認知症の母のためにテレビ電話を導入しようとして止めたワケ

現在発売中の家電批評3月号で、見守り&介護特集をやりました。

家電批評 2021年 3月号 [雑誌]

家電批評 2021年 3月号 [雑誌]

630円(04/30 11:16時点)
発売日: 2020/12/28
Amazonの情報を掲載しています

活動センサー、見守りカメラなど、興味のあるガジェットを大量に岩手の実家に送ってもらい、実際に認知症介護に活用してみました。そのときの写真が、記事タイトル下の画像です(モザイクかけました)

その中で、1番購入する可能性が高かったのがスマートディスプレイ(テレビ電話)です。わたしが昨年出演したNHKあさイチでも紹介されていたAmazon Echo show8がそれで、認知症の母とテレビ電話の実験してみたのです。

わが家ではスマートディスプレイは要らない

結論からいうと、わが家にスマートディスプレイは必要ないと判断しました。念のため、妹にもテレビ電話があったら使うか聞いてみたのですが、妹もこれまでどおり見守りカメラ&電話でいいと言いました。なぜそういう結論に至ったのか、理由を説明します。

介護中、親子でどのくらい会話をされますか? 会話量が多く、話題も尽きないのなら、Amazon Echo show8はオススメです。設定が簡単で、認知症の母が何かしなくても自動でつながって、すぐ話ができるからです。スクリーンも8インチと大きく、文句なしです。

実際、2階の自分の部屋のパソコンと1階の居間にいた母のAmazon Echo showで会話しました。ほとんど問題なく、スムーズな会話になりました。Amazon Echo showにわたしの顔が映り、母は自然とわたしを見る(=カメラ目線になる)ので、カメラの向きも気になりません。

商品の詳細は家電批評に書いてあるためここには書きませんが、他にもFire HD10というタブレットタイプも試してみました。こちらはさらに画面が大きく、テレビ電話最高!とまで思いました。

それでも購入を見送った原因は、わたしの見守り方と母との会話に特徴があるからです。

母は、ほとんど同じ話(作話も含む)しかしません。コロナの話、デイサービスの話がほとんどで、わたしが電話すると用件だけ聞いて、ひどいときは会話の途中で電話を切ることもあります。

それでも一緒にテレビを見ながら会話していると、画面によって話題が変わっていくので、テレビに助けられて会話している部分もあります。

Echo showでつないだときも、「これ、なんなの?」「なんで映っているの?」「あんたどこにいるの?」という会話の繰り返しになり、ストレスになったのです。慣れたら言わなくなるかもしれませんが、数か月、いや1年以上かかるような気がします。

さらに、最近は母を見守りカメラで見る回数がどんどん増えていて、1日20回~40回くらいは見ます。そんなに見ているので、特に会話はいらないというか、母の様子を「会話せずに」一方的に見られればよく、本当にコミュニケーションが必要なときは、電話でいいという感じです。

娘である妹なら、母との会話を楽しむかもしれないと思ったのですが、どうやら妹もわたしと同じようでした。

会話を楽しめる介護中の親子だったら、スマートディスプレイやZoomなどを使ったオンラインのやりとりがあったほうがいいと思います。わたしのように、完全に介護的な見守りを重視して使うなら、見守りカメラで十分でしょう。

実際に使うまで、きっとAmazon echo showを購入するだろうと思っていました。しかし、購入したのは、別の新しい見守りカメラだったのです。これで実家は4台体制になり、より安心感が増えた半面、見守りポイントが増えて、逆に大変になった部分もあります。

購入する前にレンタルして、使ってみてから見守りカメラやスマートディスプレイの導入を検討されるといいと思います。絶対導入すると思っていましたが、まさか見送りになるとは……。

音声配信voicyの最新回は、介護を自分事と考える3つの年齢をご紹介しています↓

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか