認知症の母がカレーライスの食べ方を忘れたときの工夫

認知症の母の夕食を準備しながら、そういえば自分は無意識のうちにこんな工夫をしていたと気づき、記事にしてみました。

無印良品のカレー生活

わが家では無印良品のレトルトカレーを、めちゃめちゃ愛用しています。化学調味料、合成着色料、香料を使っていないので、高齢の母にも優しそうですし、わたしは料理に時間をかけたくないので、少なくとも週1回はカレーです。

もう1つカレーが多い理由は、ワンプレートだからです。認知症の母は皿数が増えると、食べ方が分からずに混乱するので、どんぶりやカレーのほうがいいのです。刺身で使うしょうゆの皿も置かずに、かけた状態で提供するなどして、食卓に並ぶ皿を減らす工夫をしています。

カレーは母がすぐ辛いというので、無印のカレーの辛さ段階は0辛のものを食べてもらっていて、わたしは2~3辛が多いです。

認知症の母のカレーの不思議な食べ方

お店でカレーを注文すると、皿の半分にご飯が盛ってあって、もう半分はルーで提供されるケースが多いですよね。お好みで福神漬けを添えれば、ワンプレートでカレーは完成します。しかしこの盛り方で認知症の母に提供したところ、想定していなかった食べ方をしたのです。

ある日はご飯からどんどん食べ進めて、ルーがめちゃめちゃ余りました。またある日は福神漬けとご飯だけを食べ進めて、まるでたくあんをおかずにご飯を食べる人のようで、ルーはそっちのけでした。

要は認知症で、ご飯とルーを混ぜて食べること自体を忘れてしまったのです。また福神漬けはカレーの付け合わせと理解できていないので、不思議な食べ方になってしまいます。

最初は母にスプーンでこうやって混ぜて食べるものだよと説明していましたが、重度まで認知症は進行しているので、当然記憶に残りません。そこで盛り付けを工夫したのです。

認知症介護中のカレーの盛り方

すぐ下の写真の盛り方をしていて、左の皿はわたし。よく見かけるお店での盛り方になっています。右の皿の母のほうは皿いっぱいにご飯を広げ、ご飯全体に福神漬けをパラパラやります。その上からカレーをかけて完成です。

左がわたし、右は母のカレー

この盛り方に変えてから、ルーが余ることはなくなったし、スプーンでどこをすくってもカレーもご飯も福神漬けも常に口の中で一緒になり、母は何も考えずにおいしいと言って食べるようになりました。このパリパリとしたものはなに? とか言いながら。

そういえば母が「ライスカレー」って、たまに言うんですよ。11年前の日経の記事には、日本に伝わった明治時代は「ライスカレー」と呼ばれていたけど、だんたん「カレーライス」と呼び方に変わっていったとありました。

母は明治生まれではありませんが、わたしの小さい頃は「ライスカレー」って言葉「も」使っていたように記憶しています。今はほとんど使いませんが、認知症の母は昭和の記憶が残っているから言うのかもしれませんね。

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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

4件のコメント

先日、キーマカレーを作り、半々で盛り付けたら、仰る通り、ご飯だけ先に食べてしまってました。
まぁ、いわゆるサラサラのカレーと違うせいかな?とも考えてましたが…上にかけてしまう方がいいのかな?後で残された時の扱いが楽だから半々で続けていくかな…

普通のレトルトカレーだと食べきらないのが分かってますから、(ドライ)キーマカレーにして残りは持ち帰る、というようにしてます。玉ねぎ、トマトのみじん切りだけ頑張ればいいだけなのでちょっと気に入ってます。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか