冷蔵庫の中に潜んでいた認知症介護の新たなリスクとは?

ここ1週間、認知症の母のある行動が原因で、わたしがずっとソワソワしていた話をします。

料理が得意だった母は、認知症の進行とともに料理ができなくなっていき、今はご飯を炊く、目玉焼きを焼く、もやし炒めを作る、お湯を沸かす以外のことは、わたしのサポートが必要になりました。

これが現実ですが、母の頭の中では未だに料理は何でもできるし、わたしがもし「カレー作って」とリクエストしたら、何の違和感もなく台所に立つと思います。そして台所に立ったあとで、調理器具の場所、使う調味料、必要な材料が分からずに戸惑うはずです。

ある日のことでした。岩手の妹からLINEで、1枚の写真が送られてきました。スマホで見たときはよく分からなかったのですが、この記事にアップしたら、あまりに気持ち悪い写真だったので載せませんでした。

文字で説明すると、冷凍庫にあった鶏肉を軽く炒めたか、レンジしたか分からない赤い状態のものを、ご飯の上に乗せて食べていたのです。そして母は、妹にこう言ったのです。

鶏肉をサッと温めたのよ

たまたま妹が冷凍庫に保管していた鶏肉を使って、母が調理したようです。「サッと」と言っちゃう感じからも、「わたしはまだまだ自分で料理できるのよ」という雰囲気が出てます。「残り物でチャチャっと作った」も口癖ですが、名もない料理が完成します。

妹とLINEでやりとりしていたところ、妻に言われて事の重大さに気づいたのです。

鶏の生肉食べたら、カンピロバクターに気を付けないとダメだよ!

確かに!前に世界仰天ニュースで、鶏肉を洗ったあとの料理を食べた高校生が集団食中毒になった話があった!早速、カンピロバクターについて調べてみると、このような記述がありました。

鶏肉などの肉類はカンピロバクター腸炎の主な原因になっており、生や加熱不足で食べることにより少量でも感染する。

引用元:https://doctorsfile.jp/medication/52/

細菌と接触した2~5日後に症状が出始め、約1週間続く。下痢、腹痛のほか吐き気や嘔吐、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感が起こる場合もある。

引用元:https://doctorsfile.jp/medication/52/

そして最近あったニュースで、タレントのryuchell(旧:りゅうちぇる)さんが救急車で緊急搬送されたのですが、原因がこの鶏肉のカンピロバクターだったのです。

「40度近くまで熱が上がり 特にお腹が痛かったのですが 関節痛もひどく力が入らず歩くこともできず、救急車に運ばれ 咳や鼻水、喉の痛みの症状は無かったのですが こんなご時世なので コロナの検査もしましたが陰性で、、、」と、自身に起きた体調の変化を報告。

 検査の結果「カンピロバクター腸炎という病気と診断」されたと明かし、原因は「症状が出た5日前くらいに食べた生の鳥(鳥刺し)の中に入っていた菌が原因で起きた食中毒みたいなものでした、、!」と明かした。

 当時の状況を「冗談抜きで、盛り無しで、今まで生きてきた中で一番辛かったです。(笑) ずっと大絶叫しておりました。(笑)」

引用元:https://www.oricon.co.jp/news/2228457/full/

生の鶏肉、危険です! わたしは東京で、すぐに駆けつけられません。見守りカメラで、母の様子をいつも以上に注意深く観察するようにし、症状が出ないか見るようにしたのです。

生肉を食べないための対策

認知症の母は、自分の頭の中では料理ができると思い込んでいます。しかし実際は、鶏肉を半生で調理して食べてしまうほど、イメージに実態が伴っていません。

最近はヘルパーさんにお願いして、料理を作ってもらうようになりましたが、母は基本ひとり暮らしなので、また生肉を食べてしまう可能性はあります。

この事件以降、妹にもヘルパーさんにも鶏肉(肉全般)を冷蔵庫や冷凍庫に置いておかないよう、お願いしました。わたしが遠距離介護で一緒に居るときは、常に見ているので問題ありません。

結局、母が体調を崩したり、救急車で運ばれたりすることはなかったのでホッとしましたが、まさか自分はまだまだできるという自信が、こんな結果を招くとは。特に料理が得意だった認知症のお母さんを介護している皆さま、うちのようにならないよう気を付けてください。

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2件のコメント

お母様が無事でよかったです。心中お察しします。
昔私も鶏肉からの食中毒経験しました。忘れられない苦しさです。
ギラン・バレー症候群のリスクもあるようです。

ふくいさま

忘れられないほど、苦しいのですね。
そしてギランバレーの情報、ありがとうございます。本当に生肉には、気を付けないとですね!

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工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(80歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか