わたしが嫌いなものは、「漬け物」 です。これを言うとほとんどの人が、「出身が出身なのに、どうして」 と言います。大阪の人がすべて阪神ファンでないように、嫌いな人もいるんですよ(笑)
今から35年前、わたしがまだ小学生の頃、家族みんなでりんご園に行きました。りんごを採った数は全く覚えてませんが、このことだけははっきり覚えています。それは、母がりんご園のご主人から頂いた 「カレーの漬け物」 のことです。
認知症になる前の母は、お店の料理を家で再現できる人でした。何の調味料を使っているか、分かる人でした。しかし、この「カレーの漬け物」 だけは再現出来ず、失敗に失敗を重ね、数年がかりで見つけることができたのです。
この苦労話が大好きな母は、訪看さん、ヘルパーさん、ケアマネさん、とにかく家に来る人すべてに話したので、みなさんも「カレーの漬け物」に興味津々。しかし言ってばかりで2年も形にならないので、みなさんも 「いつもの話ね」 と内心思っていたと思います。
昨年作ってもらったら
あまりに言い続けるので、昨年言われた材料をそろえて作らせました。しかし、分量は違うし、漬け方が甘い!
そりゃそうです、洗濯物を濡れたままとりこむ母ですから、一晩寝かすということができません。塩もみして30分経たずに次の工程へ移ったのです。本人はこれでいい!と言って聞かないし。
わたしは食べられないので、妹に味見をしてもらったところ、材料はあっているけど分量と日数の問題だと分かりました。そして、今年。未だにカレー漬の話をする母を見て、「しょうがない、やってみるか」 と。
で、早速材料をそろえ、ネットでレシピを調べてみることに。カレーのピクルスが近かったので、それを見ながらわたしが作ってみることにしました。
ポイントはローリエ
母は 「ローリエ」 を入れることを、苦労して見つけたのでした。ということで、酢、カレー粉、キュウリ、ローリエ、砂糖、塩を準備します。ジップロックできゅうりを塩もみして、1晩寝かします。
塩もみして1晩寝かしたキュウリに、カレー粉・砂糖・酢を混ぜたものをレンジで温め、それをジップロックにいれてまた1晩寝かせます。
カレー漬を作ったあとの母の反応
1回目作った時は、カレー粉と砂糖が足りないと母が。それで言われたとおり2回目作ったら、母が大絶賛!
「わたしよりうまいじゃない!」
量も少ないので、1日でペロリ。あまりに食べるペースが早いので、3回目を作りました。すると、母がわたしにこう言いました。
「わたしが作ったカレー漬、そういえば皆さんに食べてもらった?」
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そ、そう来ましたか・・・、うぬぼれ過ぎでしょ、さすがに(笑)
「あんたが作ったのよね」 と気づく日もありますが、うぬぼれる日もあります。母が作ったことにして、皆さんに振舞えば、うぬぼれを助長させることになりますが(笑)、認知症的にはいいことですよね。
「わたしは、まだまだできる!」
そう母が思うようになり、生活にハリが出て、そして認知症の症状もおだやかになる・・・たぶん。
ちなみにこの 「カレーの漬け物」、 ホント一度も味見してません・・・嫌いだから。レシピ公開しましょうか?って、自分がうぬぼれてどうする!!
今日もしれっと、しれっと。
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