父の住んでいるマンションを売却して、医療・介護費用を捻出する2ステップ

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今日は「お金(医療・介護費用)」のお話です。

わたしは父と母、それぞれのお金の管理をやっております。父と母は27年にもわたる別居状態(でも離婚は一応してない)で、年金もそれぞれもらっています。

父は会社員でしたので、厚生年金もしっかり受け取ってます。退職金などでマンションも自分で買いました。お金の面では、はるかに母よりもらっていたはずなのに、全く手持ちがない!一方、正社員経験がほとんどないパート勤めの母は少ないながらもやりくりして、お金を貯めておりました。

勝手に家を飛び出して、年金も多くもらってきた父がお金がなくて、なけなしの年金でコツコツ貯めてた母のほうがあるというこの状況に、わたしは怒っているわけです。父の言動にキレて4年も口をききませんでしたが、一番怒っているのは実はここです。認知症の妻のために、自分の年金をよこせって話です。

普通に考えれば、母の介護のお金で悩まなければいけないのに、実際苦労しているのは父の方・・・怒っていてもしょうがないので、冷静に行動をこのように起こしました。

わたしのように在宅医療・介護の資金として必要な方もいれば、介護施設への入居費用、毎月の支払いに充てるかたもいるでしょう。そういう視点で、読んでみてください!

ステップ1:リバースモーゲージ

以前も記事にしましたが、持っている不動産を担保にして融資を受け、死亡時に不動産を売却して融資の一括返済に充てる制度を「リバースモーゲージ」と言います。不動産の評価額の高い都市部などで、介護費用を捻出できない場合は検討してみてもいいかもしれません。大手銀行や一部地方銀行でも、取り扱っています。


岩手県盛岡市だと残念ながら、この仕組みが整っていません。それで都道府県の社会福祉協議会にある「生活福祉資金貸付制度」の「不動産担保型生活資金」を使って、おやじのマンションを担保に低金利でお金を借りようと試みました。(もうひとつ「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」というのもあります)

ところが住民税非課税世帯が対象だったんですね、この制度は。父は中途半端に年金をもらっているため、電話していきなりだめでした。

民間銀行で生活資金のローンを組もうかとも思いましたが、利子を払うのが嫌でした。結局、不動産(マンション)を担保にした借り入れは断念し、次のステップへ進むことにしました。

ステップ2:住んでいるマンションの価値を見積もる

父のマンションがどれくらいの価値があるのか、不動産業者に査定してもらうことにしました。ありがたかったのは、父のケアマネが不動産業者を知っていたことです、すごい!

で、不動産業者から電話を頂くと、登記簿を持参してもらえれば、だいたいの査定はできると言われ、4年ぶりに法務局へ行きました。4年前は祖母の成年後見人になるために、書類集めで法務局に通いました。また、祖母の不動産相続をお金がもったいないので「司法書士にお願いせず」、法務局の無料相談で完了させた時も通いました。

不動産屋に行って、簡易査定(似たような物件、同じマンションの売買履歴等で調べて価格を算出)をして、築33年のボロマンションの金額が出ました。父は「すげーんだぞ、俺のマンションは!」と豪語しておりましたが、別の意味ですごかったわ!

管理費と修繕積立費、その他諸経費で毎月3万以上の出費。それに加え、駐車場代も入れると月5万円近くも払ってました・・・そんなんなら、盛岡だったらワンルーム賃貸に住んだほうがいい!でもって、査定額も買った時の半分以下になってました・・・ここからいろんなマイナス査定も入るので、3分の1くらいの価値かな。

他にも評価額は下がるけど、「即時買い取りサービス」や「売却後も数年住み続けられるサービス」、「ある期間仲介してダメでも、その時点でお金をもらえるサービス」をやっている不動産屋もあります。調べれば、いろんなサービスがありますね。

本当はマンションをすぐ売りに出して、ワンルームに引っ越したほうが無駄な諸経費を節約できます。しかし余命短いと言われていますし、ボロマンションに愛着があるでしょうから終の棲家にしてあげます。

たくさんの生命保険を解約し、退職金を充てて買ったマンションがこれです。何も考えてない父にあきれてしまいましたが、売却金額+年金があれば、2、3年は目処がついたかなと思います。葬儀代の節約を、これから調査します。医療・介護とも、早い段階でお金の見通しを立てておいたほうが絶対いいです。治療も介護内容も、お金次第です。祖母、母、そして父・・・3回もやると慣れてきますね!

当面は「闇金くどひろくん」が、父にいくらか補てんをします。でも、ギリギリまで貸出はしませんし、少しずつ貸します。亡くなったらマンションを売却して回収なので、わたしへの返済まで時間がすごくかかります。

父の財産はすべて父の治療費、介護費に突っ込みます。本人もそれで納得していますが、マンションの相見積もりは取れよと。それだけは正論だなと思いましたが、マジで何にお金を使ったんだこの人は!!!

不動産屋さん・行政書士さんとも、今後はやりとりが始まります。しかし、いろんなことが次々とやってきて驚く毎日ですが、ブログのネタが尽きないのでありがたいですよ!

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか