ある方から薦められたクロワッサンの認知症特集が、すごくよかったので皆さんにご紹介します!
「クロワッサン特別編集:認知症を生きる」のどこが素晴らしいのか
わたしがもし本の企画をさせてもらえるなら、こういう本が作りたいなと思いました。写真、アニメ、カラー、取材、文章のバランスがすごくいいので、まず読みやすいです。そして、ご家族の方は共感することが、非常に多い本です。
わたしが特に好きなのは、認知症の人へのインタビュー。認知症になったからといって、何もできなくなるわけではない、続けられることが必ずあってそれを生きがいに頑張っているご本人と、支えるご家族の姿が写真で紹介されています。
薬は飲まないと決めた母娘のお話、10代から続けてきた卓球を、仲間や家族の支えで認知症になってからも頑張る男性、どの話も同じ介護家族として、共感しっぱなしでした。
そして世間の思い込みをぶっ飛ばす「診察室の現場から」という、認知症外来にいらっしゃるご家族とご本人の悲喜こもごもなやりとりも必見です。わたしも外来で他のご家族をよく見かけるのですが、こういう光景あるよな~とつい言ってしまいました。
認知症の予防に関しても、確かにテレビでよく紹介される方法が本当にいいのか?考えさせられる内容です。
どんな方にオススメの本か
- これから認知症介護が始まるかもしれない人たち(→この層には、特にオススメ)
- 今、認知症介護をしているご家族の皆さま
- 認知症に対するネガティブイメージを一掃したい方
- 認知症介護に行き詰まりを感じている方
- ご自身が認知症予防を実行している方
ということで、これから認知症介護が始まるかもしれない人に会ったら、まずこの本を紹介しようと思います。もちろん自分の本も紹介したいのですが、やはりカラーやアニメ、写真の分かりやすさにはかないません。
読後感が温かく、そして認知症に対するイメージを変えてくれるような本だと思います。わたしもそういうことをいっぱい書いてますが、文字だけで伝える限界をこの本を読んで感じました。
最初のページに書いてある内容を、一部引用します。
認知症がこわくなくなる、などとは言いません。
できることならなりたくない、
と思う気持ちはみんな同じ。
けれども、認知症になってからも、
人生は悪くない、そう思える瞬間が必ずある。
本当にそう思える瞬間があるんです、皆さんも感じているとおり。
多くて年2回しか会わなかった母と、1年の約3分の1を共に生活することになったのも認知症のおかげです。母の愛情をここまで感じることができたのも、認知症のおかげです。わたしが天職を見つけることができたのも、認知症のおかげです。悪いことだけじゃない、いいことだって確実にある。
周りに認知症介護で疲れている方がいたら、この本をスッと差し出したら何かが変わるかもしれない・・それくらいの本だと思います。わたしは杉山孝博先生の本に救われたのですが、この本で救われる方も多そうです。
唯一気になるとしたら、お薬でアリセプトがやたら出てくるところでしょうか。量を調整しているとあるので大丈夫だと思うのですが、わたしの周りで使っている人がかなり少ないので、そう感じました。
平木康子さんが編集して、佐野由佳さんが取材と文を担当されたこの本、本当にすばらしいです。皆さんもぜひ、読んでみてください!お値段は、833円(税別)です。
今日もしれっと、しれっと。
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