『未来の年表』から分かる2021年・2026年・2030年の介護環境

未来の年表 介護

講談社現代新書の新刊「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること(著者:河合雅司さん)」という本が売れています。

著者の河合さんがラジオにゲスト出演されていたのを偶然聞いたので、購入してみました。介護の未来はどうなるのか?本を読んでみての感想です。

未来の年表とは?

「人口減少カレンダー」というのがあって、「20××年に何が起こる」という形式で書いてあります。装丁をそのまま引用しますと、

2020年 女性の半数が50歳超え
2024年 全国民の3人に1人が65歳以上
2027年 輸血用血液が不足
2033年 3戸に1戸が空き家に
2039年 火葬場が不足

こんなことが書いてあります。すでに東京圏は斎場、火葬場不足が進んでいて、場所や時間帯によっては1週間から10日も待たされることがあるそうです。自分のお墓に関して全くこだわりがなく、後継ぎもおりませんので、残された人の負担にならないようにするつもりです。介護に関係するところをピックアップしますと、

2021年 介護離職が大量発生する
2026年 認知症患者が700万人規模に
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
引用元:未来の年表

2026年の認知症の人が700万人規模になるという話は、皆さんすでにご存知かと思います。この推計値よりも、さらにハイペースになるであろうことも、なんとなく分かっていらっしゃるかと。

有効求人倍率がいくら良くても、個別の企業で求人状況はバラバラというのと同じで、700万人というマクロの数字はわたしはあまり興味ありません。その頃にはきっと認知症介護でお困りの方が、このブログに多くいらっしゃるのかな・・・9年後だったら母もたぶん生きていると思うので、役立つブログを更新できているといいなぁと思います。

介護離職が大量に発生する

今から4年後に、介護離職が大量発生するそうです。わたしも含まれる団塊ジュニア世代が50代になり始めるから、働きながら介護をしている人は50代が最も多いからというデータからです。

本には書いてありませんが、付け加えるなら「親の在宅介護が始まった平均年齢が50.9歳」というデータも使えるかもしれません。人口の多いわたしの世代が、いよいよ介護に突入する=介護離職が増えるというお話でした。

2つの意味で介護離職は、増えると思います。1つは普通に介護離職する人、もう1つは会社で年齢的に肩たたきに会うけど「介護という理由を使って退職すると、面目が保てる」から介護離職する人、この2つに分かれると思います。

このブログで一番読まれている、介護離職の記事で引用しているOKwaveの介護による退職についての回答が下記です。要は介護を離職の理由として「利用」する人は多くて、採用担当もイライラしているという話です。この回答、わたしは好きじゃないですけど・・・

ぶっちゃけ家族の介護で仕事を辞めましたってのは嘘のつき放題です。逆に、家族の介護でという理由でも辞める理由TOP3に入ります。そのくらいどうでもできるからです。いえ、貴方が嘘をついているとは思っていませんがね、大人の常識として、普通家族構成にもよりますが働き盛りの子供を辞めさせてまで祖母を介護させるか?というと答えはNOです。大多数は介護施設やリハビリ施設で回復をまつのが仕事をもつ孫であり子供ですから。そのくらい仕事は大事ってことです。辞めたい理由があってついでに辞めたというのならわかるのですが、まあありえない理由だというのが採用側の常識です。すみませんね。
引用元: http://okwave.jp/qa/q7426540.html

介護経験者同士で会話すると、本当に介護しているかどうかぐらい判別できます。人事部に介護経験者がいれば、その人にジャッジしてもらえばいいんですが、介護離職した人の復職ってやっぱり厳しそう・・・肌感です。

2030年の老人ホームが消えるというのは、地域によっては生産年齢人口が減って若者が流出すると、サービス自体が保てないというお話です。生産力が減少していくと、今あるサービスも保つことができない・・・確かにそうですね。

だからといってあまり未来を不安視するのも嫌だし、そういうデータがあるんだ・・・なるほど~ という感じで、この本を読んでいます。時代の変化に柔軟に対応できるように、いろんなものに縛られない生き方でいこうと思います。今のところは縛りがほとんどありません、こんな状態でもそう思っています。

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4件のコメント

くどひろ 様
ご無沙汰してます(^-^)
このブログの最後の方に、介護を理由に「利用」してやめる人も多く…の文を見て、あっ実は私もそんな1人だと気付き、久しぶりにコメントを書いてみようと思いました。
母の認知症が明かになり家族として何かをしなければならなくなった時、私は職場の雰囲気が嫌で嫌で、でもすぐに辞められない環境だったので、週に2日お休みを頂く形を取りましたが、半年たたないうちに、そろそろ施設に入れて復帰して欲しいというような打診がありました。けれど、母は認知症と認知してないので無理もあり… そんな会社にサヨナラしたかった私は心の中では「ラッキー」と思いながら、辞めることが出来ました。

辞めたからといって母の介護が終わる訳ではないから、嘘八百でもないですが少々心の痛む事。

あれから2年半経ちますが、母はデイサービスも1度で行かなくなり、ヘルパーさんと協力して、彼女の生活を介助している生活のまま…
いつまでも続きそうです(TT)

私もご無沙汰でした(^^)/
介護離職後、同居して思いがけず半年で実父を看取り、実家のアレヤコレヤもやっと整理できました・・。
自宅に戻ると今度は義父の認知症状が進み、ここ2,3日連続で家族会議です。
本来なら経済的に再就職しなければならないのですが、義母の負担もかなりキツクなり「どうしたものか」と思案にくれています。
夏場は体力的に落ちるので認知症状も重く出る傾向があるのでしょうか?
アラカンの身にはもう仕事にも限界があるのですが、仕事をしたい気持ちと実父の次は義父ですかい?という気持ちの間で揺れ動いています。

奈都さま

介護を利用して辞める人、本当に多いと思います。わたしの友人にもいます・・・でも話すとバレバレです。

「施設に入れて復帰して欲しい」という打診、言葉自体もすごいインパクトありますね。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか