認知症の母が足を引きずってる!駆けつけられない息子のとった行動とは?

前回の記事で、町内会費の集金に来た見知らぬ女性の対応を遠隔で行った話を書きました。実は同じ日に、わたしはもうひとつの問題を同時処理していたのです。

町内会の集金は17時の予定だったのですが、15時の見守りカメラの映像に母が不自然に歩く姿が映っていました。

尿か便でも漏らしたかのような感じで、股に手を当てながら、ガニ股で廊下を壁伝いにゆっくりゆっくり歩く母。

イメージ写真ですが、まさにこんな感じ

トイレに向かうならまだしも、トイレを過ぎた廊下を不自然に歩いています。失禁ではないと思い、連続録画されている見守りカメラの映像をさかのぼって確認したところ、2時間前の13時に異変が見つかったのです。

わたしの妹が帰り、入れ替わりで訪問リハビリの作業療法士さんが家に入ってくるまでの数秒の間に、母が玄関近くの廊下で思いっきり転倒していました。

難病で手足の筋肉が萎縮している母はよく、何もないところで転びます。転倒は日常ですが、映像を何度も確認すると、派手に転んで下駄箱に激突していました。その映像とガニ股歩きから、まず頭をよぎったのは大腿骨にヒビ? でした。

ただ転んだ直後に、作業療法士さんとリハビリを行っています。その映像も見ると、いつものリハビリとは違っていましたが、緊急連絡がなかったので大丈夫と判断。しかし、念のため直接本人と話したほうがいいと思い、母に電話をしてみました。

転倒から2時間が経過していたので、母は転んだこと自体忘れているし、さらに痛みも忘れちゃうような気がしたので、忘れる前にわたしの記憶に留めておくための電話です。

不自然な電話に驚かない母

わたしはいきなり「足のどこが痛い?」と質問しました。その場にいなかったわたしの質問は不自然ですが、母は全く不思議に思うことなく、左足の小指、薬指、中指の3本が痛いと訴えました。

母との電話が終わった直後に、今度は作業療法士さんから電話がきて、足に熱を持っていなかったので骨は大丈夫だと思うという話でした。念のため、ケアマネさんにも連絡することに。

ただ不自然なガニ股歩きは、リハビリ終了の1時間後だったので、時間の経過とともに痛みが増しているかもしれません。だけどわたしは東京で駆けつけられないし、もうすぐ町内会の集金が来ます。

「そばにいれば、なんとかなるのに!」という遠距離介護あるあるな言葉をつぶやきながら、2時間前まで居た岩手の妹に、ガニ股歩きの件をLINEで連絡しました。

妹のスマホでも、母のカメラ映像が見られるようにしてあるので、「ガニ股歩きを見て」とLINEすると、これはヤバいねと。妹は偶然、翌朝の対応が可能だったので、病院に連れて行くことがここで確定。妹がダメなら、ケアマネさんと策を練るつもりだったので、とりあえず一息つきました。

診断の結果は?

翌朝、妹が実家に到着したところで、動画で母の足の様子が送られてきました。左足は紫色に腫れあがり、動画で見る限りではやばい様子。頼む、骨折だけはやめて!

もし見守りカメラがなかったら、母が作話で医師に説明し、それを信じたかもしれません。病院に付き添った妹が、転倒の事実を分かっているのが救いでした。

わたしは家電量販店に用があり、自転車で移動中だったのですが、途中で妹からのLINEを見つつ、ケアマネさん、作業療法士さんに連絡。何度も自転車を止めてのやりとりが続き、なかなか目的地に到着しません。

診断の結果は、ねんざ。レントゲンで骨には異常なく、とりあえずホッとしました。結果をケアマネさん、作業療法士さんにも連絡し、足の様子から翌日のデイサービスも行けそうだったので、その件もシェアしました。

訪問介護・看護をされている方なら経験あると思いますが、転倒したまま2日間、誰にも発見されない高齢者の話、聞いたことないですか? わたしは何度もあります。

集金と転倒、2つの事件を見守りカメラに解決してもらいました。もしカメラがなかったらと思うと、本当にゾッとします。こういうドキドキ体験をしないと、カメラの設置に踏み切れない方が結構いますが、わたしの体験を読んで、ドキドキする前の設置がベストだと思います。

転倒、集金に加え、さらにもう1つ進行していたことがあり、そちらは来月あたりにブログ記事にするつもりです。さすがにグッタリした、師走の1週間になりました。

音声配信voicyの最新回は、認知症の人の強いこだわりのお話です。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか