認知症の母の前ではどうしても風邪をひけないワケ

認知症 風邪

東京との温度差にやられ、くどひろは久々に風邪をひいてしまいました。寒いのなんのって・・・

認知症になる前の母だったら、正直に、

くどひろ
だめだ、熱っぽい、寝る

こう伝えれば、おかゆを作ってくれたり、フルーツが多く出たり、茶碗蒸しを母は作ってくれました。(我が家はなぜか風邪をひくと茶碗蒸しでした、もう作れないけど・・)残念ですが、今はこうはいきません。

なに、熱?何度あるの?厚手の服着なさい!

ここまではいいのですが、この会話がいつも以上に “しつこい” のです。

なに、熱?薬はどうしたの?

心配してくれる気持ちはありがたいのですが、何度も何度も言われると病んでいる自分にとっては地獄でしかありません。具合悪いから、ちょっと黙っててくれぇ・・・ただそれだけです。

来月で4年目に突入するこの介護生活ですが、以前風邪をひいたときに、このやりとりは経験済み。この場合の正しい対処法、それは・・・

「絶対に体調が悪いということを、母には伝えない」

これです。ひたすら普通を装うのですが、やはり気づくこともあるようで、

あらあんた、顔赤いわよ
くどひろ
あ、うつ伏せで寝たからね

風邪なんて言ったら、心配マシンガントークでわたしが銃殺されます。自分を守るためのウソです。

今回は食事も大変でした。グリルを使いたがらない(使えない)母は、鮭をフライパンで焼くのですが、だいたい火の通りが甘く、生臭い・・・

そしてみそ汁の煮干しだしも、だしの取り過ぎで臭い・・体調が悪いもんだから、いつも以上に生臭く感じました。でも食べないと、風邪だと思われてしまうので、大根おろしと納豆を鮭にかけて、味を変えて流し込みました。

親と一緒なのに、気持ちはひとり。そう・・・40度の熱でも洗濯しないといけなかった、学生時代の一人暮らしと同じ状況です。

介護に疲れた介護者を思い出した

食後は母と2時間近くは話すのですが、体調が悪いのでさっぱり頭に入ってきません。我慢できずに90分で、自分の部屋で寝ることにしました。厚手の布団をかぶって、天井を見上げた時にふと思ったんです。

「介護疲れがひどい介護者も、風邪をひいた自分と同じなんだろうな・・・」 と。

介護者が弱ると、認知症の人の言動を受け入れられなくなりますからね。

当たり前ですが、介護者は体調もメンタルも常にきちんと整えておかないといけないですよね。風邪をひいて改めて、介護者は健康でなくてはいけないな!そう思った出来事でした。

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

体調が悪いとメンタルも弱くなりますので要注意ですね。

せきぐさま 

本当です、病は気をも滅入らせる って感じです。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか