認知症介護中にある人がテレビに出るとチャンネルを替える理由

わたしは東京で見ているテレビ番組と、岩手で見るテレビ番組を変えています。

岩手に帰省したら、それこそ地元でしかやってない番組やニュースを中心に見るようにしていて、それでもキー局の放送が多いので、東京のテレビ習慣のまま岩手でもテレビを見る場合も結構あります。

東京と岩手で何が大きく違うのかというと、横に母が居るかどうかです。最近の母はテレビを見て、内容をなんとなく理解しているようでしていない感じで、変なタイミングでテレビのザッピングを始めます。

わたしは母のザッピングがいつか来るかもと思って構えているので、そんなに真剣に見ていませんし、母の近くに居ることが主目的なので、あまり気になりません。真剣にテレビを見るときは、自分の部屋でスマホやTverで見てます。

母のザッピングはまだいいのですが、ある特定の番組、ある特定の人が出てくるとスイッチが入ってしまうので、そこだけは特に注意しています。どういうことなのでしょう?

ネガティブ発言が増える

母は気になるポイントを見つけたら、それを何度も繰り返し言ってしまうのは認知症だからやむを得ません。たとえば、わたしの顔にできものがあったとして、母はその異変に気づいたら何度でも治るまで言い続けます。

ほっとけば数日で治るのですが、あまりに何度も言われるので、そっちのストレスのほうがひどくなるのですが、この感じがテレビを見ている人のときにも起きます。

この人ね。この前さ、テレビでカツラがずれるところ、わたし見たのよ!

くどひろ

いやいや。この人はおでこが狭いだけ。髪の毛ふっさふさだよ、ほら見て。

この人が出てくると、必ずカツラの話になります。しかもずれたところ見たとか、完全な母の作話です。最初は笑って聴いていたんですけど、何年も言われ続けるとだんだんその人への悪口みたいに聞こえてしまって。

母の話を否定していた時期もあったんですけど、否定しても何も変わりません。結局、岩手ではその番組は見ないと決めました。そのほうが、自分も心穏やかでいられます。

出演回数の少ない方ならなんとかなるんですけど、マツコさんクラスになると逃げられません。マツコさんが出てくるたびに、この人は何をやっている人かと質問されます。コラムニストと言っても通じないし、母の想像の中ではプロレスラー、力士、ボクサーと職業がどんどん変わります。

この前もリングに上がっているところ見たとか言ってて面白いなと思ったんですけど、マツコさんがテレビに映ったら、番組が終わるまでエンドレスに同じ質問をされるので、番組表を見て避けるようになりました。

認知症になる前はそんな母ではなかったのですが、気になる点(特にネガティブと思われる特徴)を見つけると、そればっかり気になって、抑えられずに言い続けるようです。幸いにして、外出先とか家族以外には言わないので、今のところは安心ですがこれもしょうがないのかなと。

音声配信voicyの最新回は、だいぶ昔にヒットした記事、認知症の4つのプライドについて話しました↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

おはようございます。遠距離介護お疲れさまでした。

認知症の人がもつ4つのプライドの中で、自分は若いころすごかったというのが一番父に当てはまっているように感じました。確かに少し大きな会社に勤めていたこともありましたが、そんな偉そうな態度が介護サービスやヘルパーさんに結びつかないような気もします。

連休前に父がカードでお金を引き出せなくなり困りました。今回は妹が対応しましたが、お金の管理ができなくなり、お金を貸してほしいと言うようになりました。

sakoさま

偉そうな態度を介護職の方に出さないとしたら、良かったですね。
認知症でなかった父は偉そうで、本当に困りました。お金の管理は最終的に回収できるあてがあれば、貸せるんですけどね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか