認知症介護中の耳掃除はどうしてますか?

この前、認知症の母が珍しく自分で耳かきをしていました。その姿を見てわたしは、正直「忘れてた!」と思いました。

前に母の爪切りの記事を書いたのですが、爪を切っている短時間でももの忘れが発動してしまうので、うまく爪が切れません。

爪は指先に違和感があるので、母が何度もわたしにアラートを出してくれるので気づくのですが、耳掃除はそれがありません。

母の耳掃除について考えたのは、認知症介護を10年近く続けているのに今回が初めてで、本当にノーマークだったのです。

母が使っていた耳かきはステンレス製。わたしは木製の耳かきと綿棒を使っているので、そういれば実家に昔からこの耳かきあったなぁなんて思いつつ、途中から「早く終わってくれ!」とヒヤヒヤし出したのです。

いつまで続けるの? 耳かき

耳掃除の最中に母に声を掛けて、誤って耳かきをズボッってやったら怖いので、ただ見守るしかありません。2分くらいで終わるかなと思って待っていたのですが、全く終わる気配なし。

4分くらい経ってもずっと耳かきを続けていて、いつまで耳かきするんだと。鼓膜の位置は理解しているのだろうかと、心配になってきました。ステンレスでいつまでもゴリゴリやっているので、耳の中を傷つける可能性もあります。

母がステンレス耳かきをテーブルに置いて、化粧ポーチの中の他のものを探し始めた瞬間に、わたしはダッシュでその耳かきを回収して、自分の部屋に持ち帰りました。

母は自分がどれくらいの時間、耳かきをしているのか分かってないかもと思いました。耳は聞こえているので大丈夫だったようですが、本当に焦ったので早速対策を考えました。

認知症介護における耳掃除はどうする?

耳かきしなくても、自然と耳垢は落ちてくるなんて話もありますが、あまりに耳掃除をやらなさ過ぎて、耳が聞こえなくなっている高齢者もいるようです。

最初に思いついたのは、訪問介護のヘルパーさんかデイサービスです。ヘルパーさんは通常の耳かきなら大丈夫なようで(耳に病気がある場合はダメ)、デイサービスでも看護師さんならOKとネットには書いてあります。

詳しい話をケアマネに問い合わせようと思っていたのですが、わたしの妹といつもの介護情報交換をしていたときに、耳かきはわたしが好きだから、わたしがやるとの回答が。結局耳かきは妹が担当することになり、ケアマネから介護保険上の扱いを聞けませんでした。

ちなみに爪切りは、手はわたしがやっています。足は巻き爪になって歩けなくなるリスクがあるので、訪問看護師さんが来たときにお願いしてます。以前はフットケア(こちらも看護師)を利用していましたが、歩数が激減して足のタコができなくなって止めました。

固定電話で苦労する高齢者の思い出

最初に入った会社で、新入社員のわたしの隣の席が男性嘱託社員(当時で60歳~65歳くらい)でした。

「工藤、この電話故障してねぇか? お前のはどうだ?」

と言われて、「大丈夫ですよ」と答えました。その後も男性は受話器を肩と耳で挟みながら、

「あ? ちょっとね、声が聞き取りづらいんだけど」

と先方に言ってて、その男性の固定電話だけが調子悪いのだろうと思ってました。

後日、その人が「電話の故障かと思ったらよ、耳垢溜まってるだけだったわ」と言ってきて、
めちゃめちゃ驚いたんですけど、30年近く経ってブログを書きながら急に思い出しました。

音声配信voicyの最新回は、認知症の母が久しぶりに書いた手紙を読んでます↓

今日もしれっと、しれっと。


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東京と岩手の遠距離介護を、在宅で11年以上続けられている理由のひとつが道具です。介護者の皆さんがもっとラクできる環境を整え、同時に親の自立を実現するために何ができるかを実践するための本を書きました。図表とカラーで分かりやすく仕上げました。

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ABOUT US
工藤広伸(くどひろ)介護作家・ブロガー
1972年岩手県盛岡市生まれ、東京都在住。
2012年から岩手でひとり暮らしをするアルツハイマー型認知症で難病(CMT病)の母(81歳・要介護4)を、東京からしれっと遠距離在宅介護を続けて12年目。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護し看取る。認知症介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

【音声配信Voicyパーソナリティ】『ちょっと気になる?介護のラジオ
【著書】親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること(翔泳社)、親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと(翔泳社)、医者には書けない! 認知症介護を後悔しないための54の心得 (廣済堂出版)ほか