1/18新刊発売のお知らせ

離れて暮らす認知症の母の家に突然現れた「押し売り」の話

東京に居たわたしのスマホに、岩手のヘルパーさんから着信がありました。認知症の母に何かあったから電話が鳴るわけで、今月は町内会費問題、転倒と災難続き。今回は何? と思いながら、ドキドキして電話に出たのです。

ヘルパーさん
今、ふとんのセールスが家の中に入っていたので、追い返しました!

電話の内容からわたしは、母がセールスを家の中(寝室)に招き入れ、新しいふとんを購入しようとしていたところをヘルパーさんが見つけて、驚いて追い返したのだと思いました。

電話を受けてまず思い出したのが、約20年前にあった祖母の事件です。認知症だった祖母は、30万円近い羽毛布団を買わされたのです。当時祖母を介護していた母は、怒ってはいましたがたぶん何もしなかったように記憶してます。昔は平気で、いろんな訪問販売が自宅に来ていた時代でしたからね。

母はヘルパーさんのおかげで、ふとんを購入せずに済みました。結論にホッとしつつ、今回も得意の見守りカメラの映像で、セールスの一部始終を東京で確認してみることにしました。すると……。

セールスを撃退できた理由

カメラの映像を見てまず驚いたのが、ヘルパーさんが来たタイミングです。

男性セールスが来て母と話し始めた2分後に、ヘルパーさんの訪問介護が入っていたのです。めちゃくちゃラッキー! 次にヘルパーさんが言ってた家の中とは、玄関先でした。

いかつい、サングラスを掛けたオラオラのセールスが家の中にズカズカと入ってきて、ふとんを強引に売りつけている画が、昭和生まれのわたしの頭にはくっきり浮かんでいたので、映像を見ていきなり拍子抜けしてしまったのです。

ヘルパーさんは毅然とした対応で、セールスを追い返していました。なんて心強い、ありがとう!と思いながら、さらに2分の会話の内容を映像で精査しました。

セールス
こんにちは。○○です。ふとんのリフォームで回ってまして、12月中に押し入れの整理整頓とかどうかなって。
うちはね、みんなきてやるんですよ。
セールス
と、いいますと?
このあたりは親戚がいっぱいいてね。ここからずっとこの通りは、うちの親戚なんですよ。みんなで集まってね。おたくさんは何でしたっけ?
セールス
ふとんのリフォームで。
うちはね、昔のうちだから布団は自分で作ってね

2分の会話の内容を、文字起こししてみました。この話のオチ、分かりますか? オチが分かったら、このブログを相当読み込んでいる証拠です。

はい、解説します!

まず、男性セールスはふとんの押し売りではなく、ふとんのリフォーム業者でした。実はふとんのリフォームを少し考えていたので、もしわたしが居たら話を聞いていたかもしれない案件です。ちなみに業者に問い合わせは一切してないので、偶然来たようです。

そのリフォーム業者は、母に営業を始めたわけですが、内容を理解していません。母も話しているうちに、男性の訪問目的が分からなくなり、関係ない話をして取り繕ったわけです。一方のセールスは違和感がありながらも、わが家の事情を知らないので母の話を聞いていた。いや、聞かされた?

そしたら玄関の扉が急に開いて、後ろからヘルパーさんに毅然とした態度を取られ、追い出された。何もできなかったセールスは、ある意味ついてなかったかもです。

ヘルパーさんに追い返される際、セールスは最後にこう言ってました。

セールス
わたしは押し売りはしていません
確かに、押し売りはしてません。物腰の柔らかいセールスは、訪問介護も認知症のことも分からないまま、後ろから入ってきた見知らぬ人に追い出されて、逆の意味で災難だったかもしれませんよね。

数年前の母なら、セールスの話を一切聞かずに「うちは結構です」とキッパリお断りしていたはず。今回も買う姿勢は見せていませんでしたが、ひょっとすると新しいセールス撃退法を開発した?

1か月に3回も見守りカメラに助けられたことは、過去にないです。遠距離介護で精神的に疲れた、師走のお話でした。

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今日もしれっと、しれっと。

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2件のコメント

こんにちは。くどひろ様
お母さまへの愛情たっぷりの遠距離介護のブログ いつも温かい気持ちになります。
以前、一人暮らしの母宅に来る訪問介護士さんの件でコメントさせていただき今日はコメント二回目です。
私は、海外在住で時差がある為、見守りカメラで母の様子を見ることができる時間帯が限られてしまいます。
そんな中、ある日のこと。(もう3年も前のことですが)パソコンの電源を入れたときに 会話が聞こえてきました。
なんと、マンションがせっかくオートロックになっているというのに、母は、インターホンで入り口を開けてしまったようです。
ま、ヘルパーさん、訪問歯医者さん、ドクター、看護師さんなどが来ますので、誰か来たらすぐに開けてしまうのでしょう。
玄関でやりとりしています。
男「こんにちは~。お久しぶりです。僕のこと覚えていますか~?」
母「どちらさんでしたっけ?「
男「僕ですよ~。以前も来た事あります~。今日は、近くに来たので顔見たくなって~」
何やら親しげに母に話しかけています。
その男は、母に金(きん)を売りつけに来たようです。
母が「きん?きん?ってな~に?」
男「きん!ですよ。き・ん。ゴールド!」
ここで、私が堪忍袋の緒が切れ、母に電話を入れます。詐欺だからすぐに追い返せ!と。
母「今、娘から電話があって、帰ってくださいって」
男、焦りながら「ええっ!娘さんってどこにいるんですか?この近所に住んでいるんですか?」
母が、律儀に私の住んでいる国や都市の名前を言いそうになったので、私はあわててすぐに見守りカメラのスピーカーで大声で「おかあさ~ん!その人、もう帰ってくださ~い」と叫びました。
それでもまだしつこく粘ろうとする詐欺おとこ。私も絶対に負けません。
やっと男は帰り、事なきを得、マンションの管理組合に報告を入れました。
その一件より遡ること1~2年前、あ〇ひ新聞の勧誘員にまんまと口車に乗せられ、契約してしまいました。その時に別の新聞をとっていたというのに。
結局、その時は、新聞を新規契約してくれた御礼として玄関にミネラルウォーターが山積みになっていたので、訪問看護師さんが気がつき、ケアマネに連絡してくれ、わたしのほうにも報告がありました。
丁度 カメラの死角になっており山積みの水に私は気づかなかったんです。
クーリングオフすることになったんですが、や〇ざみたいな男で怖かったです。
ケアマネ(38歳男性)が連れて来てくれた消費者センター苦情係の女性も同席で(母含め3人)、私も国際電話で参戦し、やっと解約することが出来ました。
今回のくどひろ様お母さまの件は押し売りではなかったそうですが、訪問ヘルパーさんお手柄です。
遠距離介護の場合は特に、見守りカメラや皆さまに本当に感謝ですね。
くどひろ様も引き続き、お母さま大切に。そしてご自身も大切になさってくださいませ。

Fさま

コメント、興味深く拝読しました。

ゴールドはゾッとしますね、ふとんレベルじゃないです。
うちは母が牛乳の契約をしてしまって、慌てて解約した経験があります。

そしてケアマネさん、しっかりしてますね。消費者センターの方を連れてきてくださるケアマネさん、どれだけいるんだろう。
はい、しれっとしれっと介護を続けていきます、ありがとうございます!

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。岩手にいる認知症&難病(CMT病)の母(79歳・要介護3)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて11年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。
【著書】親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)ムリなくできる親の介護(日本実業出版社)医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか