【大腿骨骨折】入院中の転倒やベッドからの転落は病院の責任か?

祖母(89歳)は子宮頸がん&認知症で入院していますが、その病院で起きてしまった事故のはなしです。

入院先の病院からの突然の電話

わたしが東京でランチをしていた時に病院から電話がありまして、

『おばあさんが、骨折されました』
『明日の朝9時に、こちらまで来てもらえますか』
『処置をしないと、このまま寝たきりになって亡くなられる可能性があるので、別の病院で手術される事をお薦めします』

突然の骨折の知らせ、そして明日の9時に実家へ帰る・・・ 友人とランチ中だったのですが、そこからはランチを中断し、どうやってこの状況に対応しようか考えて、偶然妹がその日休みだったので、とりあえず初期対応は妹にお願いすることにしました。

祖母が滞在していた療養型病院は整形外科がありながら、大腿骨骨折の処置はできないんです。ほんと病院って様々だなって、この時初めて知りました。こちらの整形外科の先生とお話した時、電子カルテ操作ができないおじいさんでした。おじいちゃん先生でも、腕のある方もいっぱいいらっしゃいます。患者家族もやっぱり認知症同様、勉強が必要なんですね。

結局、元気な認知症の祖母は、早朝に歩き回った際にベットから転落して、大腿骨を折ってしまったということが分かりました。

急性期病院への転院

大腿骨骨折の手術は、他の急性期病院で行われました。麻酔科の先生から説明があったのですが、『リスクは上から3番目、10000人いたら、8人は亡くなることがあります』 うーん、微妙な数字ですが、やっぱりドキドキします。89歳の祖母に全身麻酔・・・やっぱり怖いです。

そして麻酔の効果を死直前と勘違いしている祖母が、『もうだめかもしれない・・・』 なんていうもんですから、私もかなりあせりました。

久々にこの急性期病院へ入院(これで4か月で3か所目の病院)に入って、改めて看護師のレベルの高さ、お医者さんのレベルの高さにただただ感激し、元々いた療養型病院と比較して、

『病院の見極めってできないけど、どこの病院に入院させるかでだいぶ状況って変わるんだな』

これははっきり分かりました。

病院側の対応

正直言うと、とても複雑な心境です。これで病院を訴えたい!って思う方もネット上にいて、いろんな意見を読みました。一方で24時間お世話してくださっている看護師さんも現にいて、そういう方への感謝の気持ちもあります。下記サイトも読んでみて、確かに防ぎうる事故と防げない事故というのは分かります。

Q 入院中の転倒やベッドからの転落は、病院に責任があるのではないですか?

A 確かに、病院に入院されている中での事故として、病院には大きな意味での管理責任はあると思います。しかしながら、現実の医療体制の中では防ぎうる事故と防ぎえない事故があることを皆さんには理解していただきたいと思います。 患者さんが危険な動きをしないように何らかの方法で身体を拘束したり抑制したりすることは特別な状況でない限りできませんし、1対1で常時監視することができない中では、患者さんの転倒やベッドからの転落を全て防ぐことはできません。1フロア50床の一般病床の深夜帯に勤務する看護師数は 3~4 名という現実の中で、実際に家族の方に付き添っていただいている時でも転倒・転落事故が起こっているのが実情です。
引用元:神戸市立医療センター西市民病院(現在リンク切れ)

認知症の患者さんやせん妄状態にある患者さんが多い中で、転倒・転落をゼロにできないのが現実なのです。

じゃぁ、在宅看護していて、こういったリスクはなかったか? たぶんあります。自分が目を離した隙に骨折・・・十分にあり得るはなしです。起きてしまった事に対しては、わたしの結論は、『やむを得ない。でもそういったリスクは、病院選びの段階からリスクは減らせる』。 正直病院選びも地方都市では、ネットに情報があるわけでもありません。

入院してみないと分からない・・・ これが現実です。本人の気持ち(認知症なので病院にいる認識がない)をくみ取りたいですが、あまり病院を次々と変えるのも得策ではないと思っています。無事手術が終わり、元の病院に戻ることになるのですが、そのはなしをまた今度書きますね。


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2件のコメント

大変でしたね。そのお気持わかります。最近私の父が田舎の病院に入院していました。最初は物の様に扱われていました。私は医師と看護師長に「自分の親でも同じようにしますか?患者さん一人一人をご自分の家族だと思って接して下さい」と言いました。それから対応は変わりました。結局父は亡くなりましたが看護師さんたちは良く看て下さいました。
今は主人の祖母が肺炎で入院していますが暴れるからといって3人で抑えつけておむつを交換した際に右太ももを骨折させられました。看護師長が「私達も殴られました」と言い張りました。100歳の祖母が暴れてどなたか怪我でもしたのでしょうか?医療従事者として言う事でしょうか?医療倫理のレベルが低いと言うと「医療倫理が低いとはどのような事について言っているのですか」と反撃してきました。看護師長に伺うと自分はこの病院にしか勤めた事がないとの事。井の中の蛙でした。祖母は特養にもう帰っていたはずなのに今ではこの馬鹿な病院で最期を迎えることになりそうです。骨折以来 食欲も意欲もなくなり今は点滴のみです。祖母の命はあと2~3ケ月でしょうと主治医は言います。10月末には退院予定でした。まったく人殺しのような富○県小○部市北陸○央病院です。傷害事件で訴えたいです。

杏さま

コメントありがとうございます。

わたしの祖母(90歳)は先日亡くなりました。死因は「子宮頸がん」ということでしたが、わたしは「大腿骨骨折による老衰」だと思っています。
24時間自宅介護ができない場合は、病院や施設に運命を託すしかないんですが、わたしたちは「いかにいい病院や施設をチョイスできるか」
でしか患者を守ってあげられないんですよね・・・・

施設は見学や体験入所ができるのでいいのですが、病院は難しい・・・ましてや地方だと選択肢も少ない・・・

今できる事は、おばあちゃんのところに行く回数を増やして、声をかけてあげることかなと思います。家族が来ると、やっぱり元気になります。
病院に対してのお気持ちもよく分かりますが、まずはおばあちゃんのために時間を使ってあげてくださいね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか