね」「おなかがすいたのね。おにぎりがあるからこれを食べてね」と対応した方がよいでしょう。

引用元:https://saiwaicl.jp/outline/pdf/article_40.pdf

そしてもうひとつ、興味深いところを引用します。

過食の時期の認知症の人を観察すると、①動きが非常に活発である ②大量の排便をする という点に気が付きます。エネルギーの使い方が多くて、しかも栄養の吸収の効率が悪いと考えれば、大量に食べる食べ方は異常な食べ方ではなく、必要なカロリーを摂取しているにすぎないと考えることができるでしょう。

引用元:https://saiwaicl.jp/outline/pdf/article_40.pdf

わが家では、ホワイトボードに「夕食、食べ終えました」と書いて、母の見えるところに置いたり、夕食の際に食べ残しがあると「ご飯食べた?」というので、できるだけ完食するよう、声掛けをしたりしています。

そして杉山先生の言うとおりのことが、翌日に起きてしまったのです。

早朝のお風呂場から母の声が!

ねぇ~、ちょっと!!

-6℃の寒い朝だというのに、なぜか母がお風呂場にいました。なんでこんな時間に、お風呂場からわたしを呼ぶのだろうと思って話しかけると、返事がありません。

こういうときって不思議なもので、急に点が線になることがあります。変な時間にお風呂 → おそらく便失禁の処理をしている → 昨日の牛乳の一気飲み とつながりました。

いつも母がお風呂場で便失禁の処理をするときは少量で、わたしにばれるレベルで証拠隠滅のための軽めの掃除をします。しかし今回は量がすごくて、文字では表現できないレベルで便が広がっていて、どうすることもできずに、わたしに助けを求めたようです。

あんなに牛乳を一気飲みしたら、そりゃこうなるわなと。量がすごいので、ニオイもすごいし、お風呂場も脱衣場も大変な状態になりました。履いてたズボンも、念入りに下洗いしたあと洗濯し、朝から大騒ぎな1日でした。

他にも過食があるので、最近は冷蔵庫の在庫を少なめにして、買い物の回数を増やして対応しています。腹が出て、入らないズボンが増えたのも、おそらく過食から来ているのかもしれません。コロナ禍でなければ、もうちょっと帰省の頻度を上げて対処するのにな……。

音声配信voicyの最新回は、ガイアの夜明けの認知症の回の感想をお話ししてます↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか