【認知症介護】2年以上分からなかったお風呂の便問題が解決した!

なぜかお風呂で見つかる便は少量

前から不思議だったのは、お風呂で見つかる母の便の量が「少量」だったことです。

便を見つけたら、まずお風呂の洗い場を掃除。そして、排水口の超便利グッズ『髪の毛トリトリEasyネット』にかかった便付きネットを廃棄して、ジェルで排水管の掃除を行います。このネットのおかげで、プラスチックの目皿を歯ブラシで掃除せずに済み、掃除時間が大幅に短縮されました。

お風呂の排水溝
元々のお風呂の排水口
髪の毛トリトリEasyネット

さらにラミネートした貼り紙を、お風呂場につけて注意喚起もしました。

右側のラミネート貼り紙をお風呂場に

しかし、これらは対処法です。尿より便のほうが臭うし手ごわいので、後処理のことばかり考えていて、原因追及ができていませんでした。ところが2年以上も経って、急に理由が分かったのです。

母と話したお尻の洗い方

ある日のことです。

母はトイレのふたを閉めるべきか、毎回質問してくるので、上記写真の貼り紙をトイレのドアに貼りました。その流れの中でおしりの洗い方の話になったとき、雷がドカーンと頭の中で落ちたのです。分かった!これだ!なんで2年も分からなかったのか!と。

母が認知症になる前、わたしはウォシュレットをプレゼントしました。30年以上前のTOTOの便器だったので、メーカーに問い合わせ、設置できることを確認。使ってもらったところ、母は大喜びしていました。

しかし、認知症の進行により「ウォシュレットの使い方」を忘れてしまったようです。細かく書くと、こうなります。

  • お尻を洗う習慣だけは、なんとなく覚えている
  • でも、ウォシュレットの使い方が認知症の進行で分からなくなった
  • 困ったあげく、トイレが終わったあと、お風呂場でお尻を洗う
  • だから、少量の便がお風呂場にある

2年以上の便処理のおかげで、掃除のスピードは上がったのですが、ウォシュレットの使い方が分からなくなっているとは、思いませんでした。これは、認知症の症状でいう「失行」です。

失行とは、生活の動作を忘れてしまい、実行できなくなることです。箸の使い方を忘れる、ズボンをかぶったりするなどの例がありますが、うちはリモコンの操作ができません。最近、エアコンもテレビも分からない日があります。ウォシュレットの操作も、リモコンのようなものです。

これからは、失行が増える覚悟をしておかなければなりません。コロナ禍で活動量もわたしとの会話の量も減って、疲れやすくなり、認知症の進行を感じてます。

この記事を書く前に、お風呂場を一通りキレイにし、記事を書いてスッキリした!と思ったら、翌朝、また排水口に例のやつがありました。

とりあえず今度は、ウォシュレットの使い方の貼り紙を、数か月後の帰省に向けて準備します。ウォシュレット使える日も結構あるので、なんとも微妙な感じです。

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4件のコメント

はじめまして。
初めてブログを拝見しました。
私は今盛岡に住んでいます。1年前に神奈川県から引越してきました。
青森県の実家に90歳の母が一人暮らしをしています。母は2年前に父が亡くなってから初めての一人暮らしです。最近は記憶を留める力が緩んできているなぁと思っています。
父が亡くなってからの母の焦燥と1年前に最愛の長男も亡くなり、母を一人にしておくことができませんでした。といっても盛岡なんですが(夫の実家です)。
前職は特養の副施設長です。介護現場にいても離職です。
今は青森県内に住んでいる妹をメインに二人で母をサポートしています。
ブログを拝見すると参考になることがたくさんあります。また読ませていただきます。

miiさま

ブログ読んで頂き、ありがとうございます!

今年の盛岡は本当に寒く、久しぶりに雪も多くて大変だったかと思います。一緒に住むことが正解とは限らないとわたしは思っていて、最新刊の自著でもそのあたりを熱く書きました。特養の介護福祉士さんで、このブログを読んでいる方もいます。音声配信もやっておりますので、気軽に遊びにいらしてください!

ウチはグループホーム入所で遠距離介護から一旦離れている状態ですがいつもブログ拝見しています。
介護のアイデアのアップデートと「あるある」ネタに、画面に向かって「うん、うん」頷いてます。
失行のワードは知らなかったのですが、義母がズボンを首に巻いて出てきた時は衝撃だったのを思い出しました。
マフラーが見つからなかったらしい?f^_^;)
コロコロ変わる陽気ですが、どうぞご自愛下さいませ。

alohaさま

ズボンを首に巻く!最初見たら、衝撃ですね!
はい、失行です。いろいろな失行があるので、またひとつ勉強になりました。ありがとうございます!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか