【認知症の尿失禁対策】 尿パッドで 「プライド」 を満たす

尿パッド

おしっこで濡れた母をおんぶした日も含め、4日間尿失禁に立ち会いました。うちなんて毎日だし、何回もよ!という方もいると思うんですが、母の認知症はまだ軽度。もっと上のレベルで尿失禁は起こる確率が高いので、ちょっと早いなぁ~と。

亡くなった祖母は認知症特有の弄便(ろうべん・便いじり)をする人だったので、母のがライトに見えます(笑)初めてシモに直面する介護者は、びっくりしたり落ち込んだりするのではないかと思います。下記のような本があるくらいなので、わたしのような息子と母の場合はさらに戸惑います。

今日は、うちのような認知症軽度の人に対する、尿失禁対策の話です。一番のポイントは?「プライド」 です。亡くなった祖母は認知症でやや高度だったので、軽度な母と比べるとプライドも消えていてオムツへの抵抗はありません。

母は、「オムツなんてまだ早い!」 という態度です。軽度の人の方が説得は大変です。我が家の例が役に立つか不明ですが、わたしがやったプライドを保つ尿失禁対策です。実は我が家、洗濯機の怪奇現象が前からありまして、そのお話から始めます。

いくら掃除してもきれいにならない洗濯機

我が家の怪奇現象は、洗濯機をいくら掃除しても糸くずが出てきてしまうというものでした。20年使用している洗濯機なので、しょうがないか・・・そう思いながらも、衣服につく糸くずをガムテープで毎日取っている母を見て、本腰を入れて掃除をすることにしました。

洗濯層クリーナーを購入し、つけおき。目を離した隙に、母が排水・・・そんなハプニングもありながら、掃除をしました。洗濯機は昔ながらのネットが糸くずをキャッチする仕組みで、キレイにして帰京しました。

2週間後、再び洗濯をすると、また糸くずだらけに。以前も同じようなことがあり、洗濯機いよいよ寿命か・・と思い、念のため洗濯物をひとつひとつチェックすると、尿で濡れた母のパンツをまず発見。

「夜におしっこ漏らしてたのか・・・」

って思いながら、パンツを持ち上げるとボトッと何か白い塊が落ちました。

洗濯機にでかいゴミ?なんだこれ??

どうやら母はトイレットペーパーを尿パットとして使っていたようです。認知症で、ゴミ箱に捨てるのを忘れてます。そのまま洗濯機にいれ、紙くずが溜まっていたのです。

よく溶けますよ、トイレットペーパー(笑)ということは、最近ではなく以前から失禁してたのか・・・

プライドを満たす尿パッド探し

頭ごなしに、「明日から尿パッドしなさい!」って言ったら、絶対しません。プライドが許しません、まだそんなのつけなくていい!って言います。そこで自尊心を保つための、面倒なことをしたらあっさり成功しました。

1.とりあえず尿パッドを買ってくる

女性はもっと簡単に探せると思うのですが、パッド初心者の息子(わたし)はネットでひたすら調べました。とにかくいっぱい吸収してくれて、薄く、パッケージも尿漏れ感を強調してないものを探しました。

尿パッド

結局買ったのが、店で初めて見つけた上の写真のパッドです。オムツと併用タイプではなく、下着につけるタイプの尿パッドを購入しました。祖母が生きてた時はよく購入しましたが、軽めの尿パッドの購入は今回がはじめてでした。いやぁ・・いろんな種類があります。

2.わざと封を切って、少し使った風に見せる

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亡くなった祖母が使っていたパッドの余りという設定にして、3年前に使った余りだから捨てるのもったいないし、試しに使ってみれば?というアプローチにしました。面倒ですが、プライドを維持するためです。

3.30代、40代の人もみんな使っているやつだよという

4.くしゃみや咳で少し漏れた時に使うやつだよという

5.パッケージの小ささ、薄さをひたすらアピール、祖母とは違うライトなやつだよという

デイサービスの説得は3か月くらいかかりましたが、尿パッドは1日で納得してくれました。話術が上手になったかな、自分?あとは尿パッドを使う習慣づけという、ハードルが残っています。

この実話をそのまま使えるご家庭は少ないかもしれませんが、プライドを満たしてあげることが大切です。あるサイトのオムツの一文を引用します。

高齢者のおもらしに対しては、安易にオムツをはかせますがこれは間違った対応です。軽度認知症の高齢者はオムツをはくことへの恥ずかしさがまだまだあります。ここで安易にオムツをはかせることで高齢者の自尊心を傷つけることになってしまいます。人間としての尊厳を失わせることになりますので、認知症の進行を促進してしまう可能性もあります。(引用元:http://www.roumap.com/info/51.html)

尿パットの話の時に嫌な予感がしたのですが、予想どおり母の昔のナプキン事情について話し始め・・・以前ブログに書いた閉経の話も始まり、息子に言うな~って思いながらも、パッドを使う感じになってきたので我慢して聞きました。

尿失禁は4タイプある

詳しくは下記サイトを参照してほしいのですが、うちは「機能性尿失禁」じゃないかと思ってます。身体運動低下で、排尿は正常でもトイレが間に合わないか、認知症でトイレの場所や使い方が分からない尿失禁です。

なので家の中のトイレまでの導線(手すりをつけるとか)を、作業療法士さんと一緒に考えようと思ってます。パッドはあくまで事後対策なので、事前対策をしていきます。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

こんばんは。

パッド導入、お母様が傷つくことなく、うまくいったようで
おめでとうございます。

訪問ヘルパー体験からのアドバイスもさせて下さい。

独居の高齢者(高齢者とも限らず)は、
知らずにパッドをトイレに落として流してしまうことがあり、
タイヘンなことになっている場合があります。

ので、訪問ヘルパーさんにも、
トイレの確認をお願いしておくことをお勧めします。

【トイレ確認】

1.パッドが便器内に落ちていない

2.トイレの水が、ちゃんと流れる(溢れない)

可能なら、
「お手洗い貸して頂けますか」等で、お母様に許可をもらって、
トイレ確認すると、より安心出来ると思います。

既に実施されているのなら、お捨ておき下さいね。

我が母の場合は、
初潮が遅く、閉経の早かったひとなので、
パッドの経験もあまりないため、
絶対にトイレを詰まらせて溢れる…と想定し、
普通のパンツからリハパンへと強行突破してしまいました。
ちょっと可哀相でしたが、幸いなことに、定着しました。

被介護者のプライド…て大切ですよね。
介護者のプライドは…というと、
介護中は、それどころではない…てところもあります。。

すいかずら姫

いつもコメントありがとうございます!

コルドンブルーについて母にガチ説明したところ、ネット意識がない母は

「30年前の料理本には、ゴールドブルー風と書いてあった」

という理由を引っ張り出してきて、ちょっと笑えました。

おっしゃるとおりで、今日帰省した時のメインイベントはトイレチェックです。

チェック項目のひとつにいれておこうと思ってます。1回で習慣が定着するはずがないので、パッドは未使用でトイレットペーパーパッドが洗濯機の中にいっぱいあるパターンか、失禁が止まっているかの2つを想定しています。

トイレに貼り紙しても、お客さんが来る(来ませんが)といって剥がしてしまうので、とりあえず1週間過ごしながら考えます。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか