認知症の人が昼間からカーテンを閉める問題とその対策

認知症の人が昼間の明るいうちから、部屋のカーテンを閉め切って電気をつけるケースがよくあります。一般的に言われている理由と他の介護者から聞いた例を挙げると、

  • 認知症の見当識障害で、今が何時なのか分からないからカーテンを閉める
  • 白内障が理由で、まぶしさを感じやすい
  • ご近所の目が気になる、誰かが見ているかもしれないと思ってしまう
  • (逆のケースで)レビー小体型認知症の方が、カーテンの模様を虫として見てしまう

認知症の母もカーテンを閉め切る

認知症の母は、朝にカーテンを開けないでそのまま電気をつけて過ごす日があります。見守りカメラで朝8時の母の様子を見ていると、太陽は出ているのにカーテンを閉めて電気をつけてテレビを見ています。

あとは午後2時で太陽が出ているのに、夜と勘違いしているのかカーテンを閉めて電気をつけてしまいます。遠距離介護なのでカーテンぐらい自由にと思っていたのですが、わが家の場合はこれが昼夜逆転につながっていきます。

24時間の体内リズムをサーガディアンリズムと言いますが、太陽光を浴びるとリセットされます。これができないと睡眠障害の原因になる場合もあります。母の場合も夕方からデイサービスへ行く準備を始めたり、夜中に起きてしまったりなど、わたしの見守りの時間がどんどん増えていきました。

認知症の進行によって、朝と夜の区別がどんどん分からなくなっている母ですが、特にデイサービスに行かない日は昼夜逆転が増えます。カーテンを閉め切り、さらに昼寝して起きるともう、朝か夜か分からなくなってしまいます。

1人暮らしなのに、2023年1月の電気代はなんと3万円。ほとんどはエアコンが原因と思われますが、ヒートショック対策のためなのでやむを得ない部分はあります。でも昼間の電気はつける必要がないので、節電するためにも対策を実行しました。

SwithBotカーテンでサーガディアンリズムを整える

カーテンを自動で開けてしまえば、解決するのでは?

連載中の家電批評『ウチのおかんがボケちゃいまして』で、SwitchBotカーテンを実家でテストする機会がありました。いずれ使う日が来るかもと思っていたのですが、今がその時と判断。まずは1個だけ、Amazonで9000円で購入しました。

SwitchBotカーテンの外箱


この商品は10時間のフル充電で、最大8か月使用できます。両開きなら2個購入する必要があり、ソーラーパネルをつければ太陽光で充電が可能なので、取り外しての充電がいらなくなります。

Switchbotカーテンがカーテンレールの中を動くと、カーテンも引っ張られて開け閉めできるシンプルな仕組みです。

1番端と2番目のカーテンレールの間に取り付ける

スマホのSwitchbotアプリで、朝6時に自動で居間のカーテンを開ける設定にしました。片方だけでもカーテンが開いていれば、もう片方は母が開けてくれるはず。1度設定しておけば、毎朝勝手にカーテンが開いてくれます。

あとタッチゴー機能があって、カーテンを5cm以上引けば残りは自動でカーテンが開け閉めされてラクです。

カーテンの内側はこんな感じ

このまま1個で運用するかもしれないし、追加で下記も考えます。

  1. 充電の持ち次第で、ソーラーパネル(3000円弱)を購入
  2. もう1個switchbotカーテンを購入して、両開き対応にする
  3. 寝室にも検討

母に太陽の光を少しでも長く浴びてもらって、昼夜逆転の症状を減らせるかどうかです。そして電気代の節約につながればいいです。

もしもベッドで過ごす時間が長くなったとしても、カーテンが自動で開けば朝を感じられます。要介護5で寝たきりだった父が亡くなったあと、2018年頃にこれいいかもと思っていたことが5年経って実現しました。当時書いた記事がこちらです。

めざましカーテン mornin’ plus 介護
ちなみにカーテンの遠隔操作はインターネット環境が必要ですし、switchbotのハブも必要になります。実家のスマートホーム化がどんどん加速してますが、すべて介護のため、母の自立を実現するためです。

音声配信voicyの最新回は、認知症治療の最近の方針について話してます↓

今日もしれっと、しれっと。


【2024年講演会予定】
11/4(月祝)岩手県紫波町 → 講演の詳細はこちら

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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか