以前、このブログでオススメした本『老人の取扱説明書(SBクリエイティブ)』の続編で『認知症の取扱説明書』が発売されたので、早速読んでみました。
眼科の先生が書いた認知症の本
眼科の先生が書いた認知症の本と書くと、やっぱり専門医の本がいいと思うかもしれませんが、専門医の本とて怪しいのが認知症の世界。もはや、誰の何を信じていいのか分からないくらい混沌とした認知症医療・介護の中で、わたしは面白そうなら何でも読む!そんなスタンスです。
著者の平松類先生も、眼科として10万人以上の高齢者と接する中で認知症の人々と会い、感じることがあったそうです。この本のために医学論文を膨大に読んで、執筆されたと書いてあります。
たぶんこの記事がアップされたあと、わたしは認知症の母を連れて眼科にいるはずです。白内障の記事もこのブログで取り上げましたが、眼科は本当に高齢者だらけです。いつ日帰りの白内障の手術をしようか・・・そんな方であふれています。
この本の面白いところ
読み終えて思ったのが、確かに認知症の本なのですが、どちらかというと前作同様『老化』に光が当たっているところが、他の認知症の本とは違うと思います。例えば、
認知症でなくても、男性の5%、女性の12%が尿漏れする
他にも
本が読めない認知症の人にちゃんとメガネを合わせてあげると、3分の2の人が本や新聞を読めるようになった
こんなのもあります。
つい買いすぎてしまうのは、記憶の問題だけではありません。高齢者は移動が困難である、という理由も関係します。
あれ、認知症のせいじゃなくて、ただの老化? そう思う箇所がいっぱいです。
認知症介護をしていると、何か言動がおかしいな?と思った瞬間に「認知症だから」という理由付けをする癖がついてしまいます。わたしも認知症の祖母と母をみて6年が経過しているため、これをついやってしまいます。
だけど、この本を読んでみると「あれ、認知症じゃなくて、単なる老化が原因かも」と思えるようになります。不思議なのが、理由が認知症から老化に変わるだけで許せてしまうことです。老化は誰にでも起こるし、誰もがいずれ経験するからなんとなく分かる、認知症は正直よく分からないから許せない・・・そんな感じ、介護者の心のどこかにあると思います。
老化という言葉は、免罪符なんですよね実は。
介護している人は思っている以上に「認知症のせい」にしている可能性があるので、この本を読んで「老化」というカードを手に入れてください。そうすることで「老化ならしょうがない」と思えるようになり、最終的に認知症の人にも優しく接することができるようになるかもしれません。
論文データが満載なので、エビデンス(根拠)大好きな方にはいい本です。それ故、わたしのようにエビデンスを超越する認知症介護の話が好きな人には、少し単調な感じもありました。それでも「老化」を先に知ることは大切なので、介護している人の視点を変えるために読むといいと思います。
自分もいずれ同じように老化しますから、自分の老いを知る上でも読んでみるといいと思います。
今日もしれっと、しれっと。
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