【数字が示す】 認知症の人が 「骨折」 する事の 「本当の」 恐ろしさとは?

まずは、こちらの記事からご覧ください。

高齢者は1日でも長く寝ていると、それだけ動けなくなる。専門医は「1週間寝たきりで20%、5週間で96%筋肉が落ちてしまう」という。母の場合も手術後数日で病院の廊下のバーを伝い歩きするリハビリが始まった。だが、うまくいかなかった。リハビリの障害は母の認知症である。入院前の介護保険の介護度は「要介護2」。ところが、入院すると、認知症が一気に進んだ。入院当初から自分が足を折って動けないということすら理解できなかった。

引用元:リハビリはばむ認知症進行 母のドミノ骨折その後(zakzak)

この記事で一番衝撃的だったのが、赤太字の部分です。「骨折」 が原因で寝たきりになると、こんなスピードで筋肉って落ちるんだ・・・初めて数字で示されて愕然としました。

亡くなったうちの祖母の場合、5週間以上病院のベットで寝ていましたので、最期はほとんど筋力がないってことになります。このブログでも、「大腿骨骨折と認知症」 については、何度かとりあげて来ました。(カテゴリもあります)改めて、振り返ってみます。

長尾クリニック院長 長尾和宏医師のコトバ

本当に歩かせたいなら、本気でリハビリをすべきだ。しかし、リハビリ病院でさえ1日20分のリハビリを、週5回やるだけ。祝日があれば、週4回だけ。これがリハビリ入院の実態。真実は、「寝たきり製造入院」。そろそろ「病院への幻想」は捨てたほうがいい。毎日、どこかの家族が来られて私に文句を言う。「歩けるようにするから手術をしよう、と言われたのに」?もともと、認知症があれば、認知症はさらに増悪する

長尾先生は、『手術をしないほうが、マシな場合が多いのでは?』 とまで言っています。今思えばですが、祖母の病院訪問に行っても、実はリハビリしている時の姿に遭遇したことがなかったんです。このリハビリ時間だったら、遭遇しないかもしれません。

元記事:手術は成功しましたが、寝たきりになりました

「骨折」の「本当」の恐ろしさは、「死」 が近づくということ

亡くなった祖母(90歳)は、認知症で病院内を徘徊しました。朝方、病院内でベットから転倒し、大腿骨骨折。手術は、無事成功。その後、2か月間のリハビリを行ったものの、本人が認知症でリハビリを理解していないというところもあって、結局は寝たきりになりました。寝たきりになると、どんどん衰弱していきます、そして死がやってきます。

最初の記事も、我が家も共通して言えるのは、

「認知症患者 ”本人” は、歩きたいという意思を持ち合わせているか?」

ということです。家族は当然、「歩かせたい!」 と誰もが思うんですが、本人にその気がないと、単なる 「強要」 でしかないんです。認知症の難しいところでもあります。

骨折を機に家族としては、「敢えて車椅子をゴールにして、無駄に歩かせない」 という選択をすることもあります。認知症なので、骨折したことを覚えていないんです。覚えてないので、また徘徊→骨折 を繰り返します。それならば徘徊しない、車椅子をあえて選択するというご家族も多いです。歩く事と比べて、足の筋力を使う機会は減るので、衰弱のスピードは加速してしまいますが・・・

亡くなった祖母は、リハビリして歩きたい!という意思を持ち合わせてないほど、認知症が進行していました。リハビリは効果を示さず、車椅子生活が始まりました。歩きたいかどうかも分からない、リハビリが理解できないところまで進行してしまっている認知症の場合、「骨折」 してしまうこと = 「死」 へ近づくこと を意味します。

「認知症の人を、骨折させてはいけない!」

祖母で経験した教訓を、認知症の母には生かさないといけないなぁ~ そう思っています。

”筋力が衰えるデータ” を見て、改めて認知症の人が骨折することの 「本当の」 恐ろしさを再認識した!というお話でした。こわー!


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2件のコメント

認知症だった伯母は、大腿骨頸部骨折が判明した際合併症が多く全身麻酔に耐えられない(そのまま目覚めない可能性)こと、やはり認知症のため手術自体が成功してもリハビリが難しいだろうことから手術しない方針となり、それから間もなく多臓器不全で無くなりました。
手術しない決断をしたことに悩む家族に、「手術して成功して、リハビリ室で曲げ伸ばしするたびに、立たされるたびに痛がって苦しむ姿を見たら、苦痛から認知症状が悪化して不穏が強まり暴力的になったら、自分がまだ歩けない事が理解出来ずにまた転んで怪我したら、こんな思いさせる必要があったのかってやっぱり悩むんじゃないかな?」と伝えました。
別の大伯父は認知症は軽度でしたが90超えで合併症も沢山ありましたが「術中死覚悟で手術させて欲しい」との申し出に意を決してお願いし、成功したものの、術後経過不良で数日後に亡くなりました。
あの時「結構です、と断っていれば…」と苦しむ家族に、「普通の医師は術中死は一番避けたがる、出来ませんと言われてもおかしくなかったのに、いい医師と巡り会えたね、奇跡を信じてくれたんだね、また元気に歩いてほしいって思ってくれたんだね」と伝えました。
本当に大腿骨頸部骨折は大きな転機となりますよね。
あ、でも骨折後再転倒で反対側も骨折して復活し「もう転ばないようにデイに行けったってあと折れるトコは真ん中しかねーよなー?がっはっはー!!」と下ネタジョークを飛ばし新人ちゃんを困らせていた90超えのおジイちゃん利用者さんもいましたよ。

匿名さま

いろいろなケースがありますね。うちの場合は「手術しないと、死んでしまう」くらいの強い説明があったように記憶しています。おそらく手術後も穏やかな祖母でしたし、痛みもないと言っていたので、上手に手術してもらえたのだと思います。

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか