認知症の経過報告(2年と21週・22週間目) 進行しているかどうかの小テスト

認知症テスト

とにかく明るい安村の芸を見た母から 「どういう意味?」 と質問され、「ほら、パンツ履いているけど・・・」 とマジメに説明しようとして止めました。

遠距離介護初日のスケジュールは、いつもこんな感じです。

10:00東京の家を出る
15:00実家到着
15:10冷蔵庫の残り物処分
15:20居間・トイレ掃除
15:40押し入れチェック
(変なものが入ってないか)
16:00母、デイから帰宅
17:40夕食
20:00NHK歌謡コンサート始まる

母が16時ごろにデイから帰ってきます。母がいない間に、居間・キッチン・寝室を音のうるさい20年前の掃除機できれいにします。床のふき掃除が習慣だった母も、最近はやったりやらなかったり。

掃除機をかけると、床掃除をしたかどうか分かります。また本人は毎日掃除した ”つもり” でいるし、自分の仕事と思っているので、プライドが傷つかないように居ない間に短時間で仕上げます。

冷蔵庫の残り物も本人がいると、「これはまだ食べられる」 というので、居ない間にどんどん廃棄します。東京から5時間の移動の後、わずか1時間ですべてを終えないといけません。

すべてが終わったころに、デイ職員さんが母を連れて戻ってくるので、家でお迎えをします。母はデイで疲れているので、夕食はいつもチャーハンとか焼きうどんとか、すぐできるものを献立にして母が作ります。

夜のテスト

18時~21時は、母の話をひたすら聞く時間になっていて、だいたい言う事はいつも同じです。ただ、火曜日だけは毎週テストをしています。唯一楽しみにしている、NHK歌謡コンサートの始まる時間が分かるかどうかのテストです。

調子がいい時は、

母: 「今日は、舟木一夫は出るかしらね」

といって、勝手にチャンネルを変えます。調子が悪い時は、わたしがセットした火曜日20時自動チャンネル切り替えが作動して、

母: 「あら、これ見ていい?今日だったのね~」

となります。みなさまも日常の何気ない動作を、認知症進行のポイントにされてませんか?

料理の味が変わったとか、お風呂に入らなくなったとか、いわゆる本に書いてあるようなチェックもあるのですが、わたしはもっと小さなところにいくつかポイントを持っていて、歌謡コンサートはそのひとつです。5回連続で見逃したら、0.5歩ぐらい進行しちゃったかもと考えます。

着衣失行、徘徊、妄想もそうですが、たぶんそういったメジャーな症状になる前に小さな変化って日々起こっているはずなんですよね。あれ?前はできてたのに、最近はできなくなったなぁって。

これ逆に考えると、些細なことがきちんとできているだけで喜べます。「洗った食器、ふきんで拭いた!」 とか、「煮物の大根にしっかり火がとおってる」 とかとか。しょーもないところで、いちいち感動できます。

記事タイトルの小テストとは、日常生活の何気ない瞬間を “継続的に” 観察するという意味でした。みなさん無意識のうちに、小テストやっていると思うんですよね・・・きっと。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか