認知症の人の一張羅問題(同じ服ばかり着る)の5つの対処法

認知症 同じ服

認知症の母(要介護2・74歳)が着る衣服は、だいたい同じものです。

服の購入に関しては、息子ということもあって、母に何を着せたらいいかよく分からないので、妹が担当しています。しかし、わたしが全く買わないというわけでもなくて、母のパンツを一緒に買いに行くこともあります。

腕を組んで親子で歩くのが日常なので、女性下着売り場付近まで一緒に行って、ギリギリのところで待機。下着棚につかまりながら、自分で下着を選んでいることが確認できたら、わたしはチラチラと母を観察するということをしています。あまり女性下着売り場をガン見すると、わたくし捕まります・・・たぶん。母が女性トイレを利用するときも中まで行けないので、厳しいなぁと思うこともあります。

認知症の人が同じ服ばかり着る、一張羅、着た切りスズメ・・・の場合の、わが家の対処法をまとめました!

同じ服を何枚も買う

同じ服を何枚も買っておけば、一張羅でも大丈夫!と考え方があります。わたしもこれは賛成で、例えばさっきの下着の例の場合、母がパンツを選ぶとき、例えば3枚組だったら、もう1セット買っておきます。同じパンツばっかりになりますが、そのほうがむしろいいと考えてます。

下着などはうまく機能するのですが、この方法が必ずしも万能でない理由が次です。

似たような色・素材のものを買う

同じ服を何枚も買うという方法は、リスクもあります。服を新しく買うという行為自体、認知症の母にとっては「記憶にない得たいの知れないものを追加する」ことになります。同じ服を2枚買ったはいいけど、どっちも着てくれない・・なんてことになります。

なので、母が気に入った服が決まった時点で、限りなくその服に近いものを買うという方法です。同じ服を何度も着るまでに、ある程度の時間を要しているので、同じ服を2着買うのは実は難しいです。気に入るまでの時間の中で、お店に同じ服がもう1着あれば購入するのですが、正直ないことのほうが多いです。

ダメ元で複数枚買うとしたら、例えば「しまむら」で購入することで、失敗してもコストがかからないようにすることで、金銭的ダメージを食い止めるしかないかなと思ってます。という試行錯誤もあって、結局似たようなものを買うのが一番いいと思ってます。それでも着てくれないこともありますけど・・・

洋服のお直しを利用する

業界No.1といえば「マジックミシン」。気に入った服ならば、その服をお直しして長く着てもらうという方法です。うちでは最近、お気に入りの巾着袋がボロボロになってきまして、これを持ち込んでみようかと検討中です。受けてもらえるのだろうか・・・

服をすり替える

服のすり替えは、認知症の本か講演で聞いたことがあります。外出時やお風呂に入ったときに、しれっと服をすり替えるという方法です。

母の服をすり替えるタイミングが、うちの場合は外出時しかありません。お風呂に入らないので、お風呂の最中という機会がないのです。この方法はうちはやってなくて、たとえすり替えたとしても「こだわり」が強い母なので、次の日には同じ服に戻ってしまいます。

着た切りスズメを気にしない

今までやってきたことをいろいろ書いたのですが、わたしは一張羅であろうと、着た切りスズメだろうとあまり気にしていません。

「デイサービスに行くとき、いつも同じ服で恥ずかしい」と思っているのは誰かというと、認知症の人でなくて介護者です。介護者は恥ずかしいと思っているかもしれませんが、認知症の人や慣れた介護職の人はそこまで恥ずかしいと思ってません。

なので、介護者自身が問題視しないってのが、一番いいと思います。うちは日用品も朝食メニューもいつも同じなので、洋服も含めてほとんど変化のない日常生活を意識しております。

今日もしれっと、しれっと。


にほんブログ村 介護ブログへ


【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

8件のコメント

くどひろ様
あけましておめでとうございますo(^o^)o

うちの母もワンパターンの服装です。薄紫色のタートルネックの上にカーディガン、黒いパンツ。
この薄紫色のは生協の通販で毎年1、2着買い、古くなったのとしれっと交換、という感じです。
ヘルパーさんからたまに指摘されるのは、『カーディガンを羽織らなくて寒そう』なのですが、本人は暑さ寒さの感覚が鈍いのと頑固なので、ヘルパーさんは手におえないらしいです

そして、下着。洗濯機を回せない母なのにパンツが洗濯機に入っていません→毎日同じ物を着けてるのかな?と心配になりますが、母の味方は尿漏れパットです。これだけはこまめに代えてる様子で、お風呂場のかごの中に尿漏れパット付きのパンツが放っておかれていたりもします。そんなときはしょうがないなぁ➰と思いつつ、新しいパンツをはいたんだと良い方に考えます。
以前は母のトイレの中にまでズカズカ入り新しい下着を無理矢理はかせたりもして、喧嘩してましたが、最近はこんな感じのユルい対応にしてます。

いいか悪いかわかりませんが…

奈都さま

うちも以前は雪かきの時に薄着で飛び出すので、上着を着せようとすると頑固に着てくれませんでした。尿パッドパンツ・・・うちも洗濯機の中に入っているので、洗濯前に取り出すようにしています。結局ユルい対応、それが一番だと思います。介護者としてそのステップまで少し時間を要しますが、目くじら立てても自分のストレスが増えるだけですからね。

初めまして。
着たきりについて、気を付けた方が良い場合もあると思いコメントさせて頂きます。
実家の母が、物忘れは無いですが判断力が低下したりこだわりが強くなったりしており
自身の着ている服の洗濯を嫌がり、失禁などで汚れたりするような事が無ければ下着も替えようとしないのですが、
よくあかぎれが出来たりしていた足の指が、履きっ放しの靴下の中でひどく膿んでしまい、
指を切断しないといけなくなった事があります。
糖尿なども一因と診断されており、不衛生だけが原因ではありませんでしたが、
日頃から服を替えられないような場合は、体の状態も気を付けてあげた方が良いかと思います。
(うちは身近に居る私や父の関わり方が悪く、体の状態を確認しようとしても嫌がられるようになってしまっており、
酷くなるまで気付けず、もっと早くから認知症の相手ともよい関係を築けるよう勉強しておけば良かった…と後悔しています)

こまちさま

コメントありがとうございます!

お風呂ですり替えるということも書いたので、下着や靴下も連想させてしまう内容になっていましたね・・・失礼しました。下着や靴下というよりかは、あくまでふだん着ている服についてのお話なのですが、ご指摘のとおり衛生さ、そして体の状態をチェックすることは大切だとわたしも思います。

洋服などのオシャレや髪型など自分の身だしなみを整えてデイサービスに通う姿を見てまだまだ大丈夫だと思っていましたが、最近暑い、寒いがわからなくなってきたようでに先日のデイサービスに行く日も、初夏だというのに真冬向きのカーディガンを羽織り出かける様子
その姿を見て、やはり病気なんだ、と自分に言い聞かせながらも思わず強い言葉で否定しまって、
母は何だかとても悲しそうだった、、
くどひろさんのブログに載っていたように
洋服とか季節感とか気にしているのは介護者である
自分自身だったんですね、、

てるみんさま

介護者が感じている季節感や現実と、認知症の方が思っている現実との乖離は埋められません。
どちらも自分の思っていることが正解なのでどうしようもないのですが、熱中症や風邪にならない服装にするための声掛けとか対策は必要かなと思いながら介護しております!

一年前に家の近くの施設に母を転所させてのですが、コロナで面会が出来なくなりました。それと共に認知症が進んでしまったのか、今まで自分で着替えをしていた母が季節外れの服を着たり、同じ服ばかり着るようになりました。スマホとタブレットでしか会えず、同じ服ばかり来ている母の映像がずっと気になっていました。会うことが出来ず服を交換してやれないことがとても気掛かりでしたが、皆さんのコメントを読んで少し気持ちが楽になりました。今は施設のプロ方にお任せして、会えるようになったら優しく接する事が出来る娘でありたいと思います。ありがとうごさいました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか