認知症と「転倒・骨折」の危険な関係と予防法

NHK Eテレ TVシンポジウム 「ご注意!認知症と転倒・骨折の危険な関係」 が放送されました。

この特集は、いまのわたしにものすごく刺さるものです。亡くなった認知症の祖母は大腿骨骨折から寝たきりになりましたし、認知症の母は病気のため歩くのが不自由で、すぐ転びます。

ということで、今日はこの番組で紹介された ”認知症の人の” 転倒・骨折の予防法?について、ご紹介します。

認知症の人はそうでない人に比べて、2倍転倒しやすい

2倍転びやすい理由として、認知症の人は ”うまく ”転べないんだそうです。まず、空間認識能力が欠如しています。普通なら手をつくのに、手をつく事ができません。母の場合は、病気のため転びやすさ10倍くらいだろうな・・・・実際にグループホームでの転倒・骨折の理由として、次のようなものが挙げられます。

1.体の向きを変えようとして転ぶ(声をかける) 
2.動く引き戸によりかかる
3.靴がうまく履けない(左右を間違う、かかとを踏む)
4.いすにうまく座れない(体とイスの位置が分からない)

認知症の人は注意を2つ同時に向けられないので、1.の場合階段を下りてる途中で声をかけてしまって、転落ということもあります。空間認識能力がないという事と、上記はリンクしてますね。また、認知症の種類別の転倒の原因としては、

1.アルツハイマー 注意力の低下による転倒
2.脳血管性認知症 まひなどから来る歩行困難による転倒
3.レビー小体型 幻覚、運動障害による転倒

というのがあります。認知症の人は、なぜ転倒・骨折してはいけないんでしょうか?

認知症が悪化してグループホームに入居する例

自宅で骨折 → 入院 → 認知症進行・身体機能低下 → 自宅での生活が困難 → グループホームへ入居

祖母は若干違いますが、子宮頸がんの入院から大腿骨骨折、寝たきりまでのプロセスがこれと合致しているんですよね・・母もこのパターンにならないように願うのみなんですが、独居で遠距離介護・・・完全サポートはできていません。

入院がなぜいけないかという事も、ご紹介します。

入院中に認知症が顕在化・悪化する理由

1.病院という自宅とは異なる環境での心身面のストレス
2.けがによる安静 → 活動量の低下・対人交流の低下
3.鎮痛剤などの薬の副作用

祖母は環境の変化に驚いて、ベッドから転落したんだとわたしは思っています。子宮頸がんとはいえ、徘徊するほど元気だったのが、骨折をきっかけに一気に寝たきりになり、最期は亡くなってしまいました・・・本当に骨折は怖いし、入院も怖いです。

認知症のため、リハビリを理解できない というのも大きいです。骨折してしまったら最後、リハビリの意味がなくなってしまい、寝たきりになり亡くなってしまうのです。最後に予防法です。

転倒・骨折の予防法

1.生活環境の改善

広島県福山市のありがとうグループホームで、実際に行われている改善をご紹介します。

・段差のあるところには色を塗る
・フロアには柔らかい桐材を使用
・部屋の動線上に手すりを設置(タンスなどの家具にもつける)

・先端が上向きのスリッパ(段差にぶつからないため)
フローリングよりも畳、ベッドではなく布団
センサーマットは部屋の入口に設置 
・ヒッププロテクターをつける

布団かベッドか? というのは、かなり重要だと思います。祖母がベッドから落ちたのも、布団の感覚で徘徊しようとしたらベッドで転落しちゃったんじゃないか?そう推測しています。

布団→ 転落リスクない、立ったり座ったりの筋力アップになる、介助者は介助しにくい
ベッド→ 転落リスクあり、立ちやすいし、座りやすい 介助しやすい

布団とベッドそれぞれメリット、デメリットがあります。

2.食事・運動

高齢者で肉や卵をとらない人が増えていて、新型栄養失調という言い方もあるそうです。タンパク質は若い人よりもむしろ必要です。よく食べる高齢者は元気、元気な高齢者ほどよく食べる と言ってたのは、妙に納得です。

家で食事を作るとワンパターンになるので、外食は普段家で食べないものにチャレンジする。コンビニ、デパ地下もOK!と言ってました。我が家はこれ、やってます!

運動は日光を浴びながら というのもポイントだそうです。丈夫な骨には日光が必要 というのが理由です。母の口ぐせで、

「家の中で掃除しているから、運動ができている」

というのがありますが、日光を完全に忘れてました・・・量を増やしていかないといけないな と思っています。

いかがでしょうか? 本当に認知症にとって、転倒・骨折は怖いんです!決して大げさではなく、死が一気に近づくというのがわたしの実感です。みなさんも転倒・骨折には十分注意してください。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

家族としても本人も認めたくない部分です……

上記内容に注意しながら、様子をみます。

いつも笑顔でいられる環境を作ってあげたいです。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか