認知症 と 「KY」

うちの母の認知症の症状で、最近進んでいるなぁ~ と思うのが、KY(空気読めない)です。

年齢を知りたがる

うちの母はやたらと 「年齢」 を知りたがります。うちは看護師さん、ヘルパーさん、関わる人がすべて女性なんですが、

母:「あのヘルパーさん、いくつぐらいかしらね?」

わたし:「直接聞いてみたら?女性同士なら、教えてくれるかもよ?」

と言う事もありますが、基本はこう言います。

わたし:「あんまり年齢は聞かないほうがいいよ、答えたくない人も多いから」

母:「あら、なんで?人間は平等に歳を取るんだから、年齢なんて関係ないでしょ?わたしは全然平気!」

認知症になる前の母ならばあり得ない質問なんですが、こういう事を頻繁に言います。基本はわたしに向けられるんですが、たまに本人に直接聞いてしまいます。とはいえ、看護師さんも介護職の方も特に気にならない と言われる方も多いです。認知症の人との会話に慣れているからと思われます。

学歴を確認したがる

年齢同様、学歴を言いたがる人っていないと思うんですけど、ヘルパーさんのお子さんがどこの高校を卒業したとか聞いちゃうんですよね・・・先日も突然、

母:「Aさん(ヘルパーさん)の娘さん、あんたと同じ高校なんだってよ」

わたし&Aさん: 「・・・・・・・」

いきなり言いだすので、話題を逸らす事もできませんで・・・・やむを得ないので、話を続けるとどうやら合っていた模様。これが別な人の娘さんって事もあるんで、念のための確認をして終了。これも認知症になる前なら、絶対にしない質問です。

役職を確認したがる

そのヘルパーさんが責任者レベルなのか、その看護師さんが師長さんかどうか? どうでもいい事なんですが、

母:「おたくさん、婦長さんなんですか?」

名前が思い出せないと、「おたくさん」 という失礼な呼び方をする母なんですが、”えらいかどうか” を確認したがるんですよね・・・これも本人に向けられる事はたまになのでいいのですが、わたしはほぼ毎日確認されます(笑)

小さなこと3つですが、「KY」感が出ています。この瞬間に立ち会うたびに、あることをいつも考えてしまいます・・・

自分が認知症になった時の事を想像する

認知症介護している方って、一度は自分が認知症になった時の事を想像したことがあると思います。こういうKYな行動って、認知症でない人ならば「理性」が抑え込んでいるものですよね?

ところが 「理性」 が発動しない認知症においては、「人間の本質」 がさらけ出されるという怖さがあります。うちの母は本質がおだやかなので、こんなもので済んでいると思ってます。

いろんなものを 「理性」 が抑え込んでいるんですが、ダムが決壊したら自分はどうなってしまうんだろう・・・想像するだけで恐ろしいです・・・・


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて13年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか