うざいチラシのポスティングが果たす社会的役割

ポスティング 高齢者

盛岡の実家には、大量のチラシがポスティングされています。

正直迷惑でしかなく、これまで大量のチラシと一緒に大切な郵便物を認知症の母が捨ててしまうなど、チラシ不要とポストに貼ろうかなと思ったくらいです。

チラシ以外にも市の広報、町内会のお知らせなどなどポスティングが異様に多く、東京の家もそれなりにチラシはあるのですが、盛岡のほうが多いように思います。

そんなうざいとしか思っていなかったチラシを捨てようとしたとき、ある文字が目に留まったのです。

ポスティングが果たす社会的な役割とは?

わたしは遠距離介護で帰省する都度、チラシや古紙をまとめてゴミに出しています。毎月1回は必ず行う作業ですが、チラシにこう書いてありました。

「健康のために、ポスティングしてみませんか?」

そういうことか!

高齢になると仕事が減り、社会的な役割や人とのつながりが希薄化していき、外出の機会も減っていきます。でもポスティングをすれば、薄給でも仕事はあって社会とつながれるし、外出の目的もできます。そして何よりたくさん歩くので、健康にもつながります。

企業側は、広告宣伝費にかかる人のコストを抑えられるメリットがありそうですよね。ただチラシを印刷する費用はかかるし、ペーパーレス化が進んでいるのに、環境への配慮に欠けている感じはします。企業のブランドイメージには、ネガティブに働いているかもしれません。

とはいえ、高齢者にとってはありがたい働き口のひとつとなっている可能性はあるし、紙の情報提供のほうがありがたいと考えている高齢者もいると思います。小さなチラシ経済圏というかポスティング経済圏が、全国のあちこちに存在するのだと思います。

今のわたしにとってポスティングはwin-loseな関係で、チラシは見ないし、ただ捨てる手間だけが発生します。ただ50代の自分ももうすぐ高齢者の仲間入りをするわけで、そんなときにポスティングで健康を維持しながら、お金をもらって仕事をするのは悪くないかなと。

まさかうざいポスティングが、高齢者の社会的役割を担っているなんて考えたこともありませんでした。実家の見守りカメラにはポスティングしている人の映像が残っていますが、ほとんど高齢者で毎日誰かしら来ています。

ちょっと気になるのは、熱中症です。早朝など時間帯を選んでポスティングされている方が多いのですが、中には汗だくでいらっしゃる方もいて心配になります。

国という単位まで飛躍して考えると、ポスティングで高齢者の健康寿命が延び、国の社会保障費増大の抑制にもつながるかもしれないですよね。これまでのポスティングの見方が、一変したお話でした。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか