認知症の母がテレビを消せなくなったので昭和のテレビを再現してみたらうまくいった話

認知症介護である悩みを長期で抱えていて、解決できずにいました。

その悩みとは、認知症の母がテレビの電源の切り方を忘れてしまったことです。ここ数年で認知症が一気に進行したせいもあって、テレビリモコンを使って電源ボタンを押して、テレビを消す動作を忘れてしまったのです。

困った母は電源を切るのを諦め、つけっぱなしで寝てしまう日もありました。(電源プラグを抜いて電源を切られたこともありましたが、こちらは解決済)

テレビのリモコンが見つからない!

母がテレビをつけっぱなしにしても、わたしが見守りカメラでテレビの状況も見ているので、スマートリモコンを使って、遠隔でテレビの電源を切っていました。

ところが別の問題が!母がテレビのリモコンを、寝室のタンスの中や居間の引き出しに片づけるようになり、リモコン自体が見当たらないのです。

しかもヘルパーさんが母をデイサービスに送り出すとき、テレビリモコンがないので電源が切れません。困ったヘルパーさんは機転を利かせて、テレビの主電源を切るようになりました。とてもありがたい対応だったのですが、さらに別の問題が!

ヘルパーさんに主電源を切らないでとお願いした

デイサービスから帰ってきた母は、テレビのリモコンがないのでテレビが見られません。わたしも遠隔操作で電源をONにしたいのですが、主電源を切られてしまっては操作もできません。

この状態で何が起こるかというと、母は諦めて寝てしまうのです。誰かが手動で主電源を入れるまで、母はテレビを見ずに昼寝を繰り返します。そんな母に待っているのは昼夜逆転と筋力低下です。夜中に起き出し、立ち上がりでフラフラする母。やはりテレビが映らないと困ります。

それを防止するため、主電源が切れていたらわたしが東京から電話をして、ヘルパーさんに申し訳ないけど主電源を入れてくださいとお願いするという、妙な対応をしなければなりませんでした。

母がリモコンを自分で見つけてテレビを見始めるときもあるのですが、寝る直前になってリモコンを何度も見ながら戸惑い、さらにテレビ本体の前まで移動して戸惑っている姿が、見守りカメラにはっきり映っていました。

ヘルパーさんに本来お願いしてはいけないし、母もテレビの電源で戸惑っている。半年くらい悩み続けた結果、これなら解決するかもしれない!とある方法を思いついたのです。きっかけは、実家の客間にあった昭和のテレビでした。

昭和のテレビの令和のテレビの違い

昭和・平成のテレビにあって、令和のテレビで見かけなくなったものって分かりますか?

テレビ正面から、電源ボタンが消えてしまったのです。昔はチャンネルをガチャガチャと回すところや、電源ボタンが正面にありましたが、今のテレビは画面の裏側にあり、スッキリしていいのですが、認知症の母には分かりづらいのです。

実家にあった昭和っぽいテレビには電源ボタンが正面にある

認知症の母は昭和の感覚はあるけど、令和の感覚はありません。そこで今使っているテレビを、昭和のテレビに戻し、母が自分でテレビの電源を切れるようにしたのです。方法はこちら。

  1. テレビ正面下に、テレビの主電源の代わりになるボタンを両面テープで貼る
  2. テレビ裏にある主電源のボタン近くに、指ロボットを貼り付ける
  3. 母が正面のボタンを押すと、テレビ裏で指ロボットのアームが作動。電源が切れる。
テレビの正面に新しく電源ボタンを取り付けた
拡大するとこんな感じ
正面の電源ボタンを押すと、アームが伸びて裏にある主電源を押す仕掛け

この仕掛けを試してみることにしました。使ったのはswitchbotのリモートボタンと指ロボット。Amazonで下記2つを購入。約6000円の仕掛けですが、うまくいくかどうか?

母に説明せずに様子を見た

母に説明しても忘れますし、貼り紙もはがしてしまうので、何も言わず帰京しました。

ある日の夜の見守りカメラの映像。母はいつものようにテレビのリモコンをマジマジと眺めながら、戸惑っています。消し方が分からず、テレビ本体まで移動。テレビの正面には、目立つ白いボタンがあります。

ポチッ。

母がボタンを押してくれました!するとテレビ裏の指ロボットのアームが出てきて、主電源ボタンを押し、テレビの電源が無事切れました。うそ、大成功!まさかうまくいくとは!

昭和のテレビを再現したら、母がテレビの電源を自分で切ってくれるようになりました。ちなみに指ロボットは遠隔操作もできます。母はリモコンの使い方を思い出す日もありますが、忘れたらボタンをポチっと押してます。1回切りでもなく、継続して使えています。

母はテレビの電源を気にせず安心して眠れるようになりましたし、わたしもヘルパーさんにいちいち電話で主電源入れ直してとお願いしなくて済みました。客間の古いテレビはpanasonicブランドなので、平成のものかもしれません。あまりに汚くて、昭和のテレビかと思いました。

電源ボタンが正面にあるテレビ、認知症の人にはいいかも?

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今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか