妻の安否確認のため警察に電話した話

遠距離介護、初日の朝。

本来であれば10時30分ごろの東北新幹線に乗り、お昼過ぎに盛岡に到着。買い物を済ませて、デイサービスから帰ってくる母を待つ予定でした。ところが、妻の咳が1日中止まりません。

4月に肺炎で緊急入院したときと同じくらい、状態がよくなかったのです。それでもわたしは、実家でどうしても外せない介護の予定がありました。入院になった場合に備えて、妻が入院セットをキャリーバッグに詰め込み、それを運ぶ役目として付き添うことにしました。

問診中、妻はずっと咳をしていました。ただ、数値やレントゲンを見る限り、今回は入院の必要はないとのこと。わたしは入院したほうがいいのではと思いましたが、妻が「家がいい」というので、そのまま検査だけ受けてもらうことに。私は予定通り、東北新幹線で岩手へ向かいました。

このとき医師から、「もし何かあったら電話してもらって構わない」と話があり、緊急時の連絡先はあとで妻からLINEで送ってもらう約束をしました。

妻に連絡するも応答がない!

こういう事情もあって、わたしは妻の安否をスマホゲーム『ドラゴンクエストウォーク』で確認するようになりました。何時にログインしたかわかるので、それを生存確認代わりにしています。

通院から2日後のこと。前回のログイン時間からすでに10時間を超えていました。ずいぶん長く寝ているなと思い、LINEでメッセージを送信。ところが1時間経っても既読がつきません。さすがにおかしいと思い、今度はLINEで通話をかけましたが出る気配がありません。

続けて、普通に携帯へ電話をかけてみても反応なし。10分後、もう一度かけ直しても、やはり応答はありませんでした。これは、もしかすると大変なことになっているかもしれない。妻はひとり暮らしも同然で、近所に親戚もいません。いったい誰が、彼女の安否を確かめられるのか。

まず頭に浮かんだのは、自分が東京へ戻ることでした。ですが、どんなに急いでも3時間はかかります。しかも母がデイサービスから帰ってきたあと、食事と薬の対応を済ませてからでないと動けません。

となると、東京に着くのは22時ごろ。今の時刻は16時。もし妻が倒れていたとしたら、6時間後に到着しても意味はないと思いました。

内心は相当慌てていましたが、こういうときほど妙に冷静になれるものです。AIに相談してみると、まずは団地の管理事務所へ、それでだめなら警察か救急へ連絡するようにとアドバイスをもらいました。その時の相談結果がこちら。

救急に「配偶者が室内で倒れている可能性があり、独居で応答がなく、鍵もない」と伝えてください。救急隊は安否確認を目的に、警察・消防と連携して現場で解錠対応をしてくれるケースが多いです(法的には第三者の立会いのもと、必要と判断されれば強制的に開けることもあります)。ためらわず110番と両方に連絡してOKです。

ただ、管理事務所はこの時間帯は開いていないと知っていたので、管理事務所を統括している部署に電話をしてみました。すると合鍵はないし、こうした場合はやはり警察に連絡するのが一番との返事でした。 

110番しなければならない気もするし、そうでない気もする。そこで家の近くにある交番に電話しようと思ったのですが、番号が見つかりません。代わりに東京の家の近くの警察署の代表電話があったので、そちらに電話しました。

警察の対応

くどひろ
くどひろ

わたしは岩手にいて、妻が警察署の近くに住んでいます。体調が悪くて家にいるのですが連絡がつかないので、どうしたらいいかと思って電話しました。母の介護があって、どんなに早くても東京着は22時過ぎになります。

男性
警察官

分かりました。であれば、警察官を向かわせますので、住所を教えていただけますか。状況がわかり次第、折り返し電話いたします。

くどひろ
くどひろ

ありがとうございます!よろしくお願いします。

警察官は玄関でピンポンを押して、妻の反応がなかったら家にどうやって入るのか? 細かいことはあとにして、続けて千葉にいる義姉に電話をしました。最も身近な親族ですが、23年の結婚生活で携帯に電話したのは初めてだと思います。しかし仕事中で、つながらず。

警察と義姉からの連絡を岩手で待つしかなく、アワアワ。母がそろそろデイサービスから帰ってくるので、夕食の準備もしなくてはなりません。バタバタしていると、携帯が鳴りました。

妻:「今、起きました」(LINEスタンプで)

おー、生きてた!咳込みすぎて意識を失ったかと思ったのですが、無事だったようです。咳がひどいので、眠れるときは深く眠ってしまうのだと思います。

まずい!警察をキャンセルしなければ!すぐに先ほど連絡した警察に電話をしました。

くどひろ
くどひろ

すみません!たった今、妻から連絡が入って大丈夫でした。お騒がせして、申し訳ありません!

その後義姉さんとも電話で話して、今後は合鍵を預けることも考えようかという話になりました。2026年は認知症の母よりも、わたしや妻の体調でずっとバタバタしてますね。

今日もしれっと、しれっと。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(82歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて14年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

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