認知症の人が同じものを何個も買ったときに家族が納得する方法

認知症 同じ物

日テレの「世界仰天ニュース」を見ていたら、こんな話がありました。

アメリカのある女性が、4年間の交際のうえ結婚する約束をしたそうです。ところが結婚式2週間前に、男性が急に君とは結婚できないと言い出して、結婚式をキャンセルしたのです。

2週間前ですから、すでに4つ星ホテルの式場代(約400万円・女性側のご両親がほとんど負担)を支払っているし、友人や親族には連絡済。身動きがとれないとはこういうことで、ホントにクズ野郎です・・・お金も旦那も逃がした女性の悲しみは、計り知れません。

しかし、最愛の娘を悲しませたくないと考えた女性のお母さまが、すごかった!この事実を前向きに考えて、社会に貢献できないかと考え始めたのです。確かに、このタイミングで式場をキャンセルしたら、ほとんどお金は戻ってこないですよね・・・で、どうしたか?

お母さまはホームレスたちを招待して、結婚式で出す暖かい料理をごちそうすることにしたのです!

傷心中の女性は参加しなかったそうですが、お母さまはホームレスたちが食べるところを見たそう。この話はアメリカで大きな話題となり、ホームレスの皆さんからも感謝されたそうです。

ネガティブなつらい思い出を、社会に貢献できたといういい思い出で上書きする・・・認知症介護も、こういう発想の転換が必要だよね!といつも考えていますが、こんなすごいエピソードにはかないません。ハネムーンのチケットは、母娘の旅行に使ったそう・・・これだけ1冊の本になるレベルの話です。

すごい話だなぁ~と思いながら数日が経ち、極寒の盛岡で見たニュースであることを思いついたのです。

独居の母がジャム6個、パン6斤を買ってしまった

ちょっと前の話になりますが、独居の母には多すぎるジャム6個(記事タイトル下の写真、何度も使いまわしてます)、そしてパン6斤。1日1枚のパンを食べる母がすべて消化するには、8枚切だと48日(1か月半)かかります・・・てか、カビが生えます。

自分の本やコラムなどには、母が買い物という社会活動しているから、リハビリ費用と寛容に考えよう!というところで終わっていたのですが、こうすればもっといい!ということを思いつきました。

そう、フードバンクを利用すればいいんだと。

フードバンクとは、「食料銀行」を意味する社会福祉活動です。まだ食べられるのに、さまざまな理由で処分されてしまう食品を、食べ物に困っている施設や人に届ける活動のことを言います。
引用元:http://2hj.org/problem/foodbank/

フードバンクで取り扱う食品は、賞味期限が1か月以上のものだそうです。缶詰、加工食品、野菜・果物の生鮮食品、防災備蓄品、コメ・パン、冷凍食品などが該当します。生鮮食品は該当しない気がしたのですが、リストにありました。どういうメリットがあるかというと、

いつもと違う食体験によって、子どもや母子世帯などの利用者が「食」に対する楽しみや喜びを感じ、味覚の幅が広がり、食の思い出が増えることに繋がります。

児童養護施設では、本や遊具、学費や修学旅行費、携帯電話代の補助などとして子どもたちに還元したり、母子支援施設では各家庭の食卓が豊かになり、子どもとお母さんが笑顔に変わっていったという事例が報告されています。

引用元:http://2hj.org/problem/foodbank/

今までは同じものを買ってしまったら、家族でシェアするか、ムダにパンを食って太ったあと、ジムで走ってカロリー消費するか、あるいは廃棄をしていたのですが、この手があったかと。

炭水化物をムダに食った罪悪感、いくら走っても落ちない体重・・・アホすぎました。必要としている方々がいるのであれば、還元すべきですよね。まさかこんなところで、世界仰天のエピソードが役にたつとは思いませんでした。

わたしの実家のある岩手県盛岡市にも、フードバンクがありました。皆さまの地域にも、ネットで検索するとあるかもしれません。

認知症の人が同じものを何度も買って来たら、介護者はイライラしてしまいます。お金をムダにして!と責めるかもしれません。そんな状況でもフードバンクを利用して、イライラを社会貢献へと上書きしてみませんか?介護者が社会貢献感に満たされたとき、そのやわらかな感情は認知症の人へと伝わり、いい変化へとつながるかもしれません。

ちなみに今うちでムダに購入してしまうものが、まさかの白髪染めです。ヘルパーさんが来るたびに、母がリクエストしてしまいます。購入しても、使い方が分からず意味がないのです。わたしがいつも美容院に連れて行くのですが、白髪が気になりだすと何回もリクエストします。なので、ヘルパーさんにこう言います。

くどひろ
母が白髪染めをリクエストしたらとりあえず受けて、在庫切れだったということで対応をお願いします

白髪染め・・・食品じゃないんだよな、最近の母は(笑)割とすぐ食料品は重複しそうなので、フードバンク行ってみます。行ったら、またブログに書くかもしれません。

今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか