認知症の母の強い意思は止められないと思ったはなし

一戸建ての管理は面倒(家自体を介護してるようなもの)という記事の続きです。

ある日の朝の母の寝室。

わたしはいつものようにポータブルトイレの掃除をしようと部屋に入ったところ、こんなことになってました。

寝室の障子戸が2枚外されていた

え、なに? 2枚とも障子戸を外したの? しかも朝7時30分に!

手足が不自由で相当厳しいはずなのに、それでもやってのける母の意思の強さに驚きましたが、実は数年前に、写真の障子戸より1.5倍くらい大きい居間の障子戸4枚を外した実績があるのです。

どこにそんな力が? と当時も思ったのですが、寝室の障子戸を元に戻してみたら、意外と軽く簡単に外れました。なぜ障子戸を外す必要があったのでしょう?

写真のとおり障子戸は穴だらけで、そのまま何年も放置していました。前に別の障子戸の話をブログに書きましたが、あの時と同じ理由で、要は穴の開いた障子戸が恥ずかしいと思ったから外したのです。

ヘルパーさんに見られる、ご近所に見られる、誰もそんなところに注目してないのですが、母はそう思い込んだら止められません。認知症は進行しているので、本能のまま行動します。

ブログに書いた前の障子戸は、ダイソーのシールでなんとかカバーできるレベルの小さな穴でした。

今回はがっつり穴が開いていたので、シール対応はできません。

おそらく、しれっと障子戸を穴の開いたまま戻したとしても、母はまた外しにかかります。築50年以上経った家です。障子戸があったほうが、エアコンの暖気や冷気は逃げないはず。次の遠距離介護は7月になりそうなので、居る間になんとかしないといけません。

とりあえずホームセンターへ行ってみる

本当は障子張りなんてやりたくないというか、1度アイロン蒸着タイプの障子紙の張り替えに失敗しているので、張り替えするかどうか悩みました。それでホームセンターに行ってみると、

  • 昔からある障子のりで張っていく障子紙
  • アイロンで蒸着させる障子紙
  • 両面テープで貼りつける障子紙

3種類あって、ひとつだけやってない両面テープタイプを見つけました!これならいけるかもと思って購入し、早速作業にとりかかります。 

まずワンタッチ障子紙はがしで、30年以上前に貼ったであろう障子紙をはがしていきます。時間が経ち過ぎているせいか、キレイにはがれません。1時間かけて障子紙をはがしてみると、やはり障子の枠が毛羽立っていて、ざらざらです。

30年以上経過した障子紙を濡らしてはがしていく

障子紙を剥がした時点でお疲れだったので、翌日にサンドペーパーで障子の枠をこすり、滑らかな状態にして、両面テープを貼れる状況まで持って行きます。部屋に新聞紙を広げて、障子戸を置き、ひたすらやすりでこすること1時間。なんとか両面テープを貼れる状況になりました。

3日目。やっと障子戸に両面テープを貼っていきます。すべての枠に両面テープを貼ったところで、プラスチック素材の障子紙をロールさせて、少しずつ貼っていきます。プラスチックは破れづらいメリットがあります。

穴は無事埋まり、完成しました。そして寝室に取り付けると、

障子紙を張り、寝室に戻す

本の執筆をしないといけないのに、障子張ってる場合じゃないんですけど、遠距離介護で滞在している今しかできないので、なんとか終わりました。気分転換にはなりましたが、今の母は何を言っても止められないので、言葉ではなく行動でなんとかするしかありません。

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今日もしれっと、しれっと。


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【わたしの書いた最新刊】
東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか