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認知症の母が繰り返しコップを叩く行動とその対処法

認知症 問題行動 困った

最近、コップが次々と割れるという怪現象が起きました。その数、半年で10個。わりとゆっくりなペースだったので、最初はこう思ってました。

くどひろ
最近、よく転ぶなぁ・・・病気が進行したかな?

母のシャルコー・マリー・トゥース病は、ものすごくゆっくり進行する病気で、筋萎縮で歩行が困難になっていきます。フラフラ歩くため、前からよく食器を割っていました。とはいえ、少し多いなと感じる程度でした。ある日、まとめて燃えないゴミに出すときに、食器を見て気づいたのです。

「なんで、コップばっかり?」

茶碗や皿も割れていたら、おかしいとも思わなかったのですが、コップばかりが10個も割れています。

「おかしい・・・」

コーヒーを飲んでいるとき、コップの飲み口がザラザラになっていることに気づきました。(記事タイトル下の写真、飲み口が欠けてます)古いコップでもないのに、なぜ?と思っていると、台所から妙な音がしました。

「カン、カーン」

台所へダッシュしてみると、母が包丁を持って料理していました。それでも分からなかったので、料理を後ろからジーッと見ていたら、理由が分かりました。包丁で、コップを叩いたときの音だったのです。早速、

「認知症 症状 包丁でコップを叩く」

とgoogleで検索してみても、ヒットしません。認知症と包丁で検索すると、認知症の方が包丁を持って暴れ回る「問題行動」の話が出てきました。

認知症の人の「問題行動」の原点とは?

人は記憶を頼りに生活していますが、認知症の人は、物そのものや、その使い方などを忘れてしまっているためにちぐはぐな行動をとってしまうのです。介護者側はこのちぐはぐな行動を問題行動とみてしまいがちです。問題行動といわれるものは、認知症の周辺症状からおこるものです。この周辺症状は、本人が元々持ち合わせている性格や置かれている環境が大きく作用しているため、人によって大きく症状が異なってきます。
引用元:https://www.sakouju.jp/carenews/ninntisyoumondaikoudou/

確かに、うちの症状もネットに載ってません。この記事で、介護者がやってはいけないこととして「優しく指摘すること」とありました。指摘すると、混乱し、さらに問題行動が増えると。厳しく指摘しないだけいいかな?と最初は思いましたが、やはり本人のプライドを傷つけるので、優しくてもだめなんでしょうね。

叩く行動の対処法とは?

包丁でのコップ叩きは、今年になって急に始めた「困った行動」です。ただ、この「困った行動」で本当に困っているのか、考えてみました。

  1. 母やわたしがコーヒーを飲むとき、くちびるを切ってしまう
  2. 来客のとき、お客さまがくちびるを切ってしまう
  3. 母やわたしが、コップの破片を飲んでしまう

困ったとすれば、こんなところかなと。

まず1ですが、母を観察すると、コーヒーを飲むときはギザギザの飲み口を避けながら飲んでます。わたしは、そもそも母の持ってくるあらゆる食器を信用してないので、箸やスプーンはティッシュで必ず拭いて使います。洗い忘れや拭き忘れが、日常だからです。コップも同じように疑って使うので、くちびるは切ったことがないです。

2はそもそもお客さまにお茶を出すという機会がなく、出すとしたらわたしがやります。汚い食器、欠けたグラスでお茶を出す可能性があるためです。年に数回しかないから、これも問題なし。

3だけは問題ですが、さすがに大きな食器片を飲んだら、母もわたしも吐き出すので、これも大丈夫かなと。(細かい食器片は問題ですが・・・)

結局、新しいコップを妹の実家から持ってきてもらい、しれっと食器棚に並べておきました。新しいコップにすることで、包丁でカンカンやることをためらうかなと。今までのコップは写真の通り欠けているので、カンカンしても問題ないと思ったんじゃないかと。

「問題行動」というタイトルにしたのですが、すみません・・・全然問題だと思ってません、ハイ。

あとは、「介護者は、問題を問題と思わない、問題行動と言わない」という対処法もあります。もうひとつの対処法は、「放置」です。これもかなり有効な対処法です。

問題行動も、ずっと続けられないんですよね。ブームがあって、放っておくと収まるということがよくあります。介護者は気になって気になって仕方ないかもしれませんが、あえて放置して時が過ぎるのを待つというのも、有効です。

なんだ、対処法になってない!って思われるかもしれませんが、認知症介護歴・数ヶ月の人にはなかなかできません。何でもすぐ解決したがる時期だからで、しれっとやり過ごすには、介護者の「鋼のメンタル」が必要で、時間がかかります。

介護者は、「問題→解決法」という記事が大好きです。googleで必死に検索した方が、この記事にたどり着いた結果、

「そっかぁ、認知症の症状と、気長に付き合ってみっかぁ~」

って思ってもらえば、この記事の役割は終了でございます。きっと認知症の方は、穏やかに過ごしてくださることでしょう。

ブログを書いていて面白いのは、こんなコップの話は他にはない!と思って書くと、全国どこかに「うちもそうです」という方がいらっしゃいます。でも、今回はないかな・・・

ちなみに母に理由を聞いてみました、どうして包丁でコップを叩くのかと。そしたら、

包丁の水切りのため

ウソつけ~ と思いながら、迷回答で笑いました。音楽を奏でるためと答えたら、頭キレてるね~と褒めたことでしょう。

今日もしれっと、しれっと。


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11件のコメント

大脳辺縁系の行動は、根本的には学習の影響を受けていないと、考てます。幼少期やトラウマと呼ばれる潜在意識にあると思われる学習効果しか、大脳辺縁系の行動に直接影響を及ぼさないのでは無いかと思われるす。
お母様の行動は、常同行為と呼ばれる前頭葉症状の一つと考えられます。学習で得た行動は、前頭葉を介して大脳辺縁系の行動に影響していると考えられます。
特定のことに対する強いこだわりは、大脳辺縁系が作り出しているのは、間違いないと思います。なぜそれにこだわるかは、良く分かりません。潜在意識の関与は否定できませんが、これを確認することは、容易ではありません。
小さな子供がこだわるのは、潜在意識では説明できません。大脳辺縁系は、創造性・想像性作り出している(人はこれを感性と呼んでいる)と思われます。
「なぜそうなるのか?」これは、良く分かりません。

問題を解決することに頑張りすぎると疲れちゃったり、がっかりしちゃったり、がありますね。それでも、なんで~なの?!って言い聞かせるように話しして、エキサイトしてしまうことが、うちの家族にはあります母の病気を受け止めきれていないんですよね。

小関先生

おっしゃるとおりピック病の常同行動だなって、確かに思いました。ただ、常同行動にもブームがあると言いますか、2016年は包丁コップ叩きですし、昔は時刻表的な行動が目立ちました。よく例に挙がるパチパチ手を叩いたり、膝をこするような行動はうちはないですね。

ねーさんさま

ついついエキサイト・・・分かります!

よくこういう言い方しますよね。

「原因を追求するより、理解してあげなさい」

すごく分かるのですが、やってみると難しい・・・わたしはやっぱり原因を追求してしまいます。(自分の中でだけ)そして、仮の答えを勝手に作って、それで自分を納得させています。なので、母には害がないはず・・・

よく「根拠があるからその行動をするのですよ」とか言われるけど、理屈は理解していても私自身は謎を解き明かしたい…そんなモヤモヤがあるのですが、気にかけてるうちに、別にいいや謎は謎のままにしておこうと思うようになりました。私なりの「鋼のメンタル」第一歩です。まだまだですが。
母が認知症と診断されて2年が経過しますが、最近の母からの電話での第一声「用事があるつもりでかけたけど用事を忘れた」とのこと(笑) 離れて暮らしている私は、母がたとえ用件を忘れても、娘の私に電話をくれたことを嬉しく思い「用事思い出したらまた電話して~」とお互い大笑いできることが今のところありがたいです。この先不安を考えればきりがないけど、考えないこと、考えること のメリハリを、と思っています。 理想ですけど(汗)

ふくいさま

うちもよくあります。

「あれ、何のようで電話したんだっけ?」

確かにうれしいですよね、うちも笑って終わりです。思い出したら電話して~と言って終わりますが、再度かかってきたことはないです(笑)

こんにちは。実父が認知症でしたのでたびたび訪問させていただいています。
ふと思ったのですが、お母様は庖丁を研ごうと思っているのではないでしょうか。
食器の釉薬のかかっていない糸底でこすると、応急的ですが包丁研ぎができますし。
以前そういうことをしていませんでしたか?
もしくは、簡易包丁研ぎ器がカップの形に似ているといえばそうかもしれないと…
台所に包丁研ぎ器はありませんか?もしあったら、さりげなく目につくところにおいてみるのはどうでしょうか。
違うかな?

待つ子さま

ブログ読んで頂き、ありがとうございます!

どうでしょう、今度(2週間後ですが)確認してみますね。同じご意見を他より頂きまして、皆さんさすがだなぁと思いました。勉強になります。

初めまして、パンダです。要介護1アルツハイマーの母を介護中です。日常生活の問題解決や、どうやって怒らずに考え方を変えてシレ〜っと乗り切るかを、とても!とても!参考になり楽しい文章で、一気に過去記事まで読み進んでこちらの記事まで来て気が付いた事が有りコメントしました。

間違っていたら、申し訳ありません。
もしかしたらなんですが、、、お母様は包丁研ぎをマグカップの底でやるのを忘れて飲み口側で、研いでいるのではないでしょうか?
マグカップの底で包丁を研ぐ
で、検索して頂くと、包丁が良く切れるようになると出て来ます。私も、その事を忘れていましたが、お母様の欠けさせたマグカップの画像を見て、思い出しました。ほんと間違っていたら申し訳ありません。

それから、他の日のブログで、何度も質問するのを、たまに脳の動きが良い時に、すまなそうにするのを見ると、こちらまで悲しくなるから、8回迄は質問させてあげようの、くどひろさんの記事が特に共感しました。うちの母も、何度も聞いた後に、たまに我に返って、ゴメンね、、、を言ってきますので、私も謝られると悲しくなりましたので。

すいません!他の人のコメントで、包丁研ぎを書いてる人がいましたね!送信してから気が付きました。

パンダさま

初コメント、ありがとうございます!

そして過去記事までさかのぼって読んで頂き、うれしいです。こういったコメントを頂いたときは、わたしの本を読むと時間の効率がいいですよといつも言ってます(宣伝みたいになり申し訳ないのですが、クリックして読んでいくと時間がかかるかなぁと思いお決まりのコメントを)

そうなんです、コメントでマグカップの包丁研ぎのご意見いただきまして。結局、母に聞いたらそんな豆知識は知らないということだったので、ただカンカンやってます・・・未だに(笑)

謝られると悲しくなりますよね・・・切なさも倍増します、ハイ。

気軽にブログにお立ち寄りください!

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ABOUT US

工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(78歳・要介護3)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて10年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか