認知症の3つの妄想とその対処法

認知症 妄想

母の会話の “妄想率” が高くなるにつれて、

「なんでそんな妄想になるんだろう・・・」

という思いが強くなり、「妄想」 について調べていたところ、三好春樹さんの著書 「まちがいだらけの認知症ケア」 の中に、3つの「妄想」 のタイプがあったので、ご紹介します。

被害者利得型

認知症の人が被害者を装って、構って欲しい!大切にして!注目して! と思うタイプの 「妄想」?です。「ものとられ妄想」 はうちで最も多い妄想ですが、このタイプに該当します。

うちの場合ですが、自分で部屋の整理整頓をしておきながら、どこに片づけたかを忘れます。

××(娘)が、この前使うからと言って、持っていった

持っていった事実はないんですが、とられたと妄想します。注目してほしいのかな・・・ひとり暮らしだからだろうか・・・。

対応方法としては、認知症対応のド定番である “否定をせず、同情する、話を聞く” というものなんですが、うちの母は若干面倒です。わたしがほとんどの会話を否定せずに

くどひろ
そうだよね~

というので、最近はわたしの表情を読み取り始めて

「ホントにそう思ってる?」

と。親身になって聞いてあげるのが理想ですが、家族だと照れくさいですよね・・・

心理的負担解消型

被害者利得型を見て、次にこれを見ると ?「認知症の方の心の中は複雑だなぁ~」 そう思うはずです。被害者利得型とは真逆の発想で、

「大切にされすぎると、今度は心理的な負担を感じる」

というものです。構わないのもだめ、構い過ぎるのもだめって・・・・どっちやねん!って言いたくなりますが、こういう妄想の型が2つ目です。うちの例を当てはめると、お世話になっている看護師さんやヘルパーさんに対してなぜか

あの看護師さんに、この前怒られた!結構ピリ辛な人だった

とか突然言い出します。これももちろん妄想なのですが、最初は意味が分かりませんでした。でもこれを読んで、お世話なって 「申し訳ないなぁ~、悪いなぁ~」 って、母はいつも思っているってことですよね。

認知症の症状は身近な人ほど症状が強く表れるというのがありますが、妄想に関しても身近な人に強く出るんですね。しかも曲がった形で。

対応方法ですが、お世話してもらってばかりで申し訳ないから、逆に母から何かお世話してもらうようにすればいいらしいです。母は料理が得意だったので、料理のレシピをヘルパーさんに教えると満足してます。

「カレーの漬物珍しいから、教えてあげた!」

いつも得意げに言います。料理を教えてあげた事で世話になってるばかりでなく、恩返しができた事になります。これって認知症でなくても、お世話になりすぎれば悪いなぁ・・・って、思いますよね?それが 「妄想」 という形で変換されるなんて・・・・ホントに不思議です、認知症って。

老化拒否型

これはそのままで、

「老いを認めない」

っていうタイプです。これも認知症なくても、老いを認めない人だらけですよ、世の中は!アンチエイジングに夢中な人はたくさんいます。どういう事かというと、何かうまくできないと、物のせいにしたり、他人のせいにしたりして、老いを認めないというものです。字がうまく書けなければ、ペンのせいにしたりするといった感じです。

うちはこのタイプはないんですけど、認知症の人に年齢を聞くと、変なウソついたりしますよね?あれもこのタイプなんじゃないかと。90歳の方に年齢の質問して、28歳!っていうテレビを見た事がありますが、あれも老化拒否が妄想の根底にあるのかもしれません。

これは本に書いてないんですが、うちは自慢型というのがあります。

自慢型(我が家のみ)

劇的ビフォーアフター って、番組ありますよね?

家の問題をリフォームで解決するあの番組ですが、基本はパターンって同じじゃないですか?同じパターンだから、

これ前に見たやつだ!

って必ず自慢げに言います。確かに再放送も多い番組ですが、日曜日の放送は初回のものなので見た事ないやつです。他には外食に行くと、どの店に入っても

前にここに来たことあるよね?

と言います。わたしの密かな楽しみは、故郷のおいしいお店を探すことでもあるので、新規開拓をする事が多いです。新規開拓なので初めてのお店なのですが、前に来たと言います。

「わたしは初めから知っている!」 「すでに体験済み!」

という自慢気な振る舞いをやたらするんですが、実際は初めてだし、未体験なんですよね。こういう時も

「そうだねー、前に来たよねー」

というのが、認知症における模範解答なのですが、これを最初に言ってしまうと後が続かなくなるので、残念ながらいつも ”否定” してます。 この店は初めてだよ、このビフォーアフターは見たことないよって。

自慢型だけは本にはないので、うちだけは4種類ということでお願いします(笑) 妄想の理由が分かっただけで、少し楽にはなりました。

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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

2件のコメント

私は同市内にアルツハイマー型認知症の父を介護?しています。認知症だった母が2年前に他界し、緊張の糸がプッツン状態になったのが原因なのか?それまでは父の性格だと思っていた症状が認知症とオーバーラップしていた事に気付き、脳神経外科で確認しました。一人暮らしを望み、一人暮らしが出来ず、私におんぶに抱っこしているくせに、私が具合悪くなったから体の調子を見て訪ねるとと言っても聞こえない振りをされて頭にきていました。認知症=人格障害?って感じで、いろいろな父が現れ精神病には精通しているハズの自分が、父よりオカシクなって行っている事を自覚しつつ…私しか介護をする人がいない現状を踏まえ、遠距離でも父の姿を監視できるグッツを探して介ココに辿り着きました。私は精神障害3級を持ち、生活保護生活をしています。数日前、ナルコレプシーの疑いがでて検査入院をして来たのですが、携帯電話可と言う事でスマホを持参。検査真っ只中…父からの電話を着信…その後の経過は長々となるのでご想像にお任せします(笑)この様な父の七変化的お芝居?解っています…これが“認知症”という事を。解っていてもストレス貯まり過ぎ、浮腫、血圧の上昇、物忘れ、喋り過ぎ…等、様々な病的症状が出てきて…正直、私の体の方が先に母の元へ行きそうなスピードで悪化しています。また先日、火事を起こす一歩手前のポカをし、こんなのあったらイイナと思っていたグッズをココで見つけ、見出しを見た瞬間“そうそう、その通り!ここは私の心を代弁してくれる所”的親近感を持ちました。父は認知症の他、慢性心不全、身体障害4級(脚関節)、逆流性食道炎、アレルギー性鼻炎etc…様々な病気・障害を持ちつつも、命根性が汚い為、自分自身に多大な金額のサプリメント系を飲用。無くなるとちゃんと1人で薬局に行っているクセに、緊張感を持たせるため課題を与えても“オレ、それ解らない。”必ずその一言で逃げて行きます。主治医には平気で“あっ、タバコもアルコールはかなり前に辞めました。”おいおい、オヤジ昼過ぎに飲んでいるものは何だ?父に尋ねると“のどごし生もいいちこもアルコールでは無い。”と平気な顔をしている父。確かにのどごし生を調べると“新ジャンル”と言う分類(新ジャンルって何だよ!)。じゃ、いいちこはアルコール度数を謳っている。目も見えなくなったか?おい、オヤジ!?私の喫煙に文句を言うな!!私はマナーを守っている。オヤジはご近所さん含め、生協の方柄、向かいの病院の医師にも迷惑をかけているんじゃないか!!言い出したら切りが無い…ごめんなさい(_ _)ヘルパーの資格を持つ娘(精神病初心者)に、この気持ちをぶつけていたのですが、先日、娘もオカシクなっている事に気付き…私は今別のはけ口求め、つい先程アアカンチガイをして“e-65.net”で愕然となり、気持ちを新たにする為にグッズを求めていたハズなのに…やはり、父と同じに自分を抑えられない…またストレスを生産(笑) ここで“コメントを残す”と言う文字を見てホッとし…私だけじゃなかったのね?電波時計を買ったのは…腹を抱えて笑えました。前置き、非常に長くなり申し訳ございません。言いたかった一言は「情報発信ありがとうございます。頑張ってください。応援します!!」…end.

阿部さま

コメント&応援ありがとうございます!

電波時計で笑って頂けたのは、よかったです!わたしはできるだけラクに介護したいと思っているので、
いろんなグッズを買っては試して、よければブログで公開しております。

アルコールの部分でわたしも笑ってしまいましたが、介護者自身を守ることも大切なのでご自愛くださいませ。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか