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子の甘えを利用して親の自立を促す認知症介護

甘える

盛岡に帰るとまず、訪問介護(ヘルパー)の連絡帳を読んで、次にデイサービスの連絡帳を読むのが日課です。デイサービスの連絡帳に、直近数カ月はこんなコメントが連続して見られるようになりました。

「お母さまをお散歩にお誘いしたのですが、今日は行きたくないとのことで、室内で階段の上り下りをしました」

デイ職員の散歩のお誘いを、ことごとく断る理由を考えてみました。

とにかく歩きたくない母

まず、冬で寒かったからだと思います。

今年は暖冬といっても、やはり盛岡は寒いです。この時期は母の散歩の回数が減っても、やむを得ない部分はあります。

2つ目に、シャルコー・マリー・トゥース病という難病です。

母は、凹足といって土踏まずが高く、アーチのような足のカタチをしています。慣れた家の中なら、壁伝いでなんとか歩くことはできるのですが、外を歩くときは必ず歩行介助が必要です。

認知症がかなり進行しても杖はイヤみたいで、杖は持ってくれません。その代わり、自転車を杖のようにして押しながら歩くことはできますし、誰かと腕を組んで歩くこともできます。そのため、お散歩自体が億劫なんだと思います。

数年前の冬、母は全く歩かなくなって、1日中コタツで寝ていた時期がありました。体を全く動かさない状態が続くと、心身機能が低下して、下手すると寝たきりになることもあります。いわゆる生活不活発病です。

生活不活発病

【生活不活発病】徘徊より恐ろしい「動かない」ということ


認知症の親のひとり歩き(徘徊)を心配するご家庭も多いと思いますが、うちはこういった理由で、動かないリスクを最も恐れています。

子どもとしての甘えを母の自立に利用する

おそらく、介護施設選びを間違えれば、ますます歩かなくなって、一気に死が向こうからやってくるとわたしは考えています。病院のベッドから転落して、大腿骨骨折から寝たきりになった祖母の弱り方は、崖を転がり落ちるようでした。

だから、ギリギリまで母は在宅介護でいくつもりでおりますが、わたしも遠距離介護です。たかだか1週間しか滞在しませんし、そんなに外を散歩する機会もありません。わたしが不在の際は、転倒のリスクは普通の高齢者の数倍存在しており、かなり強い気持ちや割り切りが必要です。

ただ家の中ではできるだけ歩いてもらうよう、母親としての役割を果たしてもらうよう、子としての「甘え」をうまく利用しながら、母にリクエストしまくってます。

「しょうゆ持ってきて」「リンゴむいて」「はし忘れてるから、持ってきて」「牛乳お願い!」

自分で行動したほうがずっと早いですし、待ってられないこともよくあります。それでも、自分でできることは自分でやり続けることが、認知症の進行もゆっくりになるし、本人の筋力も保たれるし、結果として元気で長生きする期間が延びると信じています。

母も子どもから頼まれれば、嫌がらずに「はいはい、分かりました」といって、しょうゆを持ってきてくれるし、何個でもリンゴもむいてくれます。それで歩く歩数が増え、手や指先のリハビリになります。

盛岡も少しずつ暖かくなってきました。冬場はどうしても活動量が減って、コタツばかりに居て不安ばかりでしたが、これからは放っておいても、ある程度は体を動かすと思います。

わたしの遠距離介護で最も警戒している時期は、12月から2月。ここを無事に乗り越えれば、少し気持ちがラクになります。

「今年も冬を乗り切った」

そんな気持ちです、あとはコロナの心配です。

今日もしれっと、しれっと。

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2020年7月末発売から、わずか1か月で重版!近距離、遠距離介護に関わらず、離れて暮らす認知症の親の介護に特化した新ジャンルの本です。

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ABOUT US

工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(77歳・要介護2)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて9年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。2度の介護離職、成年後見人経験者。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか