認知症の母を介護するアラフィフ3人がビール片手に語ったそれぞれの介護感

ビールジョッキで乾杯

イラストレーターであり、超人気介護ブログ『あっけらかん』を運営する、なとみみわさん、女性セブン(小学館)で人気連載中の「明日は我が身の伴走介護」を書いているN記者(女性)、そしてくどひろの3人が、新宿の飲み屋でビールを飲みながら、自由気ままに介護について語り合ったことを、そのままブログ記事にしてしまうという乱暴な企画です。

もし、フリートークを忠実に文字で再現したら、「ハハハ」ばっかりになるので、そこは編集しました。皆さん介護で苦労されているはずですが、ずっと笑ってます。

3人の共通点は、認知症の母親を介護していて、アラフィフだということ。

いつかこの3人で、認知症介護フリートークショーとかできたらいいのにって思います。お2人と話していると楽しいし、介護への向き合い方も勉強になるし、何より笑えます。

そのトークショーに参加する介護者の皆さんもきっと、何かを感じずにはいられないだろうな・・なんてことを妄想しながら、ビール、ビール、そしてビールでした。

アイコンのイラストは、なとみみわさん作です。では、どうぞ!

酔っ払いながら認知症介護についてマジメに語る

N記者
じゃぁ、まず介護感から話しましょうか
くどひろ
介護感って、人それぞれ。バラッバラですもんね~
N記者
介護感もなく、介護への理想も何もなく、頭から突っ込む人、本当に多いですよね
なとみ
この3人の介護感は、めちゃめちゃ近いと思う。介護ってつらい、世間的にはそういうことばっかり言われているけど、どうせ介護やるんだったらね~ 楽しくやってもいいんじゃないかな
N記者
ゴールの見えない介護、目の前のことだけやってたこと、ありました?
くどひろ
34歳の1回目の介護離職のときがそうですね。父が脳梗塞で倒れたけど、どんどん元気になって。1回目のプレ介護のおかげで、介護への覚悟が出来ました
N記者
そこで介護から逃げ出す人もいますよね~
なとみ
そこで、逃げ出したらどうなるの?
くどひろ
介護から逃げて、人生後悔しないのかなって思うんですけど。
なとみ
結局、介護から逃げないで向き合わないと!ってなる。そのときに介護と向き合いながらやるのか、受け身で介護するのかは全然違う。成長度合いも全然変わってくると思う
N記者
今の話って、ある程度介護経験を積んでからだと思うんですけど、初期の頃はバタバタしてました?
くどひろ
バタバタしてましたね。介護保険制度知らなかったし、34歳で周りに介護している人もいないしで。嘘ついて会社辞めたくらいでしたから。内心やべ~って思ってましたけど、父がどんどん回復してくれてよかったですよ。そもそも介護のゴールとかって、イメージしてます?
なとみ
くどひろさん、お父さん、お母さん、おばあさんと介護で比較できたことは、大きかったんじゃないかな?
くどひろ
確かに比較できる人、少ないですよね?
なとみ
3回も介護するなんて、あははは。くどひろさん、分析力すごいですよね。元々そういう性格なの?
くどひろ
そうかもしれませんね。こうやって仕事のように介護をする男性が多くって、完璧主義になってダメになる人も多いです。なので力を抜くのが自分流です
N記者
でもさぁ、女って感情だけで動いて、壁にぶつかる人もいるでしょ。仕事するみたいに、ゴールを見つけて、何をすべきか考える。感情に流されるとダメよね。くどひろさんの話から、女はそこらへんを学ぶべき
くどひろ
仕事って、すげー理不尽なこと、ないっすか?他部署とのくだらない争いとか。何のために仕事をしているのかと悩んだり、苦労しましたよ。認知症ってなりたくてなったわけじゃないから、なんか許せちゃう。私利私欲のためにガタガタいうサラリーマンより、ラクかも
なとみ
会社員が合わなかったんですね。仕事のストレスはないですか?
くどひろ
ないです。こうやって3人で話せますし、楽しい以外にないですよ。なとみさんは、介護ストレスとかってあります?
なとみ
つらいこともいっぱいありますよ、しょうがないんだけど。負の感じになると、ずっと暗黒状態が続きますね。家の中も。そういうときにうちは息子がいたので、闇を切り裂いてくれる。全然関係ないから、あいつは。「たっだいま~」「おばあちゃん、元気~」って、アホみたいに帰ってくる。そうすると、まとわりついてたものが飛んでっちゃう
くどひろ
それ、めっちゃいいですね!
なとみ
2日間、寝てないことがあって。そんなときは息子に帰ってきてほしくない、この状況見せたくないから。でも、アイツは闇を「ハー!」って切り裂いちゃう。全然関係ない人の介入って、とても大切だなと思いましたよ。旦那じゃぁ~、できない
N記者
孫いいよね~。要介護者と子ども2人だけになるのは危険だよ。でもそのことに最初は気づかないでしょ、だいぶあとで気づくのよね。
なとみ
そういうサービスがあるとか、最初は分からないから。どれくらいケアマネと密に、ふところを見せあえるか、すごく大切だと思う。うち、ケアマネ3回変わった
くどひろ
それ、多くないっすか?
N記者
うちはサ高住で、部署変更かなんかでどんどんケアマネが変わるから恵まれない。
なとみ
え゛ーーーーー
くどひろ
マジですかーーー
生とレモンサワーと、生。あと、水ジョッキで1杯もらっていいですか~

なとみ
情報を取りにいくって、とっても大切なことだよね
N記者
情報は大切って、よくいうけど。情報はないのが普通、探そうって思わないのが普通
なとみ
探さないのかなぁ~。1番最初の介護が義母だったから、めちゃめちゃ俯瞰してみてた。のめり込まないまま、看取りまでいけたのがすごくよかった。だから、母のことを理解できるのは、義母のおかげよね

介護者3人のある共通点

実はこの文字起こしは、2時間飲んだうちの最初の30分です。

120分聞いてから、ダイジェスト的にまとめようと思ったのですが、キレイにまとまり過ぎていると臨場感が出ないなと思い、主語など読みやすく補足する程度にしました。

それに途中から自分の言ってることがほぼ、本に書いてあることばかりになってきたので、冒頭の30分を切り取りました。後半部分もいずれ記事にするかもしれません。

3人に共通すること、それは自分の介護経験・取材をブログや本、週刊誌で発信し続けているということです。インプットするより、このアウトプットを意識すると、人生面白いのに・・・わたしがいつも思っていることです。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか