見た目で弱っていない認知症の母の介護の難しさ

認知症介護って、今さらながらつくづく難しいなぁって思います。

例えば亡くなった祖母や父のように、がんで見た目にも気力的にも弱っていると介護してても、「かわいそう」と感情移入しやすいです。

でも認知症の母に同じような感情移入ができないのは、見た目には元気だからなのかもしれません。骨が折れている、食欲がなくなっている、やせ細っているといった要素がないので、つい普通に接してしまいます。

もちろん母もあれだけ得意だった料理ができなくなっていますし、さっき行ってきた病院のこともすっかり忘れるので、かわいそうだなと思う日もあります。それでも祖母や父ほどの感じでは接していないように思うのです、手足の不自由さもあるのに。

本気で「かわいそう」とは思っていない

認知症の母を「かわいそう」という目で見ること自体を、どうなんだろう? と思います。

ただ「かわいそう」という気持ちを少しでも持って認知症介護をすれば、もっと優しくできるのでは? と考える日もあります。

本気で母をかわいそうと思っているのではなく、介護者として優しく接するための「ツール」として活用すれば、余計な争いをしなくて済むのでは? という意味です。

見た目には元気な母に、自分の中の「かわいそう」というツールをどうやって発動させたらいいのか? 最近は、MRIで撮影した母の脳の画像を思い浮かべるようにしています。

くどひろ

前頭葉も側頭葉もしっかり萎縮してたよなぁ~

認知症である母を見た目で理解するには、あの画像を思い出すと脳がしっかり萎縮している中、不安の中で頑張って生きているんだなぁって思えます。

いっそのことスマホの待ち受け画面を母のMRI画像にしたほうがいいんじゃないかって思うくらいです。それくらい忘れてしまうので、かわいそうとは思っていない証拠なんですけど、程よい「かわいそう」を自分の中で出し入れしながら、納得のいく認知症介護にしたいとは思います。

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今日もしれっと、しれっと。


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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか